北海道警が朝鮮総連を捜索…「極秘マニュアル」を発動か
北海道警は6日、国の雇用助成金をだまし取ったとする詐欺容疑で、札幌市にある朝鮮総連の北海道本部など関係先を家宅捜索した。
公安関係者によれば、道警は札幌市内にある朝鮮総連の複数の関係企業が、従業員の雇用をめぐる国の助成金をだまし取った疑いで捜査を進めてきたという。
事実なら、背景には朝鮮総連の財政面での窮状があると思われる。
一部には、朝鮮総連がパチンコ業界などに豊富な資金源を持っていると見る向きもあるが、実際にはそうではない。朝鮮総連の財政を長らく支えてきたのは、傘下の民族系信用組合からの情実融資や日朝貿易などの利権だった。しかし、信用組合の経営破たんや対北制裁による貿易停止を受け、それらの資金源はほとんど崩壊してしまった。
実際、朝鮮総連関係者が今回の同様の疑いを受けているとの情報は以前からあり、6月には警視庁公安部外事2課が、朝鮮大学校の教員宅を捜索している。
だが、警察当局のねらいが、詐欺事件の摘発だけであるとは限らない。たとえば捜索を受けた朝鮮大学校の教員は、韓国で摘発された北朝鮮のスパイ事件との関連が指摘されている。
警察庁は1993年、「北朝鮮への不正送金対策推進計画」と題された極秘の総連捜査マニュアルを作成している。そこでは、朝鮮総連の深部にまで捜査の手を伸ばすため、まずは「入口事件」を確保すべしとの手順が述べられており、最近の一連の動きがそれに当たる可能性は否定できない。
もちろん、その向こう側にあるのは、日本人拉致問題や核兵器開発などより大きな国際問題だ。
もっとも、日本の外事警察の現場は、政治による過度な介入を受けて、朝鮮総連や北朝鮮の極秘動向に対する分析力を落としているとも言われる。
警察の動きが日朝関係にどのような影響を及ぼすのか、今後の動向を注視したい。