トレード市場でマイナー投手1人の獲得に留まったヤンキース 残りシーズンも大黒柱を託された田中将大
【マイナー左腕投手の獲得だけに留まった今年のヤンキース】
MLBがトレード期限日を迎えた。
主なところではアストロズがダイヤモンドバックスからザック・グリンキー投手を獲得するなど、多くの駆け込みトレードが成立していく中で、例年積極的な補強に着手するヤンキースに大きな動きはなかった。
結局今年のトレード市場では、ロッキーズから20歳の左腕投手、アルフレド・ガルシア投手を獲得しただけだった。同投手は元々ロッキーズ傘下の1Aに在籍しており、いうまでもなく即戦力ではない。
ヤンキースは負傷者が相次ぐ厳しいチーム状況の中、ア・リーグ東地区で独走状態にある。それでもブライアン・キャッシュマンGMは今年のトレード市場で、投手陣の補強を目指すと公言していただけに、ある意味予想外の結果といえるだろう。
【キャッシュマンGM「すべてのドアをノックした」】
MLB公式サイトが報じたところによれば、キャッシュマンGMは以下のように説明している。
「何もまとまらなかった。しかしすべてのドアをノックした。チームをよくするため他チームといろいろな意見交換を行った。何も起こらなかったということは、逆に我々はすでにいいチームだと認識しているということだ。
我々は素晴らしいロースターが揃っていると感じているし、しっかり戦えると考えている。あとは故障者が復帰してくるのを待っている。もうすぐ準備を整えた有力選手たちが待ち構えている」
キャッシュマンGMは無理をして大物投手を獲得しなくても、現在の投手陣で戦い抜くことができると判断したというわけだ。
それはつまり、残りシーズンも田中将大投手に投手陣の牽引役を託したことを意味するのだ。
【今シーズンの大黒柱は間違いなくマー君】
エース候補のルイス・セベリノ投手が右肩負傷で開幕前に戦線離脱した時点で、今シーズンのヤンキースは、先発陣の中心に田中将大投手を置くしかなかった。そして田中投手はここまでしっかりその役目を果たしている。
7勝6敗、防御率4.79という今シーズンの成績を見れば、13勝2敗、防御率4.08を残しているドミンゴ・ヘルマン投手の方が上回っているように感じるかもしれない。だが田中投手がいなければ、それこそヤンキース投手陣は崩壊していたかもしれない。
というのも、ここまで先発陣の登板数は、22試合で田中投手がチームトップ。さらに投球イニング数においても、124.1イニングで田中投手がトップに立つ。さらに先発陣の1試合平均の投球イニング数を見ても、大乱調に終わったレッドソックス戦2試合を除くと、田中投手が唯一6イニングを上回っている状況だ。
つまり今シーズンの田中投手は、他の先発投手以上に先発ローテーションをしっかり守り、登板した多くの試合で長いイニングを投げ中継ぎ陣の負担を減らしているということを意味する。言葉を換えれば、田中投手は今シーズンのヤンキースで最も信頼できる投手ということなのだ。
【真のエースになるのはポストシーズンの活躍次第】
復帰間近のCC・サバシア投手が戻ってくれば、再び先発陣の顔触れが揃う。しかしサバシア投手が復帰したとしても、これからもローテーションの中心にいるのは田中投手しかいない。
現状を考えれば、ヤンキースがポストシーズンに進出するのは既定路線だ。チームもそれを見据えて戦っている。もちろんポストシーズンを戦う上でも、田中投手の安定した投球が必要になってくるのは間違いない。
MLB史上最多27回のワールドシリーズ制覇を成し遂げたヤンキース。そうした輝かしい球史を彩ったエース投手たちは皆、ポストシーズンで大活躍をし、ファンに認められてきた。
田中投手がヤンキースの真のエースとして認められるためにも、ポストシーズンでの活躍に期待したいところだ。