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9月の決定会合では無風予想が大半の模様

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 ブルームバーグがエコノミスト46人を対象に6~12日に実施した調査によると、日銀が現在マイナス0.1%の短期政策金利を引き上げる時期は、来年4月の会合までの予想が4月会合の28%を筆頭に39%となった。11%はその次の6月会合を想定しており、合わせて50%に達した。前回の7月会合直後の調査では、来年4月会合までの解除が21%で、6月会合を含めても31%だった(13日付ブルームバーグ)。

 今月21、22日の金融政策決定会合については全員が現状維持を見込んでいるそうである。今月会合では金融政策の微調整も含めて、全員が無風と予想した。

 9日の植田総裁のインタビューのタイミング、内容、目的などから考慮すると個人的には9月の会合で「無風」というのはむしろ考えづらい。日銀のスタンス変更を示唆しただけで、円安の動きを封じることのほうがむしろ難しい。

 ひとつの手段として、公表文の修正が挙げられる。

 「2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っておらず、長短金利操作付き量的・質的金融緩和のもとで、粘り強く金融緩和を継続する必要がある」  

 たとえば、上記を9日の総裁インタビューにあったように下記のようにあらためる。

「賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信が持てた段階になれば、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除を含めいろいろなオプションを選択することもありうる」

 さらに公表文の最後にある「必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。」の部分を削除するなどの選択肢もある。

 ただし、もしマイナス金利政策の解除の目的が円安対応であり、政府や通貨政策を担当する財務省の意向なども背景にあるのであれば、7月の会合同様に何かしらの行動が求められる。このため、マイナス金利政策の解除の可能性も個人的にはありうるとみている。マーケットがそんな悠長に待つことのほうがむしろ想像しがたい。

 ちなみに、ブルームバーグがエコノミスト50人を対象に7月の12日から18日まで実施した調査によると、27日、28日の決定会合でYCCの修正または撤廃が決まると予想するエコノミストは9人で、比率は18%だった。

 7月28日の決定会合ではYCCの修正が決定された。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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