サポーターはなぜ人生を捧げてまで応援するのか? 心理学の面から分析してみた
私はサッカー日本代表と北海道コンサドーレ札幌のサポーターだ。合計すると年間40~50試合ほど現地観戦しているが、スタジアムで顔を合わせる人は大体いつも同じだ。
そうやって何度もゴール裏で会う人たちには、スタジアムで自分の愛するチームを応援することに、人生を捧げているサポーターも多い。
どんなに応援したって、試合の結果なんて変わることはないと頭の中では理解しているのに、何故にサポーターたちは様々なものを犠牲にしてまでスタジアムに通い、応援に没頭するのだろうか?
人間の三大欲求よりも強い「欲」
人それぞれ理由は違うとは思うが、心理学の書籍を先日読んで、普遍的なひとつの仮説に辿り着いた。
その書籍の内容をまとめると、以下のようになる。
これらの事象をスポーツの応援心理に応用してみる。
サポーターは、いくら応援しても試合の結果をコントロールできるわけがないと理性ではわかっていても、敢えて「応援でチームを勝たせた」と思い込むことで、とてつもない幸福感を得ているのではないだろうか?
この達成感をひとたび感じてしまうと、サポーターは応援に病みつきになり、スタジアムに足繁く通うことになるのではないか?
元日本代表の秋田豊氏も賛同
この仮説を自分の経験談に照らし合わせると非常に納得感があったので、この「発見」を先日、テレビ東京のフットブレインに筆者が出演した際に披露してみた。
この考え方に対して、元サッカー日本代表の秋田豊氏は「応援が試合結果に影響する試合は50回に1~2回くらい、確かに存在する。サポーターの熱い応援で、試合をひっくり返すことができる」と語ってくれた。
ゴール裏から声を枯らして応援した結果、この「成功体験」を得てしまったサポーターは、その何十試合に1回あるかないかの「奇跡」を渇望し、応援にのめり込んでしまうわけだ。
選手もよく試合後のヒーローインタビューで「サポーターの応援のおかげで勝つことができました」と語ってくれることがあるが、たとえそれがリップサービスだとわかっていても、サポーターは皆、この一言で幸福感に包まれる。
この「中毒性」を一度体験してしまったサポーターは、毎週末の試合で喜怒哀楽を露わにして、端から見ていると非常に充実した人生を歩んでいるように感じる。
日本には現在、J1からJ3まで54クラブが存在し、全国各地でリーグ戦が開催されている(詳しい日程はこちら)。週末の予定が空いている人は、是非一度地元のクラブの試合に足を運んで、「応援する楽しさ」を体感してほしい。
※当コラムは11月3日放送のテレビ東京のサッカー番組「フットブレイン」で語った内容に加筆したものです。11月11日(日)26:10からBSテレ東で再放送されるので、興味のある方はご覧ください(番組表はこちら)。