政治面、地域面、社会面…それらより読者が満足している新聞の記事は(2022年度版)
多様な切り口で社会を知ることができるのが、新聞の長所。その新聞の各分野の記事が、どれほどまでに読者に満足されているのかについて、新聞通信調査会が2022年11月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果から確認する。
次に示すのは、新聞の各分野の記事をその方向性などで区分し、それぞれの記事内容の満足度に関して全般的に「満足している」「まあ満足している」「どちらとも言えない」「やや不満である」「不満である」「ほとんど読まない」のいずれかから選んでもらい(新聞そのものを購読・閲読していない場合の選択として「無回答」も回答には加わる)、そのうち「満足している」「まあ満足している」を満足派と見なし、その回答者の割合を示したもの。例えばテレビ・ラジオ欄は44.8%とあるので、全体の4割台は新聞のテレビ・ラジオ欄に満足していることになる。
もっとも満足されている記事はテレビ・ラジオ欄。44.8%の人が満足している。ある意味、一番信頼できる、間違いの少ないコーナーでもあり、また日常生活において必要不可欠な、需要のもっとも多い情報の定期的な提供の場でもあることから、この値の高さも納得できる。次いで社会面、地域面と、生活に密着した情報が上位を占め、専門的な切り口の情報はやや値を下げる。スポーツ・芸能面の順位が低めに見えるのは、新型コロナウイルスの流行でスポーツ界や芸能界の動きが大人しかったからだろうか。そして社説が最後についている。
続いて主な項目の属性別動向。6項目しかグラフ上に存在しないのは、属性別まで値が公開されているのがこれらの項目のみだから。
一番満足度の高い記事「テレビ・ラジオ欄」は4割台の人が満足しているが、これはテレビやラジオを用いる時に欠かせない記事で、しかも毎日のように役立つ場面に遭遇するからに他ならない。最近ではインターネットで番組編成表を容易に取得できるようになったが、それでも新聞のラテ欄は有益であるとの認識が多い。男女別では女性の方が、そして年齢階層別では高齢者の方が役立つとの回答値が高くなっている。元々テレビ・新聞への愛着が強い層であるがゆえの結果であると同時に、インターネットを用いて番組編成表を取得する発想に至らない、その手立てが無い、取得ハードルが新聞経由の方が低いと認識している人が多いからなのだろう。
続いて「社会面」「地域面」がほぼ同率で4割台。男性は「社会面」の方が満足しているとの回答が多い。使う場面が多いからだと考えれば納得もできる。年齢階層別も年とともに満足度が上昇していく。
「政治面」「経済面」「国際情勢面」はいくぶん低め。男女別では男性の方がこれらの記事は満足度が高く出ている。年齢階層別では10~30代で満足度は低く、40代以降になると一段満足度が上がる。新聞そのものを購読していない層の存在が影響しているのだろうか。
今件各項目は新聞非購読層も含めた回答のため、当然読んでいない人は満足のしようが無い。特に20代までにおいては新聞そのものの購読・閲読率も、値の動向に影響しているものと考えられる。それとともに、各属性で新聞のどの分野の記事を好み、読み進めているかがおおよそ把握できる。「テレビ・ラジオ欄」は別枠にしても、地域面や社会面が強いのは、従来の「新聞」に対するイメージ通りといえよう。
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※メディアに関する世論調査
直近分となる第15回は2022年8月26日から9月13日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は2993人。有効回答者の属性は男性1399人・女性1594人、18~19歳55人・20代246人・30代386人・40代520人・50代500人・60代495人・70代以上791人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。