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ネットワーク運用拠点はコストから収益に生まれ変われるのか 石川温のスマホ業界新聞Vol.573

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト

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石川 温の「スマホ業界新聞」

2024/07/27(vol.573)

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《目次》

1.KDDIがネットワークセンターをメディアに公開

—-運用拠点はコストから収益に生まれ変わるのか

2. エリクソンがモビリティリポートを解説

—-ユーザー体験向上に欠かせない5Gミッドバンド

3.世界で発生したWindowsブルースクリーン障害

----今回の問題から得られる教訓は何なのか

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.KDDIがネットワークセンターをメディアに公開

—-運用拠点はコストから収益に生まれ変わるのか

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KDDIは2024年7月23日、多摩第5ネットワークセンターにおいて「ネットワーク運用に関する説明・見学会」を開催した。

ネットワーク拠点において、日常の運用業務や災害時の対応などが公開された。

KDDIのネットワークセンターでは自社のネットワーク状況だけでなく、他社ネットワークやau Payなどの運用状況も把握できている。ちょうど、取材直前にソフトバンクのネットワークに障害が発生したという情報がソフトバンクから出されていたが、KDDIのネットワーク監視インターでは、X(旧Twitter)から得た情報なのか、ちゃんと「ソフトバンクで障害発生の可能性」というメッセージが表示されていた。

KDDIのネットワークセンターではAI機能を活用してトラフィックデータなどの傾向を学習、予測し、障害検知から復旧対策までの自動実行を目指している。キャリアにおけるAI活用が世界的に進んでいるが、まさにトレンドを取り入れているといえそうだ。

もうひとつ、世界に先駆けていたのが「スマートオペレーション」の提供だ。

KDDIではグループを中心に2023年から大手ISPにメールシステムなどを提供。さらにサービスを提供する事業者に対して、KDDIはクラウドインフラ設計構築とスマートオペレーションの設計構築を実施。KDDIのネットワークセンターが24時間、365日、運用を行うため、サービス提供事業者は、ネットワーク運用に対して気を遣うことなく、アプリケーションの開発に専念できるのがメリットだ。まさにau Payで実現している関係性を他社にも提供していくということだろう。

今年のMWCなどで多く語られていたのが5Gネットワークにおける「マネタイズ」だ。5Gネットワークに多額の設備投資をしたところで、一気に儲かるかと言えば微妙だ。ユーザーからの通信料収入の向上だけでは限界がある。

そんななか、企業に向けて、ネットワークを解放し、APIとして様々な機能を使えるようにする取り組みが様々なところで広がりつつある。

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ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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