【沼津市】「高尾山穂見神社祭典」五穀豊穣を祈る歴史ある地域のお祭りと興国寺城跡発掘調査公開
2024年11月24日(日)、沼津市根古屋にある高尾山穂見神社で「令和6年高尾山穂見神社祭典」が開催されました。この歴史ある祭りは五穀豊穣を願い、地域の人々が集う場となっています。
祭典では、さまざまなイベントが行われ、訪れた人々を楽しませました。まず会場を盛り上げたのは「まあるさん」の大道芸です。息をのむようなスリリングなパフォーマンスに、子どもたちも目を輝かせながら見入っていました。
続いて登場したのは白隠太鼓の皆さんです。力強い太鼓の音が、興国寺城跡に響き渡り、会場全体が迫力に包まれました。
一方、根古屋地区を中心とした出店ブースでは、多くの来場者が買い物や食事を楽しみました。地元の自治会による飲み物の提供もあり、祭りの雰囲気をさらに引き立てていました。
また、この日のお祭りには、地元選出の議員たちや頼重秀一沼津市長も訪れました。市長は自らついたお餅を味わい、そして笑顔で一つひとつのブースを訪れ、地域の方と交流していました。
コロナ禍を経て再開した根古屋の高尾山穂見神社祭典
根古屋の高尾山穂見神社祭典は、安政4年(1857年)に神社が創祀された頃から、五穀豊穣を祈願して続いてきた地域のお祭りです。「第○○回」という形式で数えられるものではなく、地域の伝統として受け継がれてきたそうです。
新型コロナウイルスの影響で2年間中断されていましたが、昨年に再開しました。再開にあたっては多くの苦労があったそうです。祭りを主催する根古屋自治会の会長は「地域のつながりと協力があったからこそ再開できました。ただ、根古屋のような地域でもつながりにくくなっている現代です。これからは”薄くつながる時代”のようにも感じています。この伝統をどこまで続けられるかは分かりません」と話しつつ、「子どもたちの記憶に少しでも残ってくれたらありがたいです」と思いを語りました。
興国寺城跡発掘調査が公開
高尾山穂見神社は、北条早雲が旗揚げをした城として知られる興国寺城跡の敷地内に位置しています。この城跡は現在、国の史跡に指定されており、整備に向けた調査が進んでいます。
今回の祭典では、沼津市文化財センターによる天守台石垣の発掘調査が特別に公開されました。調査の結果、石垣の西端部分が明らかになり、特に石垣の築造技術について詳しく分かってきたのは大変貴重な成果とのことでした。こうした調査成果を踏まえ、興国寺城跡では今後の整備基本計画の策定が進められる予定です。
安政年間から続く歴史ある地域のお祭り、戦国時代の城跡の発掘調査、芸能と地域の味覚が楽しめるお祭りでした。そして開催の背景にある、これからの地域づくりの課題についても知ることができた1日でした。
根古屋高尾山穂見神社 / 興国寺城跡
静岡県沼津市根古屋428