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ブラサカ・中川ジャパンが小平からパリへ!初の壮行会が開催。ブラインドサッカー

佐々木延江国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表
壮行会での日本代表選手、スタッフ 写真・PARAPHOTO/地主光太郎

aパリでオリンピックの開会式が行われた7月27日、中川英治監督率いるブラインドサッカー(以下、ブラサカ)男子日本代表をパラリンピックへ送る壮行会が、ホームグラウンドに近い小平市民文化会館(東京都小平市)で開催された。

スピーチする小林洋子市長 写真・PARAPHOTO/地主光太郎
スピーチする小林洋子市長 写真・PARAPHOTO/地主光太郎

「このブラサカの日本代表の練習コートが小平市にあることを改めて感謝申し上げたい。スポンサーのご協力のもと、こうして日本代表が我がまち小平で練習し、そして世界へ、メダルをかけて戦ってくれ、こんなに嬉しいことはありません」と、出席した小平市長・小林洋子氏が祝辞を述べた。

ホームグラウンドに近い日本代表の練習拠点のある小平市。ファンとともに記念写真 写真・PARAPHOTO/地主光太郎
ホームグラウンドに近い日本代表の練習拠点のある小平市。ファンとともに記念写真 写真・PARAPHOTO/地主光太郎

会場には、スポンサー、サポーターなど、活動を支援する人々が出席したほか、地域での交流を温めてきた小平市立小平第三小学校からも多くの児童が集まり、花束や寄せ書きのフラッグをプレゼントした。

子どもたちからプレゼントを受け取る 写真・PARAPHOTO/地主光太郎
子どもたちからプレゼントを受け取る 写真・PARAPHOTO/地主光太郎

転機となった初の自力出場達成

東京パラリンピック後の新体制として、2022年1月に中川英治監督による日本代表チームを立ち上げた。その時から、自力出場を目指し「自分たちのブラサカの歴史を構築する」という強い信念で活動してきた。

予選となった2023年8月のバーミンガム(イギリス)での世界選手権を勝ち抜いて、初めて過去最高の5位に入り、パンアメリカン大会の結果を受けて、パラリンピックの出場権を勝ちとった。ホスト国枠で初出場した3年前の東京大会に引き続き2度目、初の自力でのパラリンピック出場となる。

20年の努力が花開いた

日本代表チームを率いる中川英治監督は、自力出場の目標を達成し、次なるミッションはパリでの「メダル獲得」だという。そのために、選手とスタッフ全員で残り1ヶ月の準備を進めている。

パリでの試合まであと1ヶ月の日本代表 写真・PARAPHOTO/地主光太郎
パリでの試合まであと1ヶ月の日本代表 写真・PARAPHOTO/地主光太郎

「ブラサカが日本に導入されてから20年になる。全く勝てなかった時代を経て、現在ではパラリンピックに出場し、メダルを目指すステージに立つことができました。ここにいる選手とスタッフだけの力ではなく、最初にブラサカを支えてくれた釜本美佐子前理事長の力や、日本全国を回りながら大会運営や普及活動を行ってくれた先輩たちの努力があってこそです。ロンドンやリオで、本当に、あともう一歩のところで出場できず、悔し涙で這い上がってくれた選手、スタッフの今までの頑張りが大きい。皆の力でやっとここまで来ることができたと強く実感しています。

中川英治監督 写真・PARAPHOTO/地主光太郎 
中川英治監督 写真・PARAPHOTO/地主光太郎 

私たちは、この先輩たちの期待と努力を胸に戦っていきます。そして、このスポーツがより持続可能なものとして、この国で根付き、発展していくことを目指しています。次の10年、20年のために、未来を見据えた取り組みを進めていきたいと思います」と、これまでとこれからの思いを述べ、パリ大会で「私たち日本代表の最後の試合は、恐らく5試合目になると思いますが、その最後のホイッスルが鳴ったときに、皆さんと喜びを分かち合える結果で終わりたいと思っています」と結んだ。

キャプテン川村怜 写真・PARAPHOTO/地主光太郎
キャプテン川村怜 写真・PARAPHOTO/地主光太郎

「今日は素晴らしい壮行会を開催していただき、本当にありがとうございます。いよいよパリパラリンピックが1ヶ月後に迫り、戦いが始まります。オリンピック開幕とともに、私もその思いを強く感じております。ここにいる皆さん、そして日本全国のブラサカファミリーの皆さんとともに、パリパラリンピックでメダル獲得を目指して戦いたいと思います。私たちは、選ばれた日本代表として、自覚と覚悟を持って挑みます。メダル獲得という目標を達成する道のりは決して簡単ではないと思います。しかし、9月1日の開幕戦で勝利し、その先の決勝トーナメントに進出し、メダルをかけて戦う瞬間を皆さんと共有したいと思います。全力で頑張りますので、応援よろしくお願いします」と、壮行会開催への感謝の思いとあらためてパリへの決意を述べた。

2024年の日本代表の戦歴

今年に入ってからの日本代表は、パリ出場に向けて一歩ずつ課題を克服しながら、対戦相手との経験を積み重ねてきた。

まず3月、タイ・バンコクで開催されたIBSA非公認ではあるが「ブラインドサッカートーナメント in タイ」に出場し、見事優勝を果たした。この大会で、後藤将起が大会MVP、佐藤大介がベストGKに選ばれ、個人の活躍が認められた。

2024の国際試合でMVP、得点王に選ばれた、後藤将起 写真・PARAPHOTO/地主光太郎
2024の国際試合でMVP、得点王に選ばれた、後藤将起 写真・PARAPHOTO/地主光太郎


5月、フランスで開催された「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2024」予選リーグでは、中国に公式戦初勝利を収める健闘を果たしたが、準決勝で敗退し、3位決定戦でも惜しくも敗れ、4位という結果になった。しかし、後藤将起が大会得点王に輝くなど、収穫もある大会となった。

大阪で開催された「ダイセル ブラインドサッカー ジャパンカップ 2024 in Osaka」モロッコとの対戦の様子。 写真・PARAPHOTO/内田和稔
大阪で開催された「ダイセル ブラインドサッカー ジャパンカップ 2024 in Osaka」モロッコとの対戦の様子。 写真・PARAPHOTO/内田和稔


7月、大阪で開催された「ダイセル ブラインドサッカー ジャパンカップ 2024 in Osaka」。この大会は、日本がホストして、パリ大会に向けた国際大会で、壮行試合として行われた。日本は決勝まで進んだが、PK戦の末にモロッコに敗れ、準優勝となった。この大会を通じて、パリで対戦するモロッコとの試合を経験でき、また、パリの会場を想定した屋外の騒音という環境での試合を経験できたことは、大きな収穫となった。一方で、守備的なフォーメーションの相手をどう攻略するか、連携ミスをどう減らすかなど、課題も明確となった。


大阪でのダイセルジャパンカップは、大阪駅のうめきた広場を会場に多くのファンが訪れる大会となり、大盛況だった。 写真・PARAPHOTO/内田和稔
大阪でのダイセルジャパンカップは、大阪駅のうめきた広場を会場に多くのファンが訪れる大会となり、大盛況だった。 写真・PARAPHOTO/内田和稔


パリ大会には、ホスト国フランス(世界ランク6位)、ヨーロッパ枠からトルコ(15位)、アフリカ枠からモロッコ(8位)、アジア枠から中国(5位)、アメリカ枠からブラジル(2位)、そして世界選手権枠でアルゼンチン(1位)、コロンビア(12位)と日本(3位)の8カ国が出場する。

一人一人のフラッグにも寄せ書きが書かれていた。 写真・PARAPHOTO/地主光太郎
一人一人のフラッグにも寄せ書きが書かれていた。 写真・PARAPHOTO/地主光太郎

日本代表はグループB(日本、コロンビア、モロッコ、アルゼンチン)で、9月1日のモロッコとの対戦から始まる。パリでの試合に備え、事前合宿地のヘレフォード(イギリス)へむけ8月7日に日本を出発する。

クラウドファンディング募集中

ブラサカ協会は、クラウドファンディングのプラットフォーム「CAMPFIRE」で、支援を募集している。目標金額は600万円。期間は8月4日まで。集めた資金は事前合宿などの費用に使われる。

(編集協力・中村和彦、地主光太郎 この記事は、PARAPHOTO2024パリ取材プロジェクトの編集サポートで作成されました)

国際障害者スポーツ写真連絡協議会パラフォト代表

パラスポーツを伝えるファンのメディア「パラフォト」(国際障害者スポーツ写真連絡協議会)代表。2000年シドニー大会から夏・冬のパラリンピックをNPOメディアのチームで取材。パラアスリートの感性や現地観戦・交流によるインスピレーションでパラスポーツの街づくりが進むことを願っている。

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