昨年、日本国内に向けての545億件のサイバー攻撃とは
「ええっ! 545億件のサイバー攻撃を受けているなんて?!」と思われた方に解説です。サイバー攻撃というと、昨年6月に発覚した日本年金機構の情報漏洩や厚労省ホームページが閲覧できなくなる等をイメージするのですが、当然、そのようなことが545億件も起きたわけではありません。実社会で「攻撃」というと、戦争や対テロ組織への作戦行動をイメージしますが、今回の545億件に相当するのは、その戦争や作戦で使用した弾丸の数のようなものです。
545億件というのは、NICT(情報通信研究機構)という国に関連した研究機関が監視しているダークネットと呼ばれる、いわば「おとり」のネットワークに打ち込まれた弾丸の数のようなものです。普通、「おとり」のネットワークであるため、そこにアクセスすることはありえません。しかし攻撃する側は、どこを攻撃すれば良いか、攻撃が成功しそうかを試すために弾丸を打ってみる、つまりアクセスしてみて、その返答を分析するのです。545億件というのは、そういう偵察行動も含めて、「おとり」のネットワークに仕掛けられた攻撃、それも一つ一つは弾丸に相当する手順のようなものです。正確には日本国内全体への攻撃件数でもなければ、弾丸に相当する件数でもありません。
冒頭に引用しているニュースでの本質は、「おとり」のネットワークでさえ、毎日途切れなく、秒単位以下で攻撃を受けていることから、日本国内どこでも、同じように毎日途切れなく攻撃に相当する、いわば不正アクセス(成功しているか否かは別にして)を受けているであろうということと、その件数は昨年に比較して、倍以上になっているということです。
「545億件」の意味は、「毎日途切れなく、どこでも」という意味に解釈すべきであり、それが昨年に比べて倍増しているということです。