山形県沖の地震で防災科研が建物被害推定を公表 新潟県村上市や山形県鶴岡市沿岸で被害か
18日午後10時22分ごろ発生した山形県沖を震源とする地震を受け、国立研究開発法人防災科学技術研究所は直ちにホームページ上にクライシスレスポンスサイトを立ち上げ、面的推定震度分布や建物被害推定を公表した。
それによると、新潟県村上市沿岸部や山形県鶴岡市の沿岸部などで住宅被害(全壊)が推定されている。
【防災科研クライシスレスポンスサイトで公表された建物被害推定】(写真)
建物被害推定は、震動分布の推定結果を使って、建物構造、被災度、耐震基準・年代ごとに異なる被害関数を適用し、250mメッシュごとの被害率を計算し、計算した被害率分布と建物分布データを組み合わせ、建物構造、耐震基準・年代別にメッシュごとの被害棟数を計算し、それらを合計して、建物被害棟数を計算したもの。防災科研によれば「あくまで現時点で入手できた地震観測情報に基づく結果であり、まだ地震観測情報が十分に入手できていない可能性がある」ということだが、2016年4月に発生した熊本地震では、10分程度でかなり正確な被害状況を推定することに成功している。
過去の阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害では、被害状況の全体像を把握するまでに多大な時間がかかり、避難や救助支援など初動対応が遅れるといった課題があった。
このため、防災科研では、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として、2014年度から5年間をかけて、被害状況をリアルタイムに推定するシステムの構築を進めてきた。
この建物被害推定システムは、今年の7月から、特定非営利活動法人のリアルタイム地震・防災情報利用協議会(REIC)が「リアルタイム地震被害推定システム」というサービスとして企業向けに配信することが予定されている。
熊本地震では、4月14日に発生した前震で発災の約29秒後から被害推定情報を配信し、10 分程度で完了。4月16日の本震でも11分程度で被害推定を完了した。算出した被害推定情報は、その後調査した実際の被害情報と比較しても多少の過大評価の傾向は見られたものの、ほぼ同様の状況であったことが実証されているという。