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ケニー佐川が勝手に決める「2018モーターサイクル トップ10」国産車編(1位~5位)

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
「2018モーターサイクル トップ10」国産車編(1位~5位)

2018年を締めくくる意味で本年度に発売されたニューモデルについて、Webikeニュース編集長のケニー佐川が独断で勝手にランキングしてみました。

あらためて振り返ってみると、国産車も本当に多種多様な個性に富んだモデルが発売された年であり、その中でランク付けするのは至難の業でした。話題性や注目度、社会に与えたインパクトやユーザビリティなどを総合的に評価したものですが、あくまでも感覚的なものですので、楽しみながらご参考にしていただければ幸いです。

さて、いよいよ国産車編の1位~5位の発表です。見事今年のランキングトップの栄冠に輝いたのは……。

第1位「HONDA MONKEY125」

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遊び心はそのまま立派に成長した愛されキャラ

誕生から50周年、2017年に排ガス規制により惜しまれつつ生産終了となった先代モンキー。愛らしさはそのままに、大きく力強く、スタイリッシュに生まれ変わった新型モンキー125は、遊び心のさらなるスケールアップをコンセプトに掲げた新世代のレジャーバイクである。

全体的なシルエットはモンキーそのものだが、排気量を125ccにアップし、車格も1.5倍ほどに拡大されライポジにもゆとりができて、普通のバイクとして乗り回せるようになった意義は大きい。ディテールも洗練された。ヘッドライトは丸目ながらLEDで、足まわりも倒立フォークに前後ディスクブレーキ、ホイールもアルミ製と進化させつつ、メタルパーツを贅沢に使うなどモンキーへの郷愁を掻き立てる本格的な作りに熱量を感じる。

車体とエンジンのベースはグロムだから走りも当然イイ。大人の所有意欲を満たすハイグレードな装備と本格的な走りの性能を得て、歴代シリーズが持っていたワクワク感をさらに大きく広げた新型モンキー。半世紀にわたる歴史と伝統をリスペクトしつつ21世紀の新たなモンキー像を描いてみせた手腕を称え、2018年のランキングトップとしたい。

第2位「Kawasaki Z900RS CAFE」

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ローレプに憧れた世代のハートをワシ掴み

かつての名車、Z1が持っていた「操る悦び」を最新技術で再現したZ900RSは、2017年末のデビューと同時に熱狂をもってあらゆる世代に受け入れられた。欧州向けストリートファイターのZ900がベースということで、往年のZ1をオマージュしたネオレトロな外見に反して、羊の革を被った狼的な走りのポテンシャルの高さも人気の秘訣だ。

そのZ900RSにビキニカウルと低めのハンドル、シングル風シートを装備したメーカーズカスタム仕様がZ900RS CAFEである。その名のとおりの正統的カフェレーサースタイルで、STDと比べてもやや前傾ポジションとなり、見た目だけでなく走りもよりスポーティな印象。カウルのおかげで高速道路も快適だ。より華やかで軽快な雰囲気を持っていて、都会の街角にも溶け込むモダンなテイストがいい。昔なら「Z1も渋いがローソンレプリカも素敵!」という感覚に似ているかも。

オジさん世代の郷愁を誘う一台であるという贔屓目もアリ(笑)でこの順位に。

第3位「YAMAHA NIKEN」

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雨でも楽々ヒザが擦れる圧倒的な安心感

NIKENはヤマハが進めるLMW(リーニング・マルチ・ホイール)初の大型スポーツモデル。LMWとは車体全体が傾いて曲がっていく3輪以上の乗り物のことで、NIKENはフロント2輪、リヤ1輪というユニークなデザインが特徴だ。

MT-09をベースに、クロスプレーン3気筒エンジンの元気の良さはそのままにクランクマスを増やすなど、特に低速域の扱いやすさを向上。エンジン特性を選べるD-MODEやABS、トラコン、スリッパ―クラッチ、クイックシフターなどの最新の電子装備も同様だ。

特筆すべきはコーナリングでの安定性で、路面がフルウェットでも思い切りブレーキングできるし、鼻歌まじりでヒザ擦りもできてしまうなど通常の2輪ではありえないグリップ力を発揮する。それでいて操縦感覚は2輪に極めて近いという不思議な乗り物。誰でもイージーかつ安心してスポーティな走りを楽しめる一方で、疲れずに長距離を移動できるメリットも併せ持つなど、可能性に満ちた存在である。

第4位「HONDA GOLDWING」

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▲Gold Wing Tour Dual Clutch Transmission〈AIRBAG〉

華麗に若返った“キング・オブ・モーターサイクル”

世界中にバイクは数多あれども、これほどまでに強烈なオーラを放つモーターサイクルは他に見たことがない。心底そう思えるほど、新型ゴールドウイングには見る者を圧倒する存在感がある。ラグジュアリー色が強い大陸横断ツアラーだった従来型を17年ぶりにフルチェンジし、新型はシャープで躍動感のあるスポーティな方向性へとシフト。「日常から長旅まで幅広く使える軽量・高密度な新世代パッケージ」を目指したという。

唯一無二の水平対向6気筒1,800ccエンジンや、4輪スポーツカー並みのダブルウィッシュボーンサス、後進付き7速DCTに電子制御コンバインドABSなど、今ある先端テクノロジーのすべてを盛り込んだと言っても過言ではないスペックと、贅を尽くしたディテールの作り込みなど、言葉では表し切れない凄さが新型ゴールドウイングにはある。

「空飛ぶ絨毯」にも例えられるシルキーな走りは17psアップされたパワーと軽量コンパクト化された車体、先進の足まわりを得て、まるで巨大なCBRのように猛々しく走る。まさに王者。「キング・オブ・モーターサイクル」の称号は美辞麗句ではない、と実感できる出来栄えだ。

第5位「SUZUKI SV650X」

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原点回帰を掲げたVツインカフェレーサー

「原点回帰」のコンセプトを掲げ、バイク本来の操る楽しさを求めたSV650をベースに、スズキ独自の解釈を加えたカフェレーサースタイルを纏って登場したのがSV650Xである。ネーミングの「X」とはExtra(エクストラ)の意味。つまり、特別なエッセンスを盛り込んだハイグレードで趣味性の高いモデルという位置付けだ。

エンジンはVストローム650や、かつてグラディウス650などにも採用された実績のある水冷V型2気筒で、Vツインらしい歯切れのよい鼓動感と滑らかな回転フィールを併せ持っているのが特徴。しなやかな剛性バランスを持つスチールトラスフレームとの組み合わせにより、軽快でナチュラルなハンドリングが楽しめる。

発進や低回転時にエンジン回転数をわずかに上げてくれる「ローRPMアシスト」機構やワンプッシュで始動できる「イージースタート」など、一般ユーザーに寄り添った、日常で役立つ電子制御にスズキの良心を感じる。80万円を切るお値打ちプライスも含め、隠れた名車といっていいモデルだ。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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