鍋の味 一番人気は 何だろう?
手軽な材料で手間もあまり要さずに美味しく調理でき、そして身体の暖も取れる、冬には欠かせない鍋料理。大手牛丼チェーン店でも相次いで冬場限定のメニューが開発され、好評を博している。その鍋料理において、一番人気はどのような味付のものだろうか。エバラ食品工業が2014年12月に発表した調査結果「イマドキのライフスタイルと鍋トレンド実態調査」(2014年9月30日から10月6日にかけて携帯電話によるインターネット経由で20歳から59歳の男女に対して実施。有効回答数は1000件。男女比・10歳区切りの世代構成比は均等割り当て)から、その実態を確認していく。
多種多様な味わいを容易に調理できるのが鍋料理の魅力。例えば寄せ鍋などのしょう油ベース、水炊き、キムチ、石狩鍋などのみそ、豆乳、カレー、チーズ、ブイヤベースなどが挙げられる。さらに多様な創作系鍋も意外にイケるものがある。それでは今調査対象母集団では、どのような味(スープ・タレのメインとなる風味)の鍋が好まれているのだろうか。複数回答で訪ねたところ、最上位にはオーソドックスにして鉄板なしょう油ベースの鍋がつく形となった。
どの世帯にもほぼ常備されており、多種多様な料理に使われる調味料、日本人にとってソウルフードともいえる「しょう油」。鍋料理でも当然多用され、それが次第に自分の味覚に刷り込まれていく。しょう油ベースの鍋が人気な背景には、普段の食生活における慣れもあるのだろう。
次いで多いのは水炊き鍋、さらにキムチ鍋が続いている。キムチ鍋がみそよりも上位についている点を見るに、同鍋の浸透普及ぶりがうかがえる。そしてみそに続くのは鶏がらベース、塩ベース、割り下ベース。割り下の鍋料理はあまり種類としては多くない事を考えると、すき焼に対する想いが強い人が大勢いるものと考えられる。
以下は回答率が3割未満と少なめ。カタカナの鍋が多く、歴史の浅い鍋がまだ十分な支持確保に至っていないことがうかがえる。しかし料理は得てして「多数が支持をしていなくとも、自分が好き、美味しければそれで良い」的なものなので、自分で食する分にはさほど他人の目を気にしなくても良いのかもしれない。
一方、鍋は基本的に複数人で囲って食するもの。メニューとして用意する立場の場合、多くの人が好みそうな鍋を選ぶことで、より多く人の笑顔を見ることが出来るだろう。
なお具体的な値を抽出できるだけの公開値は無かったので、あくまでも最上位の品目の列挙に留まるが、回答者を地域別に区分した上で、もっとも人気のある鍋の種類を列挙したのが次の表。
北日本はキムチ、東日本はしょう油、西日本は水炊き。きれいな形で人気鍋が分かれることとなった。北日本でキムチ鍋が人気なのは、より身体の温かみを覚えることが出来るからだろう。各地域の鍋における、さらには他の食材・メニューに関する食文化の違いが、好き嫌いの相違となって表れたのかもしれない。
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