「回転寿司店で寿司を注文しない」はアリかナシか
以前は回転寿司で提供される寿司以外のメニューといえば、子供用のゼリーやプリン、バニラアイス、精々茶碗蒸しぐらいだった。ところが最近では客層の多様化やチェーン店毎の独自性を生み出すため、めん類や丼物、フライもの、さらには和風洋風各種揃ったデザート群に淹れたてコーヒーなど、ファミリーレストランと見間違うかのようなラインアップの充実ぶりが目に留まる。また一部宅配ビザなどのような「メインとなる料理を注文しないとサイドメニューは頼めない」という制限も無い。
それでは回転寿司店でそれらサイドメニューなど、寿司以外のもののみを注文して食事を終える食のスタイルは「アリ」なのか「ナシ」なのか。昨今の回転寿司事情における素朴な疑問について、マルハニチロが2014年4月に発表した回転寿司に関する消費者実態調査をもとに、確認していくことにする。
次に示すのはその問いに対し、「アリ」と答えた容認派の割合。選択肢はアリかナシかの二択なので、例えば全体で回答率(28.8%)以外となる71.2%は「ナシ」との意見となる。
同意派は少なく、全体では3割足らず。男女差は無く、世代別では若年層の方が肯定的。また男性よりも女性の方が世代間格差は大きく、女性の若年層は4割が賛意を示している。女性の方が食文化については開放的というところか。
それでは実際に、「回転寿司店で寿司以外のみの注文」をした経験がある人は、具体的に何を頼んだのだろうか。
「(寿司を)食べなかった事は無い」とする意見が52.4%にも達している。回転寿司店で寿司以外のみの食事という食べ方は悪くないとしつつ、自分で実践はしていない人が過半数に達している。またこの値から逆算して、何らかの形で実行した人は47.6%。元々「アリ」とした人は全体の28.8%であることから、回転寿司を月一以上で食している人のうち、28.8×47.6=13.7%の人は、回転寿司店で寿司以外のメニューのみで食事をしたことがあることになる。
実践派のラインアップを見ると、うどんがもっとも多く27.4%、次いでラーメン、スイーツと続く。元々回答者が利用している回転寿司店にないメニューは頼めないので、回転寿司店に採用されていることが多いメニューが上位に来がちとなってしまう。めん類やデザート、そして茶碗蒸しはお馴染みのラインアップではある。
意外に人気が高いのは天ぷらやからあげ、ポテトフライのような揚げ物。寿司と相反するタイプの食品であり、興味深い傾向だ。一方でお酒類やそのおつまみとなるような食材はさほど選択されていない。「居酒屋的な使われ方をされている」との発想もあったが、その利用スタイルは少数らしい。むしろ普通の大衆食堂、ファミレス、さらにはハンバーガーや麺類系のファストフードな使われ方をされている感は強い。
今調査の限りでは、寿司以外での利用客はまだ少数。今後ラインアップがさらに充実するなり、回転寿司店独自のサイドメニューが展開されることで、客層が広がり、今件のような「寿司以外の利用者」も増えてくることだろう。
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