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金融市場を揺るがしている不安材料の行方、米中間選挙やG20、そして英国のEU離脱

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米国のトランプ大統領はツイッターへの投稿で「習主席と長く、非常に良い対話を持った。貿易問題を中心に多くの懸案事項について話をした」とし、「アルゼンチンで開催されるG20で予定される会談で、こうした対話は首尾良く続けられる。北朝鮮問題についても協議した」とツイートしたそうである(ロイター)。

 実はその前にブルームバーグが、トランプ米政権が、11月末からの国際会議に合わせて開く予定の米中首脳会談が不調に終われば、12月初旬にも、中国からの全輸入品に制裁関税を拡大する措置を公表する準備をしていると報じていた。

 米中首脳会談は、11月末からアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれる20か国・地域(G20)首脳会合に合わせて開く方向で調整が進められている、とされている。

 トランプ政権による中国に対する強硬姿勢の背景には、11月6日の米国での中間選挙が大きく影響している。この結果次第では中国への強硬姿勢を緩めてくるのか、それともさらに関税を拡大する措置を取るのかが判断されるのではなかろうか。選挙の行方については事前の予想が大きく外れるケースも出ており、いまのところ結果が出るまでは何とも言えない。

 いずれにしても11月6日の米国の中間選挙や11月末からのG20の行方が金融市場にとって大きな焦点となる。

 そして、英国のEU離脱の行方も注目材料となる。英国とEU間の離脱交渉では10月中旬のEU首脳会議で目立った進展はなく、実質的な交渉期限も「11月まで」から「クリスマス」に延びていた。ただし、ここにきてやや進展もみられるようである。英国のラーブ英離脱担当相は議員に宛てた書簡で、EUとの離脱交渉が11月21日までに妥結することを示唆した(日経新聞)。

 こちらの交渉も今月がどうやら山場となりそうで、もし離脱交渉が11月21日までに妥結することになれば、懸念材料がとりあえずひとつ払拭されることになる。

 イタリアの財政問題、サウジアラビアの問題など不安材料はあるものの、いまのところ世界経済を揺るがすほどの問題とはなっていない。ただし、こういった懸念材料が重なり、リスク回避の動きなども加わって、ここにきて米国の株式市場を主体に大きな調整を迎えたともいえる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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