金価格が初のグラム1万円超え
金(ゴールド)の国内小売価格が税込みで1グラム1万円の大台に初めて乗せた。地金商最大手の田中貴金属工業が29日発表した販売価格は前日比28円高の1グラム1万1円と、連日で最高値を更新した(29日付日本経済新聞)。
この要因のひとつとして円安ドル高による円建ての国内金価格の上昇がある。しかし、それだけではなかろう。
世界景気の減速懸念から「安全資産」とされる金が選好されていることも後押ししていると日経は報じているが、漠然とした不安心理が金購入を後押ししているように思われる。
1万円を超えるとなると金は高くて買えないとの認識も強まりそうだが、それだけ金に対するニーズが強いということの裏返しでもある。
漠然とした不安の背景のひとつに、日銀の金融政策も挙げられよう。どうして物価高にもかかわらず、日銀は強力な緩和政策を続けているのか。日銀は7月に長期金利コントロールの上限を引き上げたものの、イールドカーブ・コントロールそのものは撤廃していない。
日銀はなぜ正常化を進めないのか。もしや正常化に向けた動きをするのが恐いのか。当然そう勘ぐられてもおかしくはない。むろん意地で継続している可能性はあるが、漠然とした不安を取り除くためにも、少なくとも日銀は金融政策の正常化を進めるべきである。
ちなみに、儲けるためというよりも、また分散投資としてというよりも、リスク回避のひとつとして金(ゴールド)への投資は考慮するに値すると個人的にはみている。