NPBも導入すべき?今季から独立リーグで採用されるホームラン競争によるノックダウン制度
【独立リーグが新ルール導入を発表】
米国西部のロッキー山脈地帯を拠点に活動している独立リーグのパイオニアリーグは5月のシーズン開幕を前に、新たなルール導入を正式に発表した。複数の米メディアが報じている。
新ルールは主に3つあり、1つが延長戦を廃止してホームラン競争で勝敗を決するシステムの導入、さらに残り2つが「指名代打」と「指名代走」という新制度を導入するというもの。
【元々はターナー選手のアイディア?】
パイオニアリーグの公式サイトで発表された公式リリースによれば、延長戦の廃止は、投手陣の過度な負担を軽減することを目的にしている。
その代替策として採用されたのが、同リーグが「ノックダウン」制度と呼ぶホームラン競争だ。9回終了時点で同点だった場合、両チームから打者1人が指名され、5球勝負でどちらが多くのホームランを打つかで勝敗を決めるというもの。
もし両打者のホームラン数も同じだった場合は、さらに新たな打者が指名され、今度はサドンデスとなり、先にホームランを打った方が勝利となるというもの。
実は延長戦の代わりにホームラン競争を実施するというアイディアは、今回が初めてではない。昨年新型コロナウイルスによる活動休止期間中に、ドジャースのジャスティン・ターナー選手が地元メディアに対し、シーズン実施案の1つとしてホームラン競争案を披露していた。
今回の決定にターナー選手のアイディアが影響しているかどうかは定かではないが、延長戦をせずに勝敗を決することができるシステムが野球界に登場したことは注目に値するだろう。
今シーズンのNPBは延長戦を取りやめているため引き分け試合が増えているが、ホームラン競争ならば短時間で決着がつくので、NPBでも導入しやすいシステムではないだろうか。
【限定的な出場を可能にする指名代打と指名代走】
さらに現在の指名打者制度よりも、さらにピンポイントの限定出場を可能にしようとするのが、指名代打と指名代走だ。
絶好の得点機を迎えた場面で、足の遅い走者、もしくは適時打をあまり期待できない打者に代わり、ワンポイントで指名代走、指名代打を使えるというものだ。
その回の攻撃が終了した時点で、指名代打、指名代走として起用された選手は、残り試合の出場資格を失い、交代前の選手が引き続き試合に出場できることになる。
もちろん現行ルールでは代走や代打を送られた選手たちは、それ以降の試合に出場することはできない。つまり代打や代走を使えば、それだけロースターに負担がかかり、起用できる選手がどんどん減ってしまう。
しかし指名代打や指名代走なら、ある程度ロースターに余裕を持ちながら試合を戦うことができるようになるわけだ。
さらにパイオニアリーグは今シーズンから、現在捕手と投手だけが行えるスイングチェックのアピールを、打者にもその権利を与えることを決めている。
【将来はMLBでも導入へ?】
パイオニアリーグは1939年に創設された独立リーグで、今シーズンはモンタナ州、ユタ州、アイダホ州、コロラド州を本拠地にする8チームが所属。5月22日にシーズンが開幕し、9月10日まで公式戦が実施される予定だ。
昨シーズンまでは純粋な独立リーグだったが、MLBが昨オフに実施したマイナーリーグの組織改造に伴い、パイオニアリーグもMLBのパートナーリーグの1つに加わっている。
もちろんパイオニアリーグが採用する今回の新ルールについて、MLBもしっかりモニタリングしていくことになるだろう。
それらが見事に機能していくようなことになれば、将来的にMLBで導入される可能性も十分に考えられそうだ。