恐らく18・19歳も投票率は低い…若年層は政治にどれだけ興味関心があるのか
先日衆議院で公職選挙法の改正案が可決され、早ければ来年(2016年)の参議院議員選挙から選挙権年齢が従来の20歳では無く18歳に引き下げられ、18歳・19歳の合わせて約240万人が有権者に加わる。しかし投票率はあまり期待できそうにない。その実情を、総務省が2015年5月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、確認していく。
次以降に示すのは政治に関する回答者自身の想いを語ってもらったものだが、厳密に18・19歳の区分は無い。ただし10代は実質的に13歳~19歳、学生・生徒は中学生から大学生を意味しており、双方を見比べ、大よそその中間位が18・19歳の思惑に近いと読み取ることができる。
まずは「普段から政治に対して関心がある」。
全体では関心派は4割足らず、無関心派は6割超。男女別では男性の方が関心が強く、世代別では若年層ほど無関心派が多い。政治に対する関心が低ければ、当然投票活動へのモチベーションも下がる。学生などは保護者の下で生活している人が多分にいることから、政治への関心まで注力が回らない、優先順位が後回しにされてしまうのだろう。
実際、政治より自分の生活が大事だと思う気持ちは、10代や学生で特に高い。
若年層ほど「あてはまる」の回答率が高く、「政治への関心」の度合いとの連動性も想起される。自分の生活の方が大切であることから、あまり政治には関心を寄せないということだ。
個々の意志が集まって大きな意志を形成すると考えると、それぞれが同じようにあきらめたのでは、集団としてもその流れに従ってしまう。しかし仮に自分自身が何らかの動きを示しても、それだけですぐに世の中が変わるわけではない。そこに無力感を覚えるのは理解できる。
他方、自分の所属する属性で同じ考えを持っている人が多数居ても、その意志≒投票行為がないがしろにされている、変化が見られない雰囲気を実感すると、個々の意見においても「自分の意志が通りにくい」と認識してしまう。10代から30代、特に20代や学生・生徒で「あてはまる」の値が高めに出るのも、自分自身、そして自分も含めた若年層の考えが軽視されている想いを抱いているからだと見ると、道理は通る。逆に50代から60代にかけてそれらの値が下がるのも、意識の奥底で「自分の属性の意見が比較的通りやすい」との認識をしている結果ではないだろうか。
最後は政治に対する難しさの実感度。他の結果を裏付ける動きを示している。女性、若年層ほど「難しい、自分には分からない」との意見が多い。特に10代や学生は7割強が「分からない」を示している。そして歳を経るに連れてその値は減っていく。若年層ほど政治に消極的、無関心なのも、要は難しいからに他ならない。もちろん難しいのが原因で、その他の姿勢が結果では無く、それぞれ相互に結果と原因となっている部分もある。
今件は去年の時点での調査であり、18歳や19歳の人達は自分が選挙権を持つと認識した時点で、政治に対する意欲が多分に底上げされる可能性はある。ただしすでに選挙権を有している20代でも、劇的な意欲の改善が起きているわけではない(10代と比べればそれなりの改善化は成されているが)ことから、良くて20代程度の投票率になることが予想される。
早速各政党、代議士(立候補予定者)などは新たに有権者となる18歳・19歳向けのアピールの施策に関し、さまざまなアイディアをめぐらしている。しかしすでに20代若年層への同様の行動が今一つ上手くいかない中で、どれだけ効果的な手を打てるのか。現在の若年層の政治に対する想いを十分に考慮する必要があることは言うまでもない。
また18歳は高校3年生にも該当しうることから、教師などの教育関係者にも十分かつ慎重、そして何よりも中立性を維持した対応が求められよう。妙なことをすれば、ますます若年層の政治不信、さらには大人不信が助長されてしまうからだ。
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