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実り多き18歳のパリ、全仏初ベスト32の大坂なおみ。ヴァン グリチェン新コーチも高評価

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
全仏初出場ベスト32の大坂。ウインブルドンでも活躍が楽しみだ(写真/神 仁司)
全仏初出場ベスト32の大坂。ウインブルドンでも活躍が楽しみだ(写真/神 仁司)

大坂なおみ(WTAランキング101位、5月23日付け、以下同)が、ローランギャロス(全仏テニス)3回戦で、第6シードのシモナ・ハレプ(6位、ルーマニア)に、6-4、2-6、3-6で敗れてベスト16進出はならなかった。だが、18歳で全仏初出場をしただけでも立派なうえ、ベスト32は評価すべき好成績だ。

通常、テニス界の18歳は、ジュニアの部を卒業する年で、一般のプロ大会を、プロ1年目として戦う若い選手が多く、なかなか結果を残せないものなのだ。

ちなみに、日本女子で、全仏3回戦に進んだのは、2007年大会の杉山愛以来9年ぶりのことで、さらに、18歳での全仏3回戦進出は、1991年大会でベスト16に進出した沢松奈生子以来の快挙。18歳7カ月での大坂の3回戦進出は、沢松に次ぐ歴代2位の年少記録だ。

3回戦で対戦したハレプは、14年全仏準優勝者であり、レッドクレー(赤土)のコートサーフェスを得意とするトッププレーヤーだ。

試合は、全仏で2番目に大きいスザンヌ・ランランコートで行われ、「あのようなスタジアムでプレーしたことがなかったので、試合前はナーバスになった」と大坂は語ったが、プレーが始まってからすぐに落ち着きを取り戻し、第1セットでは、2-4から4ゲームを連取して大坂がセットを先取した。

第2セット以降は、ハレプが早い展開を心がけながら、自分のミスを減らして、大坂を動かしながらパワーを封じて彼女のミスを引き出した。大坂は、ウィナーを26本決めたものの、ミスを38本犯し、セカンドサーブのポイント獲得率は32%にとどまった。

「正直に言えば、全豪で3回戦に進出したので、今大会では、さらにいい成績を残したいと思っていました。でも、クレー(土のコート)は、自分にとってベストサーフェスではないことはわかっていました。(パリで)自分は、世界のベストプレーヤーの一人としてプレーし、何とかハレプを少しでも追い詰めようとしました。(負けたけど)終わってみるとハッピーです」

今回の全仏で、大坂は、1カ月半前から新たに指導を受けているアントニオ・ヴァン グリチェンコーチと一緒に、初めてグランドスラムを戦った。彼は、2005年から16歳のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を指導して、5年間一緒にツアーを回り、世界のトッププレーヤーに育て上げたことのある名コーチだ。

「とてもポジティブな大会になりました。彼女はまだ若いですし、今、成長の過程にいます」とヴァン グリチェンコーチは、大坂を高く評価し、さらに、「そして、トップ選手を倒せると、彼女が自分自身をもっと信じる必要があります」と語った。

今後大坂が、ヴァン グリチェンコーチとタッグを組んで、どう成長していくか楽しみだ。

また、今回の全仏で、大坂は、土居美咲と組んでダブルスにも出場し、1回戦で初勝利を挙げた。さらに、全豪では、恥ずかしがって、あまり得意でない日本語の会見をやらなかったが、全仏では自らやると言って積極性も見せた。

6月下旬に、ロンドンで開幕するグランドスラム第3戦・ウインブルドンでも、大坂の活躍が期待される。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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