スマホ所有は4割強…米国シニアの携帯電話の所有実情をさぐる
インターネットが利用できる携帯電話、特にスマートフォンは多方面のサービスを大きく変化させただけでなく、情報の価値そのものを大きく変えることとなった。このスマートフォンの普及は今やデジタル機器が苦手とされる高齢者にも進んでいる。IT方面技術では常に先を行くアメリカ合衆国における、シニア層のスマートフォンなどの所有実情について、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年5月に発表した報告書「Tech Adoption Climbs Among Older Adults」(※)から確認していく。
次に示すのは65歳以上に限定した、携帯電話の所有率。「携帯電話全体」とはスマートフォン以外に従来型携帯電話も合わせた値。当然、「スマートフォン」単体よりは高い値を示すことになる。
65歳以上でも携帯電話の所有率は8割、スマートフォンに限っても4割を超えている。使いこなしの度合いはまた別だが、少なくともシニアと呼ばれる階層でも5人に4人が携帯電話を、5人に2人以上がスマートフォンを所有している計算になる。60代後半に限れば、実に95%の人が携帯電話を、6割近くがスマートフォンを所有している。
年齢階層別では当然ながら歳が若い方が利用率が高い。歳を経るに連れて身体上の都合もあり、携帯電話を利用していない時期が長く、新たに利用するメリットを見いだせないのだろう。さらに新しいことを覚えるのに難儀する度合いが、歳と共に増加するのも一因だと考えられる。
教育別では高学歴の方が、世帯年収別では高年収の方が利用率は高い。スマートフォンでは属性の差異で3倍以上もの所有率の差が出ている。高学歴の方がデジタル機器による情報収集・利用の価値を見出す術を色々と持っているのであろうし、さらに高年収にもなりやすいからだと考えられる(学歴と年収は少なくとも相関関係があり、因果関係も容易に想起できる)。
ちなみに報告書ではスマートフォンの所有率に関して、一部属性で特に高い伸び率を示しているとの話が挙げられているが、それも含め過去の65歳以上の動向に関わる過去の報告書の値を抽出し、比較すると次の通りとなる。
3年でどの属性も大きな伸びを見せている。特に低値の属性での伸び率が著しい。比率の点では格差は縮小している。しかしながら%ポイントで見ると、逆に格差は拡大しているのが実情。身体上の都合による場合はともあれ、それ以外の属性における差異は、情報格差の観点では小さい方が好ましいのだが。
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※Tech Adoption Climbs Among Older Adults
メイン部分の調査は2016年9月29日から11月29日にかけてアメリカ合衆国に在住する18歳以上の男女に対し電話による対話形式で行われたもので、総数は3015人。757人は固定電話、2258人は携帯電話(そのうち1342人は固定電話を所有せず)。国勢調査などによるウェイトバックが行われている。他調査もほぼ同等の条件で実施されている。