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武尊の一人勝ちに待ったをかける? K‐1の“ハイパーノヴァ”

藤村幸代フリーライター
強豪揃いのトーナメントを制したのは19歳 (C)M-1 Sports Media

【見えないはずのオーラを感じる瞬間】

「今日の大雅(たいが)は、オーラがずば抜けていた」

4月24日、東京・代々木第二体育館で開催された『K-1 WORLD GP2016-60kg日本代表決定トーナメント』大会終了後、観戦者の何人かから、そんな言葉を聞いた。

この場合の「オーラ」とは、選手が全身から発する殺気や気迫などの“気”を意味している。

実際、目に見えるものではないが、不思議なもので観客の多くが同時に、選手が米粒大にしか見えない後方からも、そのオーラを感じ取る瞬間がある。すると、会場全体に期待感と高揚感が一気に満ちる。この空気こそ、映像では味わえないライブの醍醐味といえるだろう。

【2試合にかけた時間は1ラウンド弱!】

超満員札止め、4800人の観客が見守る中、トーナメント一回戦から大雅(TRY HARD GYM/19)は圧巻の闘いを演じた。

60kgクラスでトーナメント荒らしとして名を馳せたベテラン、山本真弘(Golden Globe/32)をわずか1分47秒、カウンターの左飛びヒザ蹴りでKO。無傷で迎えた準決勝では、「倒し合い上等」の闘士(BLUE DOG GYM/32)を、目視不能に近い左のスピーディーな一撃で倒した。KOタイムは一回戦の記録をさらに縮めて54秒。引き上げる背中に、ギラつくオーラが漂い始めた。

元世界王者を下し頂点に立った大雅 (C)M-1 Sports Media
元世界王者を下し頂点に立った大雅 (C)M-1 Sports Media

決勝の相手は、この階級の元世界王者でトーナメント大本命の卜部功也(うらべ・こうや/K-1ジム・チームドラゴン/25)。倒し倒されの試合展開が魅力のK-1だが、この一戦では捌(さば)きの名手である卜部と、瞬発力に長けた大雅が高度なディフェンス合戦を展開し、「ミリ単位でかわしあうスリル」というK-1のもう一つの楽しみ方を図らずも観客に提示した。

3名のジャッジが支持したのは、勢いと一発の重みを存分にアピールした大雅。出場8選手中、最年少の19歳が堂々、9月19日代々木大会で開催される世界トーナメントへの出場権をつかみ取った。

【強さでも知名度でも武尊を超えたい】

現在、K-1では-55kg級世界王者、武尊(たける/K-1ジム・チームドラゴン/24)が絶対的エースとして君臨する。大晦日の格闘技イベント『RIZIN』への参戦や、メディア露出も多く、選手の中には「武尊に一人勝ちはさせない」と、羨望を込めて語る者もいる。

同大会でもKO勝利したK-1のエース武尊 (C)M-1 Sports Media
同大会でもKO勝利したK-1のエース武尊 (C)M-1 Sports Media

-55Kg級時代に二度、苦杯をなめている大雅にとって、武尊は強さでも知名度でも「超えるべき壁」だ。優勝を決めた直後、リング上で語った「格闘技は面白い。一緒に盛り上げて下さい」の言葉からも、「K-1のエースでは物足りない。自分は格闘技界の絶対的エースになる」との決意がにじむ。

16歳のプロデビュー以来、“ハイパーノヴァ(極超新星)”のキャッチフレーズを背負う大雅。今大会で見せたオーラは、まだ輝きの片鱗に過ぎないのかもしれない。

◆大雅のメディア出演情報

【番組名】

ニコニコKrushチャンネル『ニコクラ』生放送

【日時】

4月27日(水)よる8時~9時(予定)

【番組URL】

http://live.nicovideo.jp/watch/lv260265106

※ニコニコ動画のアカウント登録(無料)で無料視聴可能

◆K-1イベントスケジュール(2016.4.25現在)

6月24日(金)国立代々木競技場第二体育館

9月19日(月・祝)国立代々木競技場第二体育館

11月3日(木・祝)国立代々木競技場第二体育館

2017年2月25日(土)国立代々木競技場第二体育館

フリーライター

神奈川ニュース映画協会、サムライTV、映像制作会社でディレクターを務め、2002年よりフリーライターに。格闘技、スポーツ、フィットネス、生き方などを取材・執筆。【著書】『ママダス!闘う娘と語る母』(情報センター出版局)、【構成】『私は居場所を見つけたい~ファイティングウーマン ライカの挑戦~』(新潮社)『負けないで!』(創出版)『走れ!助産師ボクサー』(NTT出版)『Smile!田中理恵自伝』『光と影 誰も知らない本当の武尊』『下剋上トレーナー』(以上、ベースボール・マガジン社)『へやトレ』(主婦の友社)他。横須賀市出身、三浦市在住。

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