新聞を読んでいる人の閲読時間はどれぐらいなのだろうか
・新聞を読む人の閲読時間は平均約27分、70歳以上では40分近く。
・一日数分しか読まない人は新聞を読む人の中で1割強。
・18~19歳では新聞を読む人でも数分しか読まない人が6割近くに達している。
新聞を読む人に限れば閲読時間は平均約27分
新聞を読む人は次第に減少傾向にあるという。それでは新聞を今なお読んでいる人の、閲読時間はどれほどなのだろうか。新聞通信調査会が2018年1月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)の結果から確認する。
今調査対象母集団では朝刊の毎日閲読率は5割近く、頻度は問わずにとにかく読んでいる人は7割近く。夕刊だとそれぞれ1/4近く、1/7程度となる(購読では無く閲読なので、回答者自身が新聞を購入していなくとも読んでいれば該当することに注意)。このうちとにかく読んでいる人(朝夕刊を合わせると全体の68.9%)に対し、その新聞の1日あたりの閲読時間を尋ね、その平均値を算出した結果が次のグラフ。
平均は30分足らず。男女別では男性の方が4分ほど長く、年齢階層別ではほぼきれいな形で年を取るに連れて長くなる傾向がある。
過去調査分からの変化を見ると、1年では大きな変化は起きていないようだが、中期的には20代と30代で増加、40代以降は減少しているように見える。
数分しか読まない人も多い
今調査項目は一日の閲読時間に関して、「数分」「10分くらい」「20分くらい」「30分くらい」「40分くらい」「1時間くらい」「1時間半以上」の選択肢から1つ、自分の実情に近いものを選んでもらっている。その回答状況から平均値を出したわけだが、選択肢のうち「数分」、つまり実質的にはざっと読み、あるいは自分の好みの部分にしか目を通していない(例えばテレビ欄のみ、四コマ漫画のみ、一面のみ、株式市況面のみなど)人の割合を示したのが次のグラフ。
全体では1割強だが、男性よりは女性の方がやや多く、そして当然ながら閲読時間が短い若年層の方が「数分」の人は多い。18~19歳では新聞を読む人の6割近くが、1日あたり数分しか目を通していないと答えている。興味をそそる部分が無いのが主要因だろうが、若年層の新聞閲読層の実情は、ごく一部しか目を通していない現実を知っておくべきだろう。
逆にシニア層では「数分」の人はほとんどいない。50代は新聞を読む人の1割強、60代以上では4%台に留まっている。ちなみに70代以上で1日1時間半以上読む人は8.0%。18~19歳では30分以上読む人は皆無との結果が出ている。
新聞を読む理由は人それぞれで、その理由を充足するのに必要な時間もケースバイケース。株式市況面の注目銘柄を読むだけなら10分もかからないし、地元面をじっくりと読み通すのなら数十分、社会面や政治面、経済面まで含めて読み通し、世の中のあれこれを把握するのなら一時間でも終わるまい。
その閲読時間が大よそ減っている現状からは、新聞で必要とされている情報が減少している実情が推測される。情報の流れ方そのものが加速化しているのも理由として挙げられるが、情報取得ツールとしての新聞の立ち位置が、相対的に少しずつ変化している現状もまた、閲読時間の変化に影響を与えているのかもしれない。
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※メディアに関する世論調査
直近分となる第10回は2017年11月2日から11月21日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3169人。有効回答者の属性は男性1526人・女性1643人、18~19歳63人・20代274人・30代422人・40代567人・50代504人・60代601人・70代以上738人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。