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KLMオランダ航空、中国以外の航空会社で初の「WeChat Pay」支払い導入

佐藤仁学術研究員・著述家
(KLM提供)

 KLMオランダ航空は2017年8月、チケットなどの支払いに「WeChat Pay」の決済を導入することを明らかにした。「WeChat Pay」は中国で大人気のメッセンジャーアプリ「We Chat」(日本のLINEのようなもの)が提供する決済手段。WeChatの月間アクティブユーザー数は9億6,300万人で、そのうち6億人以上が「WeChat Pay」を利用できる。スマホで簡単に支払ができることから、中国では「アリペイ」と並んで人気があり、カフェや町の店舗などあらゆる場所で利用できる。

 中国の航空会社以外で「WeChat Pay」の支払を導入するのはKLMオランダ航空が初めて。オランダで「WeChat Pay」を利用する人はほぼいないので、明らかに中国人客をターゲットにしている。そしてKLMによると、中国でのモバイル決済のうち40%が「WeChat Pay」ということで、無視できない存在になっている。

ソーシャルメディアに注力するKLM

 KLMオランダ航空は以前からソーシャルメディア(SNS)戦略に注力している。Facebook、メッセンジャー、Twitter、YouTubeでの積極的な情報発信のほか、KLMへの問い合わせが24時間可能。オランダ語や英語、ドイツ語、フランス語などの欧州言語だけでなく日本語、中国語などにも対応している。今回SNSの1つにWeChatも追加されることになる。他にもTwitterでチケットの最安値情報を入手することもできる。さらに「ミート&シート」と呼ばれるサービスも提供。これは搭乗者がFacebook、Google+またはLinkedInのプロフィールを共有することで、このサービスを利用する他の搭乗者のプロフィールや座席位置が表示され、座席の指定も可能。例えば目的地で同じイベントに参加する人同士で機内で会話を楽しむことなどができる。

 今回の「WeChat Pay」の導入について、KLMオランダ航空のCEOのPieter Elbers氏は「『WeChat Pay』の導入はKLMのソーシャルメデァイ戦略において次への一歩を踏み出す重要な一歩。中国はKLMにとっても重要な市場。WeChat経由でフライト情報や問い合わせにも対応していく」とコメントしている。

▼KLMではYouTubeでの動画配信にも注力。特に行き先の動画は人気がある。下記は中国・杭州。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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