緊急事態宣言下における豪雨時の避難行動について
4月18日から19日にかけ、全国の広い範囲で大雨が予想されている。新型コロナウイルスの感染拡大により全国に緊急事態宣言が出された状態で、避難勧告や避難指示が出されたら、どう行動すべきか不安に感じている人も多いだろう。避難所に行けば3密(密閉、密接、密集)になる危険性があるし、自宅にとどまれば浸水などの被災がある。ではどうしたらいいのか?
まず、やるべきことはハザードマップを見ることだ。自宅にハザードマップが配られている人はそれを見てほしい。もしなければ、インターネットで国土交通省の「ハザードマップポータルサイト~身のまわりの災害リスクを調べる~」にアクセスすることで、自宅の危険性を調べることができる。
例:「重ねるハザードマップ」に自宅の住所を入力すると、地図上に自宅の場所が表示されるので、「災害種別」から洪水と土砂災害をクリックして、自分が色のある範囲に入っているかどうかを確認する。
その際、色のある場所をクリックすると、浸水の高さが分かる。仮に0.5メートル未満なら床上まで浸水する可能性は低いし、それ以上でも3メートル未満なら、2階建て以上の家なら2階に逃げることで命は助かる。
土砂災害は、さまざまな色が塗られているが、特に「警戒区域」に指定されている場合は注意が必要だ。その他、家の近くに急峻な山や渓流があれば注意すべきだ。
その上で、本当に自宅が危険な場所なら避難すべきだし、もし今いる場所が安全、あるいは2階で安全が確保できるなら、そこにとどまればいい。昨年から、災害時に住民がとるべき行動を直感的に理解しやすくするよう、5段階の警戒レベルで防災情報が提供されることとなり、「警戒レベル3で高齢者は避難」、「警戒レベル4で全員避難」と呼び掛けられたが、警戒レベル4の全員避難になっても、災害の危険がないところにいる人まで避難所に避難する必要はない。
一方、もし今いる場所で安全が確保できそうもないなら、早めの避難をするべきだ。常にラジオやテレビをつけておき、自治体から避難情報が出されたら、避難できるようにしておく。
避難先に持っていくものは、飲料水、食べ物、医薬品、貴重品、洗面用具、予備電池などが挙げられるが、感染防止の観点からマスクや消毒液、可能なら手洗い用の石鹸、多めのタオルやハンカチなどもあるといい。さらに、避難所に行っても3密を避けるためドアが開放されるだろうことから、少し暖かめの服やブランケットを用意しておくことも大切だ。
避難先は、避難所が怖いなら親戚や知人の家に行けないかを検討してみる。車で避難できる安全な場所があれば、車の中にいる方法もある(ただし、他の避難の妨げにならないように注意)。時間的に余裕があるなら、安全な場所にあるホテルや旅館などを借りるのも1つの方法だ。マンションにお住いの方は、上の階にとりあえず逃げられるかを確認しておくのでもいい。
ただし、避難所も感染予防を徹底しているだろうことから、むやみやたらと恐れる必要はない。自分でも、しっかり感染予防ができる支度をして避難所に行けば感染は防止できるし、家が浸水や土砂で被災するよりは、はるかに安全だ。特に、まだそれほど新型コロナウイルスの感染が拡大していない地方都市では感染のリスクは低いと考えられる。
避難所運営については、体育館以外の場所を開放することを検討すべきという記事を前回書いたが、基本的にカゼ症状のある方は、別区画に。高齢者の方もなるべく別区画に配置する工夫が必要になる。
入口には、消毒液を設置し、手指消毒とマスクの着用は義務付ける。できれば受付では非接触型の体温計で熱を測り、最近の行動履歴(海外に行っていないか、身近に感染者がいないか)などを聞く。受付時のペンを持つ前、後に消毒をするなど、細かな部分まで消毒に気を配る。避難者は2メートル以上のソーシャルディスタンスを保てるように配置し、段ボールの間仕切りなどがあれば、早めに設置する。食事の配布なども混雑しないように注意し、あとは可能な限り換気を徹底する。
令和元年東日本台風では移動中に被災される方が多かった。あわてて避難することがないよう早め早めのゆとりある行動が重要になる。