体脂肪を減らしたいなら「一価不飽和脂肪酸」に富んだ食事を。臨床試験が実証【最新情報】
春になり、夏も近づいてきました。男女を問わず「身体の線」が気になる季節はすぐそこです。カッコよく痩せている必要はないと思いますが、余分な贅肉くらいは少しでも落としておきたくなりませんか?
もしもそうなら、今回ご紹介する論文は知っておいて損はありません。
「一価不飽和脂肪酸」に富んだ食事なら同じカロリーでも、多価不飽和脂肪酸(PUFA)や通常の食事よりも体重が減り、それだけでなく体脂肪や腹囲径も減らせるのいうのです。
リオデジャネイロ連邦大学(ブラジル)のマルセリー・クーニャ・オリヴェイラ・ドス・サントス・ロペス氏たちが今年初め、国際学術誌である「欧州臨床栄養雑誌」で発表した論文をご紹介します [文末文献1] 。
「一価不飽和脂肪酸」とは?
その前に「一価不飽和脂肪酸」(MUFA)について、簡単におさらいします。
MUFAはオリーブ油などの植物油に豊富に含まれ、悪玉コレステロールを減らすと言われています。植物油以外ではアーモンドやマカダミアナッツ、牛肉、鶏肉にも含まれています [サントリーウェルネスOnline] 。
動物由来である「飽和脂肪酸」が「悪玉」扱いされるのに対し、海産物に豊富な多価不飽和脂肪酸(PUFA)と並びMUFAは、一般的には「善玉」とされています。
摂取カロリーの約2割をMUFAから摂取
それではロペス氏たちの論文に戻りましょう。
今回同氏たちは、「MUFA食」と「PUFA食」「通常食」が体重に及ぼす影響を比べました。20歳から40歳の肥満女性32人をくじ引きで3群に分け、それぞれに「MUFA食」「PUFA食」「通常食」を60日間食べてもらったのです。
「MUFA食」は摂取カロリーの15~20%をMUFA、「PUFA食」は16%をPUFAが占めるようにしました。どちらもカロリー制限はしていません。なお「通常食」はこれまで通りの食事を続けました。
MUFA食で体重、体脂肪、腹囲径が全て減少
その結果、60日後、「MUFA食」群では体重が平均1.9kg減っていました。一方、「PUFA食」群では0.2kgのみ。「通常食」群では逆に0.7kgの増加傾向でした。
また「体脂肪」が減っていたのは「MUFA食」群だけでした。
「腹囲径」も同様です。減少していたのは「MUFA食」群だけ。減り幅は2.0cmです(PUFA食でも同等に減少したものの、統計学的に「偶然」の疑いを否定できず)。
体脂肪を優先的に減らすMUFA
なぜMUFA食では体重や体脂肪が減りやすいのでしょう?ロペス氏たちは「脂肪を燃えやすくするからだ」と考えているようです。
過去の研究 [文末文献2] からも「MUFA食はまず体脂肪を減らす」ことが報告されています。また「MUFAを積極的に摂ると、食欲が落ち、食べる量が減る」という研究結果もあります。
筋肉量を保ったまま、健康に痩せられそうですね。
身近なのはオリーブ油かナッツ?
いかがでしたか?
MUFAに富んだ食事を摂ると、体脂肪が減り腹囲径も小さくなるという臨床研究のご紹介でした。
このように比較するグループを事前にくじ引きで振り分ける試験を「ランダム化比較試験」と呼びます。人為性を排除できるため偶然の力が働き、各グループの性質が(ほぼ)等しくなります。そのため医学では信頼性の高い研究と考えられています。
今回の研究は参加者が少ないという弱点はありますが、それでも一定の信頼性はあると考えて良いでしょう。
身近にあるMUFAは何でしょう。オリーブ油?それともナッツ?
意識的にそれらの摂取を増やし、夏に備えてみませんか?
減量については以下のような論文紹介記事も書いています。こちらもぜひご覧ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。ではまた!
今回ご紹介した論文
【注意】本記事は医学論文の紹介です。研究結果の文責は「論文筆者」にあります。また論文の解釈は論者により異なる場合もあります。さらにこの論文の内容を否定する論文が存在する可能性もゼロではありません。あくまでも「参考」としてご覧ください。