温泉旅は日常から離れ、非日常の時間を堪能できるのが魅力だ。その時間を特別なものにしてくれる要素が２つある。

ひとつは、源泉の質。新鮮な湯が使いまわされることなく、かけ流しにされている湯船にこだわりたい。循環湯とかけ流しの湯とでは気持ちよさに大きな差がある。

もうひとつは、湯船からの景色。自然豊かな環境に湧く温泉地には海、山、森、川などを望む「絶景温泉」が少なくない。すばらしい景色を見ながら入浴する時間は忘れられない思い出となるはずだ。

そこで今回は、「源泉の質が高い＆絶景が楽しめる温泉」を東日本エリアに絞って５カ所紹介したい。

網代温泉・平鶴（静岡県）

熱海温泉の南に位置する網代温泉の旅館「平鶴」は、地元で水揚げされた海の幸が自慢の温泉宿。露天風呂は海にせり出すようなつくりで、湯船に浸かりながら相模湾を一望できる。まるで海に浮かんでいるかのようだ。夜は、漆黒の先に対岸の灯りがぼんやりと輝き、天を見上げると星空がキラキラと輝く。塩分を含んだ透明湯はかけ流しだ。

コタン温泉・コタンの湯（北海道）

道東の屈斜路湖畔にある無人の露天風呂。24時間入浴可能。湖と一体化したかのようなロケーションが自慢で、湯船につかりながら絶景を楽しめる。冬季は温泉の熱を求めて、露天風呂のまわりに白鳥が集まってくる。男女別の脱衣所はあるが、混浴であることに注意。地元の人がこまめに清掃してくれているので、無人の露天風呂としては清潔感がある。感謝して入浴したい。

須川温泉・栗駒山荘（秋田県）

栗駒山の8合目（標高1126m）に位置する県境の温泉。秋田県側にある「栗駒山荘」の露天風呂は、須川高原の大自然が一望に見渡せる大パノラマが見事。ほとんど人工物がない景色が広がり、春から夏にかけては緑のじゅうたん、秋は紅葉が美しい。湯量豊富で、大きな露天風呂には強酸性の硫黄泉がかけ流しにされている。一方、岩手県側にある須川高原温泉の大露天風呂「大日湯」は、大日岩という巨大な岩を見上げるロケーション。乳白色のにごり湯が美しい。

新穂高温泉・深山荘（岐阜県）

奥飛騨温泉郷にある秘湯の宿。勢いよく流れる蒲田川の河川敷に大きな露天風呂が点在する。露天風呂からは北アルプスの山々の絶景を望む。透明でやさしい肌触りの湯は源泉かけ流し。秋はまわりの木々が赤や黄に染まる。混浴の湯船のほか男性・女性専用の露天風呂があるほか、湯浴み着やバスタオルの着用もOK。なお、近くにある共同露天風呂「新穂高の湯」も混浴。

蓮華温泉・蓮華温泉ロッジ（新潟県）

標高1475mの高所に位置する一軒宿で、白馬岳や朝日岳などへの登山拠点でもある。裏手の山道に4カ所の露天風呂が点在しており、なかでも「仙気の湯」と「薬師湯」は開けた場所に湯船がある絶景温泉。脱衣所などはなく野湯に近いが、北アルプスを望む景色はすばらしい。湯の花が舞う源泉も極上で、かけ流しにされている。10月下旬から冬期休業。