沖縄の海に行く前に必ず確認を 例年発生する水難事故の原因「リーフカレント」とは?
観光のトップシーズンを迎えた沖縄県。エメラルドグリーンの海では、観光客がダイビングやシュノーケリングなどレジャーを楽しみ、海岸沿いではバーベキューや釣りをする地元の人たちの姿が見られる。
ただ一方で、7〜10月は、水難事故が多発する時期でもある。
沖縄県警によると、2017年のことし上半期、沖縄県の水難事故は32件で、過去10年間で最多だった16年の85件を上回るペースだ。32件のうち、沖縄県民の事故が19件で、魚釣りや潮干狩りなどによるもの。12件は観光客の事故で、シュノーケリングとダイビング中の事故が11件を占めている。
中でも例年、発生するのが「リーフカレント」と呼ばれる急に発生する強い潮の流れに巻き込まれる事故だ。第十一管区海上保安本部によると、12〜14年の3年間で11人が事故に遭っている。
同本部の担当者は「穏やかなリーフの中で、魚や綺麗な海の景色に夢中になって、突然沖に流されてしまうケースがある」と説明する。
リーフカレントの流れの仕組みはこうだ。
沖縄の海には、潮が引いた時に姿を現すリーフ(サンゴ礁)がある。リーフは、満潮の時にリーフの内側に溜まっていた海水が外側に流れるのを阻んでしまう。そのため、サンゴ礁とサンゴ礁の切れ目「リーフギャップ」から海水が出て行こうとして流れが速くなる。これをリーフカレントと呼ぶ。急に水深が深くなるのも特徴だ。
しかし、リーフカレントは知っていても、それが原因の水難事故が起きている場所やビーチまではなかなか調べる機会もない。初めて沖縄を訪れる人はもちろん、地元の人にも周知が行き渡っていないのが現状だ。
そこで、同本部のデータを参考に、これまでに水難事故が起きたリーフカレントの場所、23カ所をデジタル地図上に一覧化した。
これまでに水難事故が起きたリーフカレントの場所マップへのリンク。GitHubでデータを公開している。
左上のアイコンを押すと、ビーチや地名が並び、クリックするとリーフカレントの場所を確認できる。
沖縄本島は、大度海岸、名城ビーチ、宮城海岸、残波岬、真栄田岬、万座毛付近、水納島、瀬底島、伊江ビーチ、本部半島、奥港、国頭村海岸沿い。
周辺離島はナガンヌ島、伊計島、宮城島。
宮古島地方は吉野海岸、池間島。
八重山地方は米原ビーチ、吉原海岸、御神崎、黒島、波照間島。
例えば、本部半島北岸を選択すると、赤で表示されたリーフカレントをチェックできる。
沖縄の海を安全に楽しむためにどんな点に注意したらいいのだろうか。
沖縄のマリンレジャーを安全に楽しむための周知に取り組む「FORD1」の渕上竜生理事は、
「ビーチで泳ぐ時には、なるべく沖へ向かって泳がずにビーチに対して並行に泳いで楽しむことが安全です。また、航空写真などを使って海水浴を楽しむビーチの地形やリーフの形を確認しておくといいと思います」。
それでも、万が一リーフカレントに捕まって流されそうになる場合もある。
「流れに対して直角に泳ぎ回避するのが基本ですが、現実には、なかなかうまくはいかないものです。
無駄に泳いで体力を消耗するよりも周りを見て浅いリーフの場所を探して岩などにつかまるのもいいと思います。
沖の流れの緩やかな所まで流れて緩やかになった所で迂回して岸に戻る対応策がありますが、この方法は、ライフジャケットや浮き輪などの浮力体を確保ができない場合は、かえって危険になります。
マスクやシュノーケル、フィン(足ひれ)をつけていても浮力体が確保ができていない場合は、過信しない方が安全です。
少し流れがあると感じるところからはすぐに離れたほうがいい。
ビーチで楽しむときは沖合へは行かず、楽しむことが安全だと思います」。