3%賃上げしても手取りは増えない?中間層への所得増税
経団連と連合のトップらが春闘に向けた考えを説明する「労使フォーラム」が開かれ、今年の春闘が事実上スタートしました。経団連は賃上げの水準として「3%」という数値目標を掲げており、労使交渉では去年までの水準を上回る賃上げが実現するかが焦点となっています。
日本は平均月収は1997年29万8900円、2006年30万1800円、2016年30万4000円──と失われた20年の間ほとんど賃金が上がっていません。この間、物価もほとんど上昇していないので家計で考えると収支には大きく影響しませんでした。
しかし、2019年10月に消費税は8%から10%に増税される予定です。このまま賃金が上がらなければ生活はより厳しくなるでしょう。
また、2018年度税制改正には年収850万円超の中間層への所得増税が盛り込まれています。増税によりどれくらい家計負担が増えるのでしょうか。例えば、年収1000万円の場合は約4万円の増税になります。
高齢者では年金以外の所得が1000万円を超える場合と年金収入が1000万円超の場合は増税対象となります。
公的年金1000万円を超える人はごくわずかで関係ないと思われるかもしれませんが、退職金、企業年金、確定拠出年金(401K)などを一時金ではなく年金受け取りにする場合は公的年金等に係る雑所得になります。
退職金を10年間で受け取るという方法を取る場合、一時的に収入が高くなる可能性もあるので退職金や401Kなどの受け取り方に関しても今後は留意をする必要がありそうです。
世界スタンダードでは年収850万円は決して高所得者とは言い切れない数字ですが、中間層も今後は節税対策などを考えていかなければならないでしょう。
また、所得税は個人単位なので、片方の収入をあげる努力をするよりも、夫婦で収入を分散することがこれからの時代はより有効になりそうです。
「2018年度税制改正のポイント 」
■給与所得控除・公的年金控除から基礎控除への振替
給与所得控除と公的年金等控除の控除額を一律10万円引き下げ、基礎控除額の控除額を一律10万円引き上げる。
■給与所得控除・公的年金控除・基礎控除の見直し
給与所得控除について、給与収入が 850 万円を超える場合の控除額を 195 万円に 引き下げる。ただし、子育てや介護に配慮する観点から、23 歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等を有する者等に負担増が生じないよう措置を講ずる。
公的年金等控除について、公的年金等収入が 1000 万円を超える場合の控除額に 195.5 万円の上限を設ける。公的年金等以外の所得金額が 1000 万円超の場合は、 控除額を引き下げる。
基礎控除について、合計所得金額 2400 万円超で控除額が逓減を開始し、2500 万円超で消失する仕組みとする。