京の冬の旅まもなく終了、見逃したくないお薦めは?
「京の冬の旅」が間もなく終わりを迎えます。今年で53回を数える人気の企画。中でも初公開の寺院はやはり注目。今回は転法輪寺と善想寺をご紹介します。
ひとつ目の転法輪寺(てんぽうりんじ)は、世界遺産の仁和寺の北東部に隣接するようにある浄土宗のお寺で、開祖は関通(かんつう)上人であることから「関通さん」の名前で親しまれています。本堂の阿弥陀如来は像高2丈4尺(約7.5m)の京都最大級の仏像で、江戸時代に桜町天皇追福のために造られたものと伝わります。タイトル画像に見えるようにまさに「御室大仏」の通称名にふさわしい巨大さに圧倒されます。
背後の厨子内に安置された阿弥陀如来立像は、裸のままの姿であることが珍しい童姿の像で、天智天皇の誕生にまつわる説話から安産守護の御利益があります。修復を終えた江戸時代の幅3.9m、高さ5.3mの「釈迦大涅槃図」なども展示されます。
さらに山門は大型の鐘楼門となっており、重さ約4tの大梵鐘を下から見上げることもできます。(安全の為に鉄格子が施してあって落下の心配は、「数秒」なら大丈夫だそうです。)
二つ目の善想寺(ぜんそうじ)は街の中心部ながら細い六角通に面して建っており、このあたりは平安中期関白太政大臣・藤原頼忠の本宅、さらには円融天皇の御所もあった由緒ある場所です。鎌倉末期から室町初期にかけて、元弘・建武の戦で御殿は廃墟となってしまい、その後、開基である想阿善悦(そうあぜんえつ)上人によって浄土宗寺院が創建され、法名の二字を取って善想寺と名付けられました。
境内の「石仏阿弥陀如来」は、平安後期に造立され信仰を集めてきたものであり、地蔵堂に祀られた「地蔵菩薩像」は、天台宗を開いた最澄が自ら彫ったと伝わる念持仏で、「泥足地蔵」や「汗出し地蔵」とも呼ばれて信仰されています。
境内墓地には華道の家元である池坊の歴代住職の墓があり、万治元(1658)年に、池坊三十二世二代目専好師が当墓地にまつられてから、明治41(1908)年の四十二世専正師までの歴代家元がまつられています。
まだ拝観されてない方は、この機会にぜひ足を運んでみてください。