京都の隠れ紅葉と素敵なおもてなし

智積院の金堂と紅葉(写真は以下も全て筆者が撮影)

七条通の東の突き当たりに位置する、真言宗智山派総本山の智積院。こちらは普段は長谷川等伯、久蔵父子による国宝の障壁画の本物を常時見ることができるのが一番の特徴です。さらに奥の書院からは、築山式の池泉庭園を拝観できることでも知られ、ここはサツキの刈り込みが見事です。江戸前期に第7世住持の運敞(うんしょう)によって造園されましたが、もともとこの寺院の場所にあった祥雲寺の時代には、千利休好みの庭園があったとされ、時代が違う庭園が一体化しているのが見事です。庭園の池全体が濁っているのも、前の築山を中国の廬山に見立てた時、池は中国の大河・長江を表しているとか。そのため実際に常に濁っている長江をまねて、あえて下に泥を敷いて濁らしたそうです。

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書院から講堂に回って田渕俊夫氏の四季の襖絵を鑑賞した後は、入口横の収蔵庫にて長谷川等伯、久蔵の「楓図」、「桜図」を見学しましょう。わずか3歳で嫡男鶴松を亡くした豊臣秀吉の命によって描かれた襖絵からは、当時画壇を席巻していた狩野派に渡すことなくこの仕事を受注した長谷川派の熱意や勢いを感じることができます。とくに久蔵の描いた「桜図」の桜の花びらは、胡粉(ごふん)と呼ばれる貝をすりつぶしたものを丁寧に盛って描かれた斬新なもので、花の散らし方、配置も含めて新進気鋭の久蔵の才能を感じることができます。しかし、その久蔵はこの絵を完成した直後に26歳で急死するという悲劇に見舞われたのでした。

そんな智積院は近年、紫陽花紅葉が素晴らしいことでも徐々に知られるようになり、さらにこれらが自由に出入りできる境内で楽しむことができます。今月最初の日曜日(12月2日)でもこの紅葉の色づきでした。まだ紅葉は全体に小さく若いですが、それだけにとても身近に可愛らしく感じられます。

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境内奥の昭和50年に再建された立派な本堂には自由に入ることができ、大日如来の前まで進んで拝むことができます。また6月に紫陽花が見事なのは、この本堂の裏側一帯になります。

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そして、拝観受付付近でふと目にしたお庭を清掃してるお坊さん、なんと散り紅葉を集めて何やら紋様を描かれています。よくみるとそれは智積院の寺紋でもある「桔梗」のようでした。風がさっと吹けば一瞬で飛び散ってしまうかもしれない中で、こうして落ち葉にわざわざ手を加えることによって素敵なおもてなしを試みておられる。すれ違う全てのお坊さんが、いつも気持ちよく挨拶をしてくれることもあいまって、この智積院の印象がますます良くなりました。これからも、自信をもってお客様をご案内できそうです!

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