京都の夏の旅 必見の花山天文台

花山天文台の本館

 東山三十六峰のひとつである花山の山頂にある京都大学花山天文台は、昭和4(1926)年に京都帝国大学付属施設として建設された日本で2番目に設立された大学天文台であり、88年もの歴史を誇ります。現在、京の夏の旅(平成29年7月8日(土)~9月30日(土))にて公開中でしたので、初めて訪れてみました。東山ドライブウェイという場所にあるのでアクセスに少し難がありますが、地下鉄東西線の蹴上駅からですとタクシーで5分。手前の東山駅からはこの時期限定で無料のシャトルバスも出ています。

 東山ドライブウェイからそれてさらに山奥へ。なんとこの花山天文台への道は、戦前に陸軍の工兵隊が訓練も兼ねて造り上げたものだとか。直径9mのドーム型の本館に入って階段を上がっていくと、写真のように口径45cmの屈折式天体望遠鏡が目に飛び込んできます。この巨大な天体望遠鏡でかつては火星の観測が専門的になされ、世界的な発見をし続けたそうです。

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 天体望遠鏡で星を追う際には、鉄のおもりを吊るしてその重力を使って稼働させるのだとか。説明の方いわく、「現代におけるメリットとしては停電に強いということです!」と、確かに電気が一切こなくなっても天体観測が続けられる。。。今はあまり考えられませんが、この存在感やレトロ感は見ているだけで、かつてこれを使って熱心に最先端の観察をしていた様子が伝わってきます。また当時の写真も周辺にわかりやすくパネル展示されてました。

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 本館の天体望遠鏡の横のドアから外へ出ると、建物の外側を一周する通路が備わっており、眼下に大阪方面が遠望できます。この日は晴れていましたので、大阪のOBPのビル群や、ひと際高いアベノハルカスまではっきりと確認できました。さらに進むと山科全体も見下ろすことができました。

 本館を下りて同じく少し小さめのドーム型となった別館方面に移動すると、立ち入ることはできないのですが、107歳の天体望遠鏡(現役最古とも)が太陽の観察を日々続けているとの説明を受けました。さらに横に建つ歴史館(旧子午線館)では、子午線にあわせた形で天井がスライドして開くのを見せていただき、そのスライドした間から子午線にそって定点で天体観測をした様子もよくわかりました。ここの望遠鏡は実際に覗くことができますので、ぜひトライしてみてください。

 京都にいると、名前だけはなんとなく聞いたことがある花山天文台でしたが、一般的に見られるというのは今まで難しい印象でした。実際に訪れてみると、いわゆる観客を想定したものではなく、人気のプラネタリウムなどもありません。それだけにかえってリアリティや専門性は肌で感じるものがあり、さらには京都中心部からの光は一切入らないという立地の工夫など、現地を訪れてみて、なるほどなぁと実感することがたくさんありました。この機会に先人が脈々と築いてきた天体観測への努力と思いを感じてみてはいかがでしょうか。