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ディズニーテーマパークのカチューシャに不満? 海外パークのような派手なデザインを好む?

山口有次桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授
出所:桜美林大学ディズニー同好会(砂守里香、山口琴音、山崎りょう)作成資料

 ディズニーテーマパークでは、カチューシャやファンキャップ、ヘアバンド、ハットやキャップなどを着用して楽しむことが定番化している。これは、パークのグッズ販売に貢献し、客単価向上に一役買っている。

 2012年に発足し、毎年半期に1回行われている複数大学合同のディズニー研究発表会(現在は4大学が参加)が、2023年12月16日に開催された。桜美林大学ディズニー同好会はそこで4題発表し、その1つに「TDRと海外パークのカチューシャ比較」があった。

 日本では、スパンコールのカチューシャの人気があるが、昔のデザインは今より派手な印象があり、コロナ禍以降は特に装飾が少なくシンプルなデザインが主流となっている。一方、ファンの中で海外の派手なカチューシャが話題となり、日本にも派手なデザインが欲しいという声が聞かれる。そこで、大学生を中心にアンケート調査を行った(有効回答数184人)。

現在販売中のカチューシャの例  出所:桜美林大学ディズニー同好会(砂守里香、山口琴音、山崎りょう)作成資料
現在販売中のカチューシャの例  出所:桜美林大学ディズニー同好会(砂守里香、山口琴音、山崎りょう)作成資料

カチューシャがヘッドウエアの定番

 まず、パークに行った際に着用するヘッドウエアについては、カチューシャが圧倒的に多かった。

 カチューシャ 80.4%

 ファンキャップ 12.4%

 ヘアバンド 3.1%

 帽子類(ハットやキャップ)3.1%

 サングラス 1.0%

 次に、一緒に行った人とヘッドウエアを揃えるかについては、「揃える:事前に決めておく」が51.5%、「揃える:入園してから決める」が34.0%と多く、「揃えない」は12.4%、「場合による」は2.1%であった。同行者で揃えやすく、ファッションに合わせやすいことを考慮すると、シンプルで単色のカチューシャの人気があることを理解できる。

カチューシャ満足度は総じて高いが入園頻度が多いと不満が増える

 では、カチューシャのデザインに満足しているのか、入園頻度別にクロス集計すると、全般的に満足している比率は高い。現在のシンプルなデザインが幅広く人気を得ていることがわかる。しかし、年間の入園頻度が多くなるほど、不満の比率が高くなっており、月に1回以上入園する人の約3割が不満を抱いている。そのため、より細密で丁寧なマーケティングを行うとしたら、入園頻度の多いリピーター向けに、例えば海外パークのように派手なデザインを採用することも一考に値する。

出所:桜美林大学ディズニー同好会(砂守里香、山口琴音、山崎りょう)作成資料
出所:桜美林大学ディズニー同好会(砂守里香、山口琴音、山崎りょう)作成資料

リピーター向けのカチューシャデザイン追加

 客単価向上のために商品販売にも力を入れ、実際に好業績を達成している東京ディズニーリゾートのテーマパークにおいて、カチューシャに今より多様性のあるデザインを採用することは、入園頻度の多いファンの不満を少しでも解消し、パークに大事にされていると感じさせる愛情表現となるだろう。

桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授

早稲田大学大学院博士課程修了。博士(工学)。2006年より桜美林大学ビジネスマネジメント学群助教授、准教授を経て、2009年より現職。専門分野は、レジャー産業、レジャー施設、レジャー活動。1990年から『レジャー白書』の執筆に携わる。近年はアジア諸国のレジャー活動状況調査を実施し発表。単著『新 ディズニーランドの空間科学 夢と魔法の王国のつくり方』『観光・レジャー施設の集客戦略 利用者行動からみた“人を呼ぶ魅力的な空間づくり”』、共著『「おもてなし」を考える 余暇学と観光学による多面的検討』『観光経営学』『観光学全集 観光行動論』等。レジャー施設に関する論文多数。

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