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今年が“新浜レオンイヤー”となる5つの理由

山田美保子放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー
(写真:すべて所属事務所提供)

 「演歌第7世代」と呼ばれる20代~30代のデビュー5年前後の演歌・歌謡曲歌手の中で、「明らかに頭一つ抜け出したのではないか」とも言われているのが新浜レオンだ。

 SNSに前述の文言が並んだきっかけは、2月19日にゲスト出演した『NHKのど自慢』(NHK総合・ラジオ第1・国際放送)。岡山県倉敷市からの生放送で、千葉県出身の新浜にとっては縁のない地方だった。

 にもかかわらず、新浜の出演が決まってから県内の商業施設などで積極的にキャンペーンを行った結果、新浜の持ち歌でオーディションを受けに来る出場者は制作側が「合格」を出すほど増え続け、本番当日も地元の女子高校生2名が新浜の最新曲『捕まえて、今夜。』を振り付けも含め披露。残念ながら鐘は2つで合格とはいかなかったが、場内は大いに盛り上がった。

 この日のもう1組のゲストが、『明日は今日より』なるデュエットソングが好評な川中美幸と山田邦子だったことも、新浜にとってはツイていたように思う。イケメンに一家言もつ山田は、「いいコ、見つけた」とでも言いたそうな表情で新浜を見つめていたし、他の歌番組で共演経験のある川中は「息子をよろしく」といった表情で新浜を見守り続けていた。

 番組後半、『捕まえて、今夜。』を披露した新浜は、「御一緒に!」と両手のひらを交差する印象的な振りの場面で観客を巻き込み、同日一番の盛り上がりとなった。

監督の“一耳ぼれ”で人気アニメとコラボ

 ちなみに『捕まえて、今夜。』は、「名探偵コナン」(日本テレビ系)のスピンオフ「犯人の犯沢さん」のオープニング主題歌。TOKYO MXやBS日テレでのオンエアに加えて、Netflixで全世界独占配信も行っている。因って、演歌歌謡界では異例の「Spotify」や「TikTok」で注目をされているところだ。

 「名探偵コナン」と言われて真っ先に思い浮かぶアーティストは倉木麻衣。劇場版の主題歌『渡月橋 ~君 想ふ~』の大ヒットは記憶に新しく、倉木と「名探偵コナン」のコラボレーションは実に25曲を超える。

 新浜は、そんな倉木と同じ「ビーゾーン」所属。だが、新浜が『…犯沢さん』のオープニング主題歌歌手に抜擢されたのは、いわゆる“バーター”ではなく、新浜の歌声をYouTubeで聴いた『…犯沢さん』の監督、大地丙太郎氏による“一耳惚れ”がきっかけだったという。ちなみに、大地監督は世代的にも昭和歌謡で育ったのだとか。

 新浜は、「ビーゾーン」が手がける初の演歌歌謡曲の歌手だが、新浜は他の「演歌第7世代」の歌手とは売り方も違えば露出や現れ方も異なっている。

演歌歌手っぽくない売り出し方

 たとえば、「サンリオ」が制作した新浜のオリジナルキャラクター「れおすけ」の存在だ。同社には、「yoshikitty」という「X-JAPANのYOSHIKIさんに憧れたハローキティが変身した姿」のキャラクターが居て、「YOSHIKIさんの楽曲は全て、ピアノもドラムも完璧に弾きこなす」という特技を持っている。「yoshikitty」も「れおすけ」も、『サンリオキャラクター大賞』に今年もノミネートされている。

 さらに新浜は、「サンリオ」の屋外型キャラクターパーク「ハーモニーランド」(大分県)で「れおすけ」と共にイベントを行うなど、演歌歌謡歌手としては異例の活動もしている。

 異例と言えば、バラエティ番組での露出が際立って高いという特徴もある。今年、新浜が出演したバラエティ番組をザッと挙げると『これ余談なんですけど…』(朝日放送テレビ)、『踊る!さんま御殿‼』(日本テレビ系)、『ポツンと一軒家』(テレビ朝日系)、『SHOW激!今夜もドル箱』(テレビ東京系)、『プレバト‼』(TBS系)、『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)など。

 バラエティ番組専門放送作家の筆者から見ると、「爪痕を残す」というところまでは正直、到達していない。しかし、地元のチバテレビで冠番組も持っている新浜はバラエティ番組に慣れているうえ、「礼儀正しい子」「カンジのいい子」「とにかく一生懸命な子」という評判も各所から耳に入ってくる。そしてそれらは、本業の歌番組の現場へ確実にリターンしている。

大御所歌手や司会者から“愛される力”

 歌番組で共演する先輩歌手の間で、新浜は本当に可愛がられている。五木ひろし、野口五郎、そして「純烈」らが、新浜の居ない現場でも彼の名前を出し、エピソードトークをしてくれているという具合だ。中でも五木は、冠公演や番組に新浜を指名し、度々共演。歌謡曲の専門月刊誌『歌の手帖』や『カラオケファン』などで表紙やグラビアを飾り、連載まで持っている新浜に一目を置いているとも聞く。

 先日、筆者が耳にしたのは、「のど自慢」の司会を3月まで務めていたNHKの小田切千アナウンサーが新浜を褒めていたという話。それが局内の他の番組のスタッフにも伝わっているというのだ。同局の歌番組繋がりでは、「うたコン」の司会を務める谷原章介も、新浜がバラエティ番組などで連発している“レオン語”を使いながら曲紹介をしてくれるという具合である。

 その「うたコン」の4月4日放送回で新浜が歌ったのは、今は亡き西城秀樹さんの『情熱の嵐』だった。まだオリジナル曲がそれほど多くはない新浜は、「新御三家」(西城さん、野口五郎、郷ひろみ)のヒット曲をカバーする機会が多い。放送を受け、西城さんのファンは新浜について、「歌ってくれて、ありがとう」「秀樹を思い出す」「衣装も似ているし似合っている」などと“お墨付き”とも言うべきコメントで絶賛した。

 大先輩のヒット曲をカバー、演歌歌謡界の若手、アニメの主題歌を歌唱、そしてトークバラエティにも出演…と言われて筆者が思い浮かべるのは氷川きよしである。

氷川きよしからも優しい声

 『演歌名曲コレクション』なるアルバムを多数リリースし、「演歌界のプリンス」として演歌歌謡界を20年以上も牽引し続け、歌手活動休止前の「NHK紅白歌合戦」で「ドラゴンボール超」(フジテレビ系)の2期オープニングテーマ『限界突破×サバイバー』を歌った氷川。同曲で新たなファン層を獲得したうえ、「歌が上手な人は何を歌っても上手い」という評価を改めて受けたことは記憶に新しい。

 御存知のとおり、氷川は現在、歌手活動を休止している。「演歌第7世代」の若手歌手は皆、「氷川先輩」を目標に日々懸命に活動をしているが、その氷川も新浜には優しい声をかけていた。

 【1】歌謡界の先輩たちに愛され、【2】歌番組のみならずバラエティ番組に出演しまくり、【3】アニメの主題歌がヒットの兆しを見せ、【4】5周年というメモリアルイヤーの今年5月11日には『LINE CUBE SHIBUYA』(渋谷公会堂)の3階席まで埋めようとしている新浜レオン。

 【5】そして、日本列島が侍ジャパンのWBC優勝にまだまだ沸く中、千葉英和高校の野球部時代にキャッチャーとキャプテンを務め、県内ベスト4の最高成績を収めた「野球少年」の一人でもある新浜には、スポーツバラエティ番組や始球式のオファーもある。

 「頭一つ抜け出した」……筆者も同感だ。

放送作家・コラムニスト・マーケティングアドバイザー

1957年、東京生まれ。初等部から16年間、青山学院に学ぶ。青山学院大学文学部日本文学科卒業後、TBSラジオ954キャスタードライバー、リポーターを経て、放送作家・コラムニストになる。日本テレビ系「踊る!さんま御殿!!」、フジテレビ系「ノンストップ!」などの構成のほか、「女性セブン」「サンデー毎日」「デイリースポーツ」「日経MJ」「sippo」「25ans」などでコラムを連載。「アップ!」(名古屋テレビ)などに、コメンテーターとしてレギュラー出演している。

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