【Yahoo!ニュース 個人】9月の月間MVAとMVCが決定

(写真:アフロ)

■Yahoo!ニュース 個人、9月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました

社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。

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9月のMVA

新型コロナ禍の避難所・避難場所に持参したらいいもの。ただし、荷物の準備で避難が遅れるのは本末転倒(あんどうりす)

筆者による受賞コメント:多様で深みのある記事が多いYahoo!ニュース 個人に掲載していただけるだけでもありがたいのに、賞までいただき恐縮しております。新型コロナ禍で避難を躊躇される方も多い中、持ち物の話題と同時に、何も持たなくても避難を決断する難しさと大事さについてお伝えできればと思い書いた記事です。イラストは江戸川みんなの防災プロジェクトをはじめ防災仲間と制作していたもので、ふだんからのつながりのありがたさを感じています。とはいえ、近年の災害で被災したまま困難を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。まだまだ課題の多い防災や減災の話題ですが、みなさまと一緒に解決へ一歩ふみだせればと願っております。この度はありがとうございました。(あんどうりす

選出理由:特別警報級の台風と言われた台風10号に関連して、新型コロナ禍において避難所や避難場所に加えたい持ち出し品について解説した記事です。台風10号が「非情に強い勢力」になった日の夜に公開し、ユーザーのためになる知識を届けました。台風が近づいたときにユーザーが読む場合も想定して、「危険なら荷物の準備をせずすぐ避難を」と当たり前ですが大切なことを呼びかける配慮の行き届いた内容となっております。また、必要なものもなぜこれが役に立つのかがわかりやすく、筆者の「アウトドア防災ガイド」としての専門性が遺憾なく発揮されています。

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悪徳ブリーダーによる残酷な繁殖の現実… 国の新指針、犬の生涯出産上限6回は適正か?(石井万寿美)

筆者による受賞コメント:コロナ禍でペットブームになっています。一方で、その背後では、ペットの生体販売ビジネスが繰り広げられているのです。悪徳ブリーダーの繁殖用の雌犬や雌猫は、子犬や子猫を産む機械のように扱われている現実があります。犬猫の繁殖に関して2021年から変更される国の新指針は、雌犬は6歳で6回まで、雌猫は6歳までとなりました。これでも少しアニマルウェルフェア(動物福祉)は、前進しました。しかし、この指針を誰がどのように、確かめるかなど、問題は山積みです。小動物臨床の視点で、今後も伝えていきたいと思います。月間MVAに選んでいただき、ありがとうございます。(石井万寿美

選出理由:犬猫の繁殖に関して2021年から変更される国の新指針。臨床獣医師として、その背景から解説し、残されたままの課題を指摘した記事です。一見、ペットを守るための制度が一気に進んだように見えますが、筆者によるとまだまだ不備があり、人間のエゴによって動物の生命が脅かされていると言います。動物の幸せとはなにか、アニマルウェルフェア(動物福祉)はどうあるべきか、日々、動物医療の現場で問い続けている筆者ならではの切実な問題提起になっています。

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「ホワイト企業」宣伝のワタミで月175時間の残業 残業代未払いで労基署から是正勧告(今野晴貴)

筆者による受賞コメント:ワタミ株式会社は「ホワイト企業」であることを喧伝し、多くのメディアもこれをうのみにした報道を繰り返してきました。その間も、同社では過重労働が横行し、「死ぬかもしれない」と思って働いている労働者が存在したのです。同社は内部で被害者がどれだけ訴えても耳を貸さず、労基署からの是正勧告が出ても、まともに対応していませんでした。今回の記事は、このような実情をYahoo!ニュース 個人の「告発」によって、はじめて改善するきっかけを作ることができたとおもいます。(今野晴貴

選出理由:残業代未払いを巡り、「ワタミ株式会社」が労働基準監督署から是正勧告が出されたことをスクープした記事です。

同社は「ブラック企業」と批判を受け、近年では「ホワイト企業」となったことをアピールしてきましたが、業態が異なっても変わらない体質、そしてそれが根付いている実態を明るみに出しました。なぜ長時間労働になっているのか、会社はどう受け止めているのかなど真に迫った内容は、労働相談の現場にいる筆者の課題解決への執念を感じさせる内容です。

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<朝ドラ「エール」と史実>「軍歌」はやはり“タブー”か。古関裕而の曲を「戦時歌謡」とごまかす問題点(辻田真佐憲)

筆者による受賞コメント:このたびは月間MVAに選出いただき、ありがとうございます。これも、いつもお読みいただいている読者のみなさまのおかげです。今回の朝ドラ「エール」は、主人公のモデルが昭和の大作曲家・古関裕而であったため、戦時中の軍歌をどのように描くのかに注目が集まっていました。拙稿は、戦時下篇のスタートにあたり、軍歌という音楽ジャンルが、どのように当時の人々に消費されていたのかを、「戦時歌謡」という概念との比較を通じて論じました。これはトリビアルな音楽史の話ではありません。現在も厳然と存在する、政治と文化・エンタメの関係の話でもあるのです。ですから、拙稿も「自分が古関と同じような立場におかれたらどのようにするだろう」と考えてもらえるような、アクチュアルな論考をめざしました。幸い、多くの好意的な反響を頂戴しました。今後も、楽しく読めつつも、「歴史の教訓」を引き出せるような、バランスの取れた文章を発信していきたいと思います。(辻田真佐憲

選出理由:NHK連続テレビ小説「エール」がいよいよ戦時下篇に突入するにあたり、「軍歌」という言葉があたかもタブーとして扱われ、「戦時歌謡」という言葉に置き換えられていることの問題点を指摘しました。作曲家・古関裕而を通して、史実とフィクションを比較・検討することで、現代の私たちが「政治と文化・エンタメの関係」をあらためて考えるための視座を与えてくれました。

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父はなぜ、息子の棺を蹴ったのか…「加害者」取り違えた警察の捜査ミスと30年間消えぬ飲酒事故遺族の遺恨(柳原三佳)

筆者による受賞コメント:ある日突然、交通事故で家族の命を奪われる。その悔しさは、第三者の言葉で言い表すことなどできません。しかし、あえて言うなら、残された遺族にとって最上級の苦しみは、加害者の嘘や警察の捜査ミスによって、何の落ち度もない被害者に罪が擦り付けられ、名誉まで傷つけられてしまうことでしょう。一度かたちづくられた事故状況を覆すことは、並大抵のことではないのです。私はこうした理不尽な交通事故を『死人に口なし冤罪』と名付け、特にこだわりをもって長年取材してきました。今回お話を伺ったお父様の遺恨は、息子さんを亡くされて30年経った今も、まったく変わっていないことを改めて痛感しました。連日、交通事故の報道が流れています。しかしその中には、本当は「被害者」であるにもかかわらず、「加害者」扱いされているケースが隠れているかもしれない……。そのことを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。(柳原三佳

選出理由:30年前、名古屋で起きた乗用車7台が絡む玉突き事故。当時、警察官で事故死した息子が加害者だと伝えられ、棺を蹴ってしまった父親に改めて話を聞いた記事です。被害者だった息子がなぜ加害者と判断されてしまったのか、真の加害者は飲酒運転だったにもかかわらずなぜ懲役2年の判決だったのか。驚愕の事実を伝えています。

9月のMVC

『NTT、ドコモ完全子会社化 4兆円TOB検討 グループで5GやIoT促進』の記事へのオーサーコメント(石川温)

筆者による受賞コメント:通信やIT業界は予想外の出来事が多々起こります。その時にいかにニュースを発信し、解説できるかがメディアにとって使命だと思っています。フリーランスの個人事業主としては新聞やテレビが発信するスクープや第一報を超える速報記事を出すのはなかなか難しいです。しかし、そうした記事に対して、独自の視点で解説することは可能です。そんな我々の存在価値を提供してくれるのがYahoo!ニュース 個人というプラットフォームだと思っています。今後も個人の発信力を信じて、活動していければと思います。今回の選出は励みになります。ありがとうございました。(石川温

選出理由:NTTの公開買い付け(TOB)実施についての報道から考えられることをコンパクトかつ分かりやすく解説。あわせて次世代通信規格「5G」を見据えた事業展開についても客観的な視点を提供してくれる、価値あるコメントです。