コロナ禍で「コンビニ季節定番商品」はどうなる?店舗の対策と商品展開に変化も【#コロナとどう暮らす】

新型コロナウイルスを経験したことによって、私たちの暮らしは今後どのように変化するのでしょうか。Yahoo!ニュースの「みんなの意見」を参考に、私なりの見解を述べたいと思います。

◆コンビニの冬の風物詩おでんが曲がり角

18年前(2002年)の秋、私は北海道でコンビニの地区バイヤーをしていた。その頃の私は道内の各営業所に出向き、店舗オーナーやアルバイトの方々に向け、店舗で美味しいおでんを提供するための研修業務も担当していた。

料理がほとんどできないような人でも、マニュアル通り、きっちり段取りよく作業を進めれば、誰でも美味しいおでんが提供できる。コンビニの店舗網を利用した数の論理を力の源泉に、低価格で仕入れられた食材は抜群なテイストだ。研修では、主に新発売の具材や温度管理の大切さなどを教えつつ、味を出す具材と味を吸う具材の違いの説明、「大根とごぼう巻」「玉子とウィンナー巻」を近くに配置するといったテクニックなどをレクチャーしていた。

もはやコンビニにおける「冬の風物詩」と言っていい存在だが、コロナ禍の影響により、飛沫感染の観点などから展開方法が急変しているのが2020年のコンビニおでんだ。

顧客の関心も高い様子で、今年の各コンビニのおでんの展開について書かれたYahoo!ニュースの記事でのコメント欄にも、さまざまな意見が寄せられていた。

そもそもコンビニおでんは、鍋のフタを取り、店内にその匂いを漂わせることで購買を誘引するという販売戦略を採っていた。ただ、最善の注意を払っての展開であっても、従業員やお客の飛沫、そして店内の虫の問題は以前から懸念されていた。

今年は衛生面のさらなる徹底強化が必要ということで、フタを閉め、かつアクリル板で鍋を囲むおでんシールドによる展開へと変更されている。

また、おでんの展開の変化による売上のマイナスを補うべく、家飲み対応として自宅で煮込むだけの「持ち帰りおでんセット」の販売を強化している。

何より大手コンビニチェーンでは、基本全店での展開であったはずが、今年からは希望する店舗のみでの展開へと移行しつつあるという大きな変化も生じている。

ファミリーマートでは、1月に発売した冷蔵保存で電子レンジで温めて食べられるカップタイプを、時期を早めて10月に再発売。セブン-イレブンも同様の商品の展開を強化している。

セブン-イレブンの味しみおでん 筆者撮影
セブン-イレブンの味しみおでん 筆者撮影

コンビニおでんは、きっちりと手を入れて展開する店舗では、顧客に大変美味しい商品を提供できる。一方で、適切な温度管理やつゆの補充ができないまま、とりあえず展開しているような店舗については、すえた匂いのする不味いおでんとなってしまう場合が多いなど、展開のバラツキが生じやすいという問題があった。

顧客にとって今年度は、展開店舗が絞られてしまうというマイナス面がある一方、やる気のある店舗での展開が多くなるため、当たり外れ無く美味しいおでんを食べられる可能性が高まる一年となりそうだ。

おでんは、清掃や仕込みなどの作業時間が1時間半前後かかるだけでなく、レジ業務にも時間がかかる。無料の容器や箸・カラシなどの備品の準備も必要になる上、一定数は廃棄が出てしまうことなどから、1日に1店舗あたり100個程度は売らないと、店舗オーナーの利益が出づらい商材だった。それが今年は展開店舗が絞られることにより、残存メリットで販売数が伸びることも十分考えられる。コロナによる巣篭もりでの家飲み増加も、おでん展開店舗の売上アップの後押しとなりそうだ。

◆予約商品は、基本に返り予約のみへ

また、秋口からはクリスマスケーキ、おせち料理など、恒例の予約商品の展開も始まる。例年クリスマスケーキや恵方巻き、土用の丑の日うなぎ弁当など、人気イベント当日は店頭販売も大々的に実施しており、近年では一部店舗の大量の廃棄などが社会問題にもなっていた。

そのためファミリーマートでは、2019年からそれらの人気商品を完全予約販売制とし、店頭販売を基本的に実施しない方針とした。その影響の検証として2020年の夏のうなぎ弁当の実績を2018年時と比較してみると、売上はマイナスになったと推察される一方で、廃棄は約80%減少、加盟店利益は約240%増加というポジティブな結果となった。

食品ロスも大きく改善され、売上至上主義から利益重視へと方向転換できたのだ。

そもそも、コンビニ各本部が予約商品の店頭販売を加速していった背景には、コンビニ各社の運営部門の店舗巡回員などの評価制度の影響があった。商品の販売数や予約商品の獲得数が、昇進や賞与に大きな影響を与えていたのだ。そのため、予約の目標数が達成できない場合は、店頭販売を強化することで目標数を達成しようとする手法が一般化されてしまう。もちろん店頭販売で売上を取れる店舗もあるが、それが拡大解釈されていくことで、無駄な廃棄も広がっていたのだ。

28年前(1992年)私が駅前の店舗で店長をしている時、駅直結のビルに競合店が出店したことで、売上前年比が大幅に落ちてしまったことがあった。コンビニの売上は立地環境に大きく左右される。そのため、なんとか売上を獲得するべく、予約商品である中元やお歳暮の獲得に営業で注力し、一時的に売上・利益を確保する戦略を採ったことで、全国獲得数1位にまでなった。

バイヤー時代には、担当エリアの旭川の店舗がクリスマスケーキの予約数を、営業努力によって約2500件獲得したこともあった。予約商品には、大手コンビニの商品開発力や仕入れ力を十分に活用した高品質な商品が多く、立地にも左右されず売上・利益を獲得できるというプラスの側面を持っている。コロナ禍で売上高は、8月の既存店売上5.5%減と厳しい状況であるが、コンビニにとって、売上・利益確保の大きな武器となるのだ。

特に、コロナ禍でアルバイトの人手不足が大都市圏を中心に数年ぶりに解消されたことで、それらの営業に割く時間を確保できたオーナーは多い。しかし、コロナ禍ではやはり実際の営業活動が難しいため、秋口から始まるクリスマスケーキ・お歳暮・おせちなどの予約活動は前途多難な出だしとなっている店舗も多い。

左からローソン、ファミリーマート、セブン-イレブンのクリスマスカタログ 筆者撮影
左からローソン、ファミリーマート、セブン-イレブンのクリスマスカタログ 筆者撮影

◆コンビニの生命線、新商品にも変化が・・・

コンビニは、どこの店舗でもある程度同じ品揃えで、常に新商品が展開されていることが強みとなっている。その一方で、公正取引委員会のまとめたコンビニ業界の実態調査報告書のオーナーアンケートでは、「意に反して仕入れている商品が『ある』」が51.1%、「必要以上の数量の仕入れ強要が『ある』」が47.5%という回答結果となっている。

コンビニチェーンでは、火曜日に100品前後発売される新商品の展開が重要だった。店舗網を利用した数の論理を力の源泉とし、プライベート商品の開発や仕入れ条件を有利に働かせ、さらにメーカーと協業することによって、高品質で買いやすい商品の展開をすることを可能としてきた。しかしながら、それは公正取引委員会の指導の対象となった。今年の11月までに改善案の提出が求められており、新商品を中心とする販売戦略には見直しが必要となっている状況だ。

さらに、コロナ禍によるメーカーのナショナルブランド商品の発売は、景気の悪化とテレワークの不慣れによる仕事のスピード感の鈍化のWパンチによって、年末から春にかけての新商品の発売数が激減するとも言われている。

定番商品のリピート購買の促進や立地にあった展開など、勝ち残るためには今まで以上の施策が求められるだろう。

 

ニューノーマルを模索し、試行錯誤が続く日本経済。年間約174億人が買い物をするコンビニも、人口減と超高齢化に変化対応する時期が来ているとされてきたが、このタイミングで急速な変容が必要となってしまった。時代とともに変わる顧客変化への対応とあわせ、コロナ禍という戦後最大の変化に寄り添い、新しい形に生まれ変わっていくことが求められている。

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また、Yahoo!ニュースでは「私たちはコロナとどう暮らす」をテーマに、皆さんの声をヒントに記事を作成した特集ページを公開しています。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】