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ナースが「結婚できない」と嘆く3つの理由!合コンでは人気でもセルフ婚活は苦戦!?

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:アフロ)

矢田亜希子さん主演のドラマ『ナースが婚活』(テレビ東京系)が、2024年1月より放送されます。原作者が実際に元看護師で、医療従事者のキャリアコンサル業や結婚相談所を立ち上げていらっしゃり、そのエピソードを元にされているそうです。今回は、仲人業を営むものとして、看護師さんたちの婚活についてお伝えします。

■セルフ婚活では厳しい? 看護師が「結婚できない」3つの理由

私も看護師の会員様の婚活を多数担当してきました。まず言っておきたいのは、法律で定められた教育を受け、国家試験(准看護師は都道府県の試験)を持っている方が看護職に就けますから、どこに行ってもいくつになっても引く手あまた。コロナ禍でも大活躍され、患者の命を救う素晴らしいお仕事ですし、結婚相談所では多くの会員様が成婚しています。

誇りあるお仕事ですが、セルフでの婚活に苦戦しやすいと言われるのは、「休みが合わない勤務体制」と「意外と出会いがない職場環境」、「世間のイメージとのギャップ」という3つの理由があります。いずれもクリニックと大規模な病院では状況が異なり、個人によっても異なりますから、「看護師だから」と一概には言えることではないので、あくまで傾向として捉えてください。

まず「勤務体制」です。看護師さんは土日出勤があり、三交代制の勤務などの場合、一般的な土日休みの方とは休みが合わないので、お見合いやデートが組みにくく、結婚相談所でも苦戦するポイントです。結婚相談所ではお見合いを月10回程度組めるところが月2回程度に留まってしまう、お相手から「結婚後も夜勤があるのはちょっと……」と言われてしまう…ということも。

ただ実際は、小さなクリニック、大学病院、総合病院など勤務先により年収や働き方は様々で、ライフステージによって働き方が選べるメリットもあります。例えば、新卒で大学病院や総合病院に就職してバリバリ働いていて、結婚後に働き方を緩やかに変えたいとなれば、クリニックで週数回の勤務に変えることもできます。

■人には会うけれど、結婚となると「出会いがない」という悩み

次に、「職場環境」ですが、単純に「職場に出会いがない」、「職場での恋愛が難しい」ということ。様々な業種の方が働き、患者さんがたくさんいても、結婚を見据えて自分に合う人を見つけるのは苦労します。その職場や職種内の人間関係や上下関係があり、複雑です。それで合コンやマッチングアプリに出会いを求めるも先に進まず、相談所にいらっしゃる方も多いです。

私の結婚相談所でも、医師の男性と看護師の女性のご成婚はたまにはありますが、目立つだけで実は多くありません。医師の男性は看護師さんをあまり選びたがらない傾向があり、また親が「“看護師なんて”認めない、別れさせて欲しい」と差別的な発言をして、結婚相談所に乗り込んできたケースもありました。医師家系では、医師は格が違うといった自意識を持つ親御さんもいるのです。

また、若い頃に年上の医師や院長とお付き合いをし、それが当たり前という感覚になってしまった看護師の女性は、年齢を重ねて婚活をしても、一般会社員の男性の価値観や収入に満足できないという悲劇も……。

■ナースは合コンや婚活で人気?「気が強い」と言われるワケ

合コンなどでは、「看護師の女性」というと、男性側に「白衣の天使」や「ナイチンゲール」のイメージを持たれ人気だと聞きますが、意外と気が強いと引かれてしまったという話も聞きます。また結婚相談所はお相手も本気ですから、そういったイメージだけで飛びつく人はいません。看護師であれば収入面で平均を上回るケースが多いことは評価されますが、前述の通り、休みや勤務体制を懸念されることも。

一定以上の年齢の男性の場合、介護を視野に入れると有資格者の妻がいたらいろいろと助かる、という見方をする方もいますが、それを良しとしない看護師の方も少なくないでしょう。また、大きい病院では勤務体制的に消耗しますし、入院患者さんの対応でテキパキと動き回りとっさの判断が求められ、オペ専門ナースであれば医師の横について時には怒鳴られながら精神を削って働く方もいます。それらが職業病となり、プライベートでも婚活中でも、気を張ってしまう、テキパキと先回りする、言うべきことをハッキリ伝える……という気質になりやすいことがあります。こういった背景から、「看護師女性は気が強い」「甘え下手」と取られてしまうことも。

しかし、逆に言えば、自身が不規則勤務だからこそ相手任せにしないデートプランを組んだり、患者さん相手に鍛えたコミュニケーション能力で会話上手、気遣い上手になれるとも言えます。職業病は逆手にとって、良い面に変えていければまったく問題ありませんから、婚活指導を通してプラスに変えていくようお伝えしています。

■ぽっちゃりからダイエットしてモテ期に! 看護師とIT会社員の事例

結婚相談所で、IT企業の会社員と結婚した看護師の女性のエピソードを紹介します。

彼女は総合病院勤務で夜勤ありの34歳、年収600万円。身長160cmで体重80kgほどのぽっちゃり体型でした。夜勤明けにストレス解消で外食したり、休憩中に頂きもののおやつを食べてしまったりを繰り返し、30歳を超えてから急激に太ってしまったとのこと。意を決して、婚活を始めて20kgのダイエットに成功。職場では制服で過ごしているのでファッションに興味が薄かったのですが、婚活でたくさんのお相手に会い、痩せたことで着飾る楽しさを覚えました。人生最大のモテ期が来た!と喜んだものの、なかなかお相手を決め切れずに婚活を続けていました。

そこで出会ったのがIT系企業に勤める男性です。39歳で年収600万円ですが、フルリモートなので家事も出来る、子供が産まれたら院内保育を利用したり子供のお迎えに行けるので病院の近くに住もう、と提案してくれるなど、家庭的な協力度が高い方でした。彼女の忙しさや仕事への誇りを理解してくれたことが、彼女の希望にマッチ。

結婚相談所業界では、男性が年上であれば年収も上なのが当たり前、という風潮がまだありますが、この2人は同じ年収。それでも、合わせれば十分な世帯収入になります。彼女が仕事を続け、彼は在宅勤務で家事や育児も担う、というライフスタイルで未来が見えた結果のご成婚となりました。

繰り返しますが、一概に「看護師だから」という婚活の形はありません。あくまで、その方がどんな結婚生活を送りたいか? というご希望に寄り添ったマッチングが必要です。思い込みすぎず柔軟な婚活をすることで、幸せをつかまれることをお祈りしています。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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