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羽生結弦さんの結婚報道で考える、女性が年上の「歳の差結婚」の今

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

8 月に結婚を発表したプロフィギュアスケーター羽生結弦さん(28 才)の結婚相手に関するメディア報道がありました。入籍発表ではお相手や経緯を一切伏せ、現在も羽生さん本人からの公式宣言はありませんが、報道等によれば、相手女性は 8 歳年上の 36 歳、プロのバイオリニストとしての活動歴があるとされています。

推測にはなりますが、それぞれがスケートとバイオリンに打ち込んできた経歴、羽生さんのファンへの想いや結婚観に、女性側が深く共鳴するところがあったからこそのマッチングだとお見受けします。

今回は、報道から着想を得て、結婚相談所や婚活現場で見た「女性が年上の婚活事例」をお伝えします。

■年上女性と結婚する男性像:包容力と、経験値を求める

結婚相談所で成婚する男女の年齢差は、年代によって異なりますが、平均値は男性が 3.6歳年上です。女性が 1〜2 歳年上のケースは少しずつ増えてきていますが、5歳以上年上となると、キャリア女性が多い私の結婚相談所であっても、年 2 組程度と少数です。

どういう男性が5歳以上年上の女性とご成婚される傾向にあるのか、婚活視点で申し上げます。

アスリートや芸事など、特殊な環境で才能を伸ばしている男性の場合、社会経験があったり、生活や健康面のサポートをしてくれる献身的な年上女性と成婚されるケースがあります。以前の記事にも書きましたが、イチロー選手も 26 歳のときに、8 歳年上の元アナウンサー福島弓子さんとご結婚されています。

また、男女共に言えることですが、国内外でグローバルな仕事をしている方は、年齢や性別でパートナーを判断しないタイプが多いです。親世代の“日本の家庭像”に縛られていないので、従来の結婚のスタイルでなくても受け入れられます。

起業家や投資家など実力のあるビジネスマンの男性は、結婚相手の女性に若さよりも、尊敬できる人間性や、対等に話し合える知性、培ってきた経験値や知識を求める結果として、年上と結婚するケースが珍しくありません。

■年下男性と結婚する女性像:精神的にも経済的にも男性に依存しない

逆に、5 歳以上年下の男性と結婚する女性の傾向はどうでしょうか。女性も 30 代中盤くらいから、「年下男性でもいい」とおっしゃるケースがあります。ただ、収入も見た目も素敵な年下男性は引く手あまたになりますから、そのような場合に求められるのが「精神的にも経済的にも男性に依存せず余裕のある女性」だということは、想像に難くないでしょう。

女性側に結婚経験がある場合、収入や社会経験を全面的に男性側に頼りたいと考えていない方が多いので、結果的に離婚歴のある方のほうが、年下男性とご成婚するケースがあります。

また、見た目の面で歳の差を感じさせない……はっきり言えば、若く見える、スタイルがすらっとしていて年齢を感じさせない女性は、年齢に関係なくご成婚しやすくなります(もちろん、仕事面や人間性、料理や家事など、見た目以外の魅力でお相手を惹きつける方もいらっしゃいます)。

男女ともに言えることですが、年上ならば年下をサポートできる包容力が必要です。また、年齢差に見合うスキルや知識があり、尊敬できる存在になれること。そして、年齢差があっても恋愛対象となるような、見た目やコミュニケーション能力が必要になります。これらのハードルを大いにクリアできる相性が、歳の差結婚のマッチングの肝と言えるでしょう。

■年齢差 7 歳、年収差 3 倍! 経営者女性と技術職男性のカップル

実例としては、女性は 1 回の離婚歴があり 39 歳、男性は初婚の 32 歳という 7 歳差のカップルが結婚されたことがあります。女性は海外と取引が多い会社経営をしていて、男性は技術職のサラリーマンでした。男性はイケメンですが、やや控えめな性格。年収は、女性が 3 倍ほど多く経験豊富で、若々しくパワフルな方でした。女性は、過去にとても好条件の男性ともお付き合いしていましたが、結婚観がぶつかったり、似たもの同士だからこその衝突が多かったりという経験がありました。その点、結婚相手となった年下男性は自分を尊重し、気遣いをしてくれて、生活面ではしっかりと自立していたところがマッチングの肝となりました。この男性ならのびのびと自分らしく暮らしていけると思ったのだそうです。経営者と会社員という違いも、互いがポジティブに捉えていらっしゃいました。

■「若く見えるから年下男性がいい」と勘違いする女性も……

一方、上手くいかなかった事例もお伝えします。

50 歳で会社役員の女性は、相手男性の希望年齢を「35 歳から 45 歳まで」とし、結婚相談所に入会しました。その理由を聞いてみると、「40 代の頃に 10 歳年下と付き合ったことがある。お金はいくらでも払うから、15 歳年下くらい紹介できるでしょ?」と言うのです。

実際に、年下男性とのマッチングを試みましたが交際には至らず、お断りが続いてしまい、プライドが傷ついた彼女は「ロクな男がいない」と言って、退会してしまいました。

一般論として、社会的な地位が上がると、年下男性が部下になります。部下は上司を敬う気持ちから、「先輩は若く見えますよ」とお世辞を言うケースがあり、それと過去の栄光が合わさった結果、「私は若く見える、部下にも慕われている。部下と同じくらい年下の男性とも結婚できるはず」と思い込んでしまうことがあるのです。

いずれにしても、「年下がいい・年上がいい」という絵にかいた理想で相手を選ぶより、人間力や内面を見て「どんな結婚生活やパートナーシップを築きたいか?」 という点を重視して、結果として、たまたま年齢差のある方とマッチングした、というご縁のほうが相性は良いでしょう。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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