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福原愛さんの長男引き渡し問題で考える、子連れ離婚・再婚の今

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

■福原愛さんの長男引き渡し問題で考える、子持ち離婚と再婚

元卓球日本代表の福原愛さん(34歳)と元夫・江宏傑さん(34歳)の長男引き渡し問題が物議を醸しています。理想のおしどり夫婦から、不倫報道やモラハラ疑惑が浮上するなどして離婚。

元夫の江宏傑さんが7月27日に記者会見を開き、昨年福原愛さんが子供を台湾から日本に連れ帰り、その後連絡を絶ったと主張しています。これに対し、福原さん側は代理人を通じて猛反論し、「子供守る配慮を欠いている」「母として子供を守る」とするも炎上。報道に対し、「夫婦内で解決を」と発言した方などにも飛び火しているようです。

報道ではお互いの主張が食い違っている最中ですから、今後を見守るしかありません。

夫婦問題についてのご相談も多く受けている立場から私が言えることとしては、一般的に離婚問題のなかでも子連れの場合、お互いの言い分や、望む条件が複雑化しやすいということ。離婚は相手の合意がないとできませんし、お互いの言い分がありますから、協議が成立しない場合には、第三者を入れて、調停を申し立てるのが良いことがあります。憎み合って離婚し、親権の奪い合い、子供を会わせる・会わせないという揉め事に発展するのは、双方にとっても、子供にとってもつらいものです。調停手続でも、話し合いによる解決を目指しますから、お互いが視野を広げ、様々な家族の形を知っておくことに損はありません。

なお婚活の現場では、子持ちで再婚を望むかたのお世話をする機会も多くあります。実例を挙げ、円満子連れ再婚へのアプローチをお伝えしたいと思います。

■子連れ再婚の今――環境が変わったときに幸せになる選択

前提として、共働きの時代となり離婚や再婚が増え、家族の形も多様化しています。夫婦が添い遂げる努力をすることはもちろん素晴らしいですが、我慢して結婚生活を続けることだけが美徳ではなく、お互いのため、子供のために離婚を選ぶ選択肢はあってよいものです。

結婚相談所でも、最近は夫婦が離婚しても、父子の関係を良好に築いているケースが多くなっています。日本の場合は、母親側が親権を取るケースが圧倒的に多いので、前妻である母親が離婚後の父子の関係をどこまで許容するかどうか、そして、現妻がどう受けとめるかということになります。

最近、スピードワゴンの井戸田さんが、18歳になる前妻との娘さんと、再婚した妻と3人でディズニーランドへ出かけた、というSNS発信が話題になり、私も見解をコメントさせていただきました。娘さん、前妻、現妻、それぞれの心の広さや人間性があっての関係性です。特に現妻の女性は若く初婚にも関わらず、前妻との娘さんの存在を受け入れられる器がある、これは素晴らしいことです。

人生100年時代、環境・時間・働き方・お金の稼ぎ方や使い方は、その時々で変わっていきます。今、お互いが幸せでラクに生きられる相手を選び直しても、お互いの幸せを応援する、友達のような関係は継続できます。

私の知人男性は、3回の結婚と2回の離婚を経験されました。元妻との間の娘さんの誕生日パーティに、前妻やほかのお子さんを呼び寄せて盛大におこなうこともあるのだとか。こういった家族の形もあるのです。

■40代再婚、男性の娘3人を連れて旅行へ行くカップルも

もうひとつ、結婚相談所での円満子持ち再婚の事例もお伝えしましょう。

ある男性は離婚経験がある45歳で、前妻との間に小中学生の3人の娘さんがいらっしゃいました。親権は前妻が持ちましたが、夫婦の話し合いにより、離婚後も父親である男性宅に毎週娘たちが泊まりに来る関係を続けていました。

その男性は、結婚相談所に入る際、娘たちとの今の関係を受け入れることを条件にしました。結果、離婚経験あり・子供なしで、仕事で子供と関わっている47歳の女性と出会いました。彼女も最初は驚いたようですが、「子供はいつか大きくなっていくので、小さいうちは、親子仲を大切にしてほしい」と言い、引き離すことなく、今まで通りの父子関係を受け入れ、仲を深めていきました。ふたりは成婚前に、娘3人を連れて温泉旅行に行き、彼女が娘さんの髪を乾かしてヘアアレンジをしてあげている様子を見て、彼は再婚を心に決めたのだそうです。

離婚歴があるのは構わない、という人は多いですが、子連れ、もしくは養育費があるとなると難しい、もしくはお子さんの年齢や人数によっては難しい……という人は少なくありませんから、非常に心が広い女性でした。

■家族が多様化する一方で、子供への影響は注視を

3組に1組が離婚する時代になり、離婚への偏見は少なくなり、ステップファミリーや子持ち再婚をした家族への理解の幅は広がっています。今回の福原さんの件で、日本の共同親権導入への議論もなされています。結婚・離婚・再婚の形が多様化していく未来はそう遠くないでしょう。ただし、夫婦間の問題を子供に押し付けたり、子供のためと押し通すことは、幼いお子さんの心に傷を残すことになりかねませんから、これから離婚・再婚を考える方々には、慎重に進めていただきたいと思います。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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