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親が原因で壊れる縁談が2割!悩む婚活当事者がとるべき4つの対処法

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:イメージマート)

■結婚直前、親が原因で縁談が壊れるケースは2割

私の結婚相談所には、独身のお子さんを持つ60~70代のお母様からのお問い合わせも多く、その内容は「テレビで見たのですが、うちの息子、娘も結婚させられますか?」というお悩み相談です。「子供の将来が心配だけれど、本人に結婚の催促をすると嫌がられる。自分の目の黒いうちに結婚して自立してほしい」とおっしゃり、こっそりとお電話されているケースもあります。一方、親御さんとの関係に悩む婚活世代も多く、親に結婚を反対されたり、親の干渉で縁談が壊れた経験がある人もいらっしゃいます。

実は、親だけが悪い、子だけが悪いという話ではありません。親は子離れできていない、子は親から自立できていない。親は心配で子に干渉してしまい、子は自分で決められないから親に委ね、自分の意見がないから親に言い返せず言いなりになっている……というように双方に原因があるケースもあります。これが婚活をはじめ、親元を離れようとするときに、親子問題として露呈するのです。

結婚相談所での体感としては、本人同士の相性がよくても親御さんが原因で破談になるケースは2割ほど。実際にいろいろな問題を見聞きしてきました。

弊社の会員だったある女性は、自宅のパソコンでお見合いの申し込みをしていると、お母様が覗きこんで「この人にしなさいよ」と指図をし、本当は嫌だったけれどお見合いを申し込んでしまった、というケースもありました。ご本人にお見合いが決まったと連絡すると、私は希望していないと言いはりましたが後の祭り。結局、お相手にも失礼に当たりますから、厳重注意の上に、違約金を払ってキャンセルしていただくことになりました。

ほかにも、34歳会社員の女性が、婚活相手の家に行くことになった時のこと。彼は玄関で「頭にシャワーキャップをかぶって家に入ってくれ」と言ったそうです。理由を聞くと、「お母さんが週に一回来るから、髪の毛が落ちているとバレるから。長い髪の毛があったら、誰なの? と言って文句が始まるからさぁ」と。女性からは、「それを困ったふりして容認しちゃってる彼っておかしいですよね」ということで即破談になりました。

そんな状態でなんとか結婚したとしても、結婚後はどうなるか、想像がつくでしょう。結婚してからもついてきちゃうような親子関係では、結婚するにはまだ精神年齢が追い付いていないということです。特に、新婚1年という期間は価値観のぶつかり合いですから、夫と妻でしっかりと向き合わなくてはいけないのに、親御さんとセットになってしまうと、親御さんと向き合うことになったり、夫婦で向き合えなくなってしまいます。

こういった親の過干渉に、結婚前に気づけるのは幸いなケースかもしれません。結婚後に問題になることもあるからです。

例えば、結婚後の夫婦が関東から九州に2年ほどの長期転勤をすることになって、男性側のお母さんが家が傷まないように、たまに風を通しに行ってあげるわねと言っていたそうです。ある時、荷物を取りに自宅に戻ってみると、引き出しの中を物色された気配があって気持ち悪くなって、夫から意見してもらったということです。

■過干渉な親御さんに困っている婚活当事者ができる4つの対処法

親御さんの干渉を止めたい、またはやめてほしいと自分で言えるようになることは、本来婚活以前に解決すべき問題です。ただそれがうまくできず困っている方が婚活を始める場合に、よりよい方へ向かうための4つの対処法をお伝えします。前向きな気づきとなると幸いです。

1.「結婚は自分で決める」「心配しなくても大丈夫」とハッキリ言う

親がいろいろ言ってきて困る、結婚しようとすると反対される……という相談を受けた場合、まずは一度ちゃんと話をしてくださいと伝えています。

親の心理として、「はやく結婚して一人前の大人になってほしい気持ち」と「大事に育ててきた子が自分から離れていくのが寂しい気持ち」が同居して、世話を焼きすぎてしまうことがあります。結婚して別の家庭に行くと考えると、娘や息子を取られたような気持ちになってしまうのでしょう。

まずちゃんと親と向き合って、真剣にきちんと話をしてみましょう。自分はこんな人生設計をしていて、こんな結婚生活をしたいと思っている。そうなったら、仕事はこうして、家庭はこうしたいと思っているから、自分なりの婚活を始めます。お母さんのことはとても大事だけど、自分はもう子供じゃないから大丈夫。結婚相手は自分で決めるから、どうか見守っていてください、と言ってみましょう。それでも干渉されたら、もう一度「心配しなくても大丈夫だから、私を信じて」と言ってみてください。

一方、婚活中に途中経過をいちいち親御さんに報告してしまう人は自戒しましょう。自分なりにたった一人の結婚相手を決めてから、「こんな素敵な人です、彼と結婚します」と前向きに報告すれば、相談ベースで途中経過を伝えるより理解を得やすいはずです。

2.家を出て、物理的に距離を取る

最近は、家賃を抑えられるなどの経済的なメリットから、実家住まいをしている未婚者も増えています。でも、もし親から自立したいと考えているなら、家を出て、自分の家計を自分で回してみましょう。稼ぎがあることと、家計をひとりで回すことは、少し意味合いが違います。

光熱費の引き落とし手続きをして止まらないようにして、トイレットペーパーや洗剤がなくなったら補充して、自分の食べるものを自分で料理して作れるようにする……そういうことをやってみることが、親から離れる、自立することです。経済的にも精神的にも自立して、物理的にも親の傘下から出てみると、もう大人なんだから何でも言いなりになる必要はないんだ、ということを自覚できます。

家族や家庭を作る前に、自分一人で暮らしをまっさらにしてみるというのは、結婚するのに必要なことです。生活ってなんだろう? ってことを分かってからでないと、夫婦生活の相手にも迷惑をかけることになります。

簡単に言うと、実家にいて世話をされていると、トイレットペーパーや歯磨き粉が切れていて困った、なんて体験はしません。そういう日常生活の実体験を身に付けることは、どんな場面にも役立つことです。その次のステップとして夫や妻というパートナーを作れば、相手に頼り切ったり、やってもらって当たり前と言う考えからも抜け出せます。

3.自分の意見をちゃんと持つ

自分の意見を持ち、今の社会背景や、現実的な結婚生活を分かっておくと、「お母さん、その考えはちょっと違うよ」と自分の親を諫めることができます。

よくあるのが、「うちの娘は優秀で年収600万円も稼いでるのだから、相手の男性には2倍3倍稼いでもらわないとね。1200万円、1800万円以上の人じゃないと釣り合わないわ。あんな人と結婚したら、いつまでも働かされるわよ、可哀想に!」という親世代の意見。

もし自分の決めた相手にそういう反対の目を向けられたらどうしますか?

「お母さん、この不況の時代、35年間も年収が上がっていなくて、男女平等が進んでいるんだから、男性だからといって2倍3倍である必要はないよ。私を含めて、女性も自分の意志で自分のキャリアを築きたいと思っているし、世帯年収が十分でも共働きを望む人はたくさんいるよ」とちゃんと言える力をつけましょう。そうすれば自分の親が干渉してきたとしても、必要以上に踏み込んでくることを防げるようになります。

時代が違う、親御さんの意見を鵜呑みにしないためにも、同世代の結婚している友人や時代背景を分かった上で導いてくれるような先輩や、結婚相談所に入っているならアドバイザーなどプロの意見を聞いて、今どきの結婚観を頭に入れておくといいですね。

親の言う通りにするのが当たり前のまま大人になっていると、婚活相手に向き合う前に、親御さんに向き合ってしまう人がいます。例えば相手の言動に気になることがあった場合、本人に「私はこう思うのですが、どうですか?」と言うべきことを、言えずに「婚活相手にこんなことをされた!」と親御さんに言いつけてしまうのです。当然、自分の子供は可愛いですから、「なんてひどい、相手が悪い!」となってしまいます。

他の例では、婚約後にカップルでエンゲージリングを決めに行った際に、40代の女性は内心もっと高い指輪にあこがれていて、“婚約指輪は給料三か月分”という時代に結婚した親御さんに言いつける。結果、「お母さんの時代は、100万円、200万円が当たり前だったわよ」と拍車をかけられてしまうケース。こういったときも、今は給料1か月分以下の30万円くらいが一般的ですから、時代が違うのだということを自覚すべきですし、40歳を過ぎた娘さんが親御さんにいいつけるのがおかしな話だと知るべきでしょう。

4.反対されても、もう自分の意見を通す

結局は、子供が幸せだったらそれが一番の親の幸せです。結婚して夫婦仲良く暮らしていたり、孫が生まれたりすることが分かれば、反対していたとしてもだんだんと態度が軟化して、最終的に収まるところに収まることがあります。ですから、反対されていちいち狼狽せず、一時的に仲が悪くなることも覚悟して、結婚したいと思ったなら結婚するというのも一案です。

ある38歳の婚活女性は、親御さんの介入で2回も破談になってしまったと言って、最後の砦として私のところにいらっしゃいました。「今度はお母さんに何を言われても、自分の意見を貫けますか? それを断言できないなら、私はお世話しません」と伝え、約束していただきました。3度目の正直でちゃんと自分で選んで、自分の意思を貫いて結婚しました。それを知ったお母様は「私をないがしろにした、勝手に結婚するなんて」と怒り、結婚後1年くらいは疎遠になったそうです。でも、孫の妊娠を知らせると急にしおらしくなって、だんだんと態度を和らげていき、今ではちょうどいい距離感を保てるようになったということです。

もう一人は、1回の離婚歴がある37歳の歯科医師の女性でした。彼女が婚活で決めた男性は同じ歳の会社員だったのですが、女性側のお母様は「うちは医師家系なのに会社員なんて」と反対しました。そして、「1回目は私の言うことを聞かなかったから、離婚したんじゃない。2回目もまた失敗するわよ」とおっしゃったそうです。彼女は「一度離婚を経験して、自分なりに同じ失敗をしないよう、相手のお育ちやバックグラウンドにもちゃんと向きあって、この人であれば大丈夫と思って決めた、彼のこんな一面を尊敬しています」と何度もお母様を説得しました。それでも断固反対されたので、彼女は親と縁を切ると宣言しました。その後実家に置いていた荷物が送られてきて、親は結婚式にも出ないという事態になり、揉めに揉めました。それでも相手男性は、「自分と結婚することで不仲になるのは申し訳ないし、いつかは仲良くして欲しい。でも、彼女がそれでいいと決めたなら、僕もそれでいいです」といって結婚されました。

以上が4つの対処法ですが、これを見た上でも「自分には意見できない、自分では相手を決められない」という場合、親が決めた人と結婚する、というのもまた一つの方法です。自分の結婚の最終責任者は自分だけ。親の意見を取り入れない、取り入れる、と決めるのもまた、自分の決断なのです。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人のテーマ支援記事です。オーサーが発案した企画について、編集部が一定の基準に基づく審査の上、オーサーが執筆したものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています。】

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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