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20代独身男性の約4割がデート経験なし!婚活男性の失敗デート事例

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:アフロ)

■20代男性の約7割が「恋人なし」、20代独身男性の約4割「デート経験なし」

内閣府が6月14日に公表した「男女共同参画白書 令和4年版」で、20代独身女性の約2.5割、20代独身男性の約4割が「デート経験なし」という調査結果が出たことがテレビメディアでも多数取り上げられ、話題になっています。

調査によれば、デートした人数0人と回答した未婚者は、20代女性の約2.5割、20代男性の約4割。年齢を重ねると多少は減少するものの、30代未婚者では女性の約2割、男性の約3割、40代~60代でも女性の1割、男性の2割はデート経験がないとしています。

また、男女全世代の2割以上が「配偶者・恋人いない」と回答し、20代女性の約5割、20代男性の約7割が「配偶者・恋人いない」と回答しています。交際する前の段階で、デートもしない、だから交際にも発展しないとも言えそうです。

今回の結果を受けて、若者がデートや交際をしないのは、経済の低迷や、娯楽の多様化などの社会背景によると結論付けるコメントは多数お見受けしました。婚活現場を見ていると、それだけではなく、1対1で向き合うコミュニケーションが苦手で、男女ともに“受け身”の精神性が大きく関係していると感じます。

今回の調査を受けて、野田聖子大臣は「もはや昭和ではない」とおっしゃいました。積極的な男女を増やすには? と問われれば、カムバック昭和!と言うしかないのかもしれませんが、当時から時代も産業も変わっていますから、もう後戻りはできません。

現代は必要以上に他人と関わらなくてもよくなり、逆に、関わりすぎることがマイナスになる、批判される、自分自身にもストレスになるという時代になってきました。自分から行動したり、アプローチして面倒くさいことになるくらいなら、黙って受け身でいるほうがいいという考え方になるのも自然です。

恋愛をしなくても友達がいて仕事をしていれば、表面的なコミュニケーションは可能です。しかし、1対1で膝を突き合わせ、相手の内面やバックグラウンドを知ることは、意外と恋愛以外では機会がないのです。

年齢が若いうちは仕事や趣味でのコミュニティが充実していますから、それでいいと考えていても、一定の年齢になると考え方が変わる方もいらっしゃいます。収入・働き方、両親の希望などから将来を見据えたり、友人知人や同僚の結婚を目の当たりにして「やっぱり結婚したい」と態度変容する方は少なくありません。30歳・35歳・40歳と節目を迎えた時に手軽な方法で婚活を始めてみたけれどうまくいかない現実に直面し、私のところにいらっしゃるケースが多いのです。

■結婚相談所は入会者の4~5割が「交際経験なし」

実際、結婚相談所での体感では入会者の4~5割が交際経験がない、デートをしたこともない方です。お見合いや仮交際を通して経験値を積む、ある種「短期集中講座」の役割となっています。

入会時のカウンセリングで過去の恋愛やデート経験をヒアリングするのですが、あると言っていても「大学時代に、異性と食事したことがある/映画にいったことがある」という内容で、恋愛といえる恋愛をしないまま社会人になった。職場には出会いはなく、仕事も忙しくてそのまま30代になったので、結婚相談所に入ることにした……というお話はまったく珍しくありません。

一般的な恋愛では、3名程度の方と交際し、3年ほどの交際を経てご結婚へ進まれるのが平均的です。しかし婚活の場合は短期間に凝縮された経験を積んでいただきます。さらに全員が結婚前提ですから、お互いの内面も条件も、相手の親族ともしっかり向き合っていくので、婚活に向き合うだけで、かなり経験値が磨かれることとなります。

ですから、交際経験がないことを引け目に感じることは全くないのですが、実際にデートをしてみると、主に男性が「失敗してしまう」ケースがよくあります。これは単に男性が悪い、ということではなく、どうしても女性が男性のエスコートを待つ構図になりやすく、男性の負担が大きいことのあらわれでもあります。

実際にあった、今回は婚活男性の失敗デートの実例を2つ紹介します。

■婚活男性の失敗デート1:デートで縦一列に並んでしまう婚活男女

39歳の女性、45歳の男性。チケット売り場の列に、男性が後ろに回り女性が前になって縦一列に並んで、黙っていたのだそう。順番が来たら1人ずつお金を払って、チケットを購入。いったいこれは……デートと言えるのでしょうか? 女性は「ずっと頭を見られていると思うと気持ち悪かった」と言うのですが、それ以前に「なぜ黙って並んでいたの? 彼もどうかと思うけど、あなたから話しかけてみてもよかったんじゃない?」とお伝えしました。その場で言わない女性と、配慮が足りない男性のカップリングは、デートの手詰まりになりやすい組み合わせです。

ほかにもコーヒーショップで縦一列に並んで、「自分の分だけサッサと買って、私の分を注文してくれなかった」と嘆く婚活女性もいます。学食じゃないんだからと思います。現場のアドバイスでは、「そういうときは、○○さんは何を頼みますか? 混んでいるから、私もいっしょに注文しちゃいますね!」と明るく言えば、そんな気まずい思いをしなくて済むんじゃない? とお伝えしています。

■婚活男性の失敗デート2:条件が良くても会話ができないエリート男性

年収1000万円の30歳の男性は、1か月で340人から申し込みがあるほどの好条件のイケメンでしたが、人と目を合わせられず、とにかく会話が苦手でした。お見合いでホテルのラウンジに行き、メニューが来ても選びもしないでボーっと黙っていました。女性が「注文はどうしますか?」と聞くと「あー、コーヒーで……」と目をそらしながら答え……以上。結果、一言二言は話しましたが、全く会話にならず、お断りという状況が続きました。私の結婚相談所では1年以内の成婚を目指してもらうのですが、その方は、条件がいいのにもかかわらず2年以上かかりました。

こういった場合、男性側からは「相手が急にムッとして怒り出した」「話が弾みませんでした」という状況説明だけが届き、女性側からは「こんなことを言われて傷ついた」「○○がいやだった」とクレームのようなコメントが届くことがあります。

もちろん男性にも問題はありますが、女性だから「もてなされる側」と考えるのではなく、相手が話下手ならこんな質問をしよう、と下準備して対応することもできたはずで、結局はお互い様と言わざるを得ません。気づいた方が、その場で伝えなければ、いつまでたっても向き合えません。結局、人はデートや交際を通じて痛い目に遭って経験値を積み、相手との距離感や関わり方を学んでいくしかありません。

何歳からでも結婚できますし、結婚したいときが婚活の始め時ではありますが、年齢を重ねての婚活には男女ともに大変な苦労があります。ただ、大変というのは大きく変わると書きますから、未来に希望を持っていただきたいとも思います。若い時に、結婚したいかどうかにかかわらず、年相応の人間力とコミュニケーション能力を磨いて損はありません。人との関わりを少しだけ見直してみてはいかがでしょうか。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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