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別居婚の新垣結衣さんと星野源さん、パワーカップルの別居婚が増加中?

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:アフロ)

■結婚発表から7カ月、同居していない背景は……

今年5月に結婚された、女優の新垣結衣さん(33歳)と、俳優で歌手の星野源さん(40歳)が現在も別居中であるとの報道がありました。

記事中では「結婚発表から7カ月たったものの、新垣さんたちはまだ同居していない(中略)もともと一人の時間を大切にするタイプ同士ですし、仕事も多く抱えていますからね(中略)2人とも今、環境を変化させる余裕はないのでしょう」という映画関係者の声を紹介しています。

かつては新婚夫婦が別居と報道されればスキャンダル報道にされたものですが、今回の報道には私もコメントを寄せましたが、おおむね時代を象徴するカップルの選択として尊重されている印象です。

そんな注目のお2人が選択した「別居婚」。芸能界では2019年に結婚した壇蜜さんも別居婚や半同棲婚を告白されていますが、婚活現場でも最近では珍しくなくなってきています。

特に、経済力があるパワーカップルが選択されている印象です。別居するということは住まい・世帯が2つ以上になるわけですから、会社から住居手当があったとしても、それなりにお金がかかります。

お金以外にも出産を望む場合、タイミングの調整が難しい、片方が体調を崩したときやトラブルがあったときに対応しにくい、家事や子育てを分担できない……などのデメリットもあります。心の距離が広がってしまい、倫理観の薄い人であれば不倫や離婚に発展するケースもあるかもしれません。このように、心配ごとを挙げればきりがありませんが、実は意外と知られていないメリットもたくさんあるのです。

■働き方、夫婦仲、出産や子育てにも意外なメリット

別居婚の場合は、夫婦ともに、とくに女性の働き方が広がるというメリットがあります。別居婚の場合、パートナーの都合で、行動や時間を制限されることがありません。

かつては妻が仕事を続けて別居するよりも、夫についていき同居したほうが経済的にもプラスで、転勤先でパートをすればいい……という考えがありました。しかし、都市部の女性の収入が上がるにつれて、仕事を辞めないことを前提に結婚したときに、別居婚が現実的になってきたのです。それぞれに利便性の高い場所を選択でき、男女問わず転勤のある仕事も選択しやすくなります。

家庭内でも、共働きであっても結婚したら女性が家事を担当しがちな状況でしたが、別居婚であれば、家庭と仕事をきっちり分けやすくなります。

また、別居していると仕事以外はプライベートとして自由に動けるので、趣味や資格の勉強にあてることも容易です。リモートワーク時代の今、自宅をホームオフィスとして快適に使えることもメリットでしょう。結果として、出ていくお金が多くても、その分仕事に集中できたり、家庭と仕事を分けたりすることで、入るお金が大きくなるケースもあるのです。

夫婦仲についてもメリットがあります。週末など限られた時間を共有する結婚生活の場合、「夫・妻に会えるまで頑張ろう。次に会うときはこんな話をしよう」と前向きに考えられますし、ほどよく新鮮さを保ちつつ、中身の濃い時間を過ごせます。

2020年以降はコロナ離婚なども話題になりましたが、一緒にいる時間が長いとかえって話し合いが煩わしく感じられることもあるほどで、コミュニケーションが深まるとは限りません。

妊娠出産や子どもが産まれたらどうなのか? という点についても、デメリットばかりではありません。

私が結婚のお手伝いをした事例では、妊活中は排卵日に予定を合わせて一緒に過ごしたというカップルもいらっしゃいますし、出産直後は父親も育休をとったと報告してくださる方もいらっしゃいます。お子さんが小学生の方は、「子どもがリモートでテレビ電話をつなぎ、離れて暮らす父親と話しながら宿題をしていて、微笑ましい」という声もありました。

もっと大きなお子さんであれば、教育現場に合わせて住むところを変える選択もしやすいメリットがあります。

夫の転勤先、中国・上海に家族で移り住んだ知人は、数年後に夫が東京支社に戻ることになったけれど、子どもが現地のインターナショナルスクールに通っているからとそのまま現地に残る選択をされていました。ほかにも、お受験校に通うために妻子で引っ越して別居している方はよく聞くケースです。

■結婚しても独身時代のスタンスや働き方を変えない

冒頭の関係者の声にもある通り、「結婚しても独身時代の自分のスタンスを変えないで生きていきたい」という考えを持つ、若い世代は婚活現場でも増加傾向です。結婚のスタイルは夫婦それぞれが選ぶものになってきたのでしょう。

昔は入籍と結婚式と新婚旅行が立て続けにきて、帰ってきたら同居を始めるのが常識とされていましたが、今はバラバラ、個々の好みで話し合って決めればいいという時代。

結納や結婚式、新婚旅行をしない人も増えていて、指輪も結婚指輪と婚約指輪を兼ねたエタニティリングを選択するカップルもいらっしゃいます。「入籍はするけれど結婚式は来年以降に。まずは結婚して、それからゆっくり考えます」という声を聞くことも多いです。

婚活の場合は、プロフィール上に「来年4月から海外転勤なので、2年間は別居になるかもしれません」「3年ごとに転勤がありますが、別居婚も可能です」などと記載しています。かつては親世代が反対するケースもありましたが、今はお見合いのマッチングが減るということもなくなりました。別居期間が決まっていると、より親世代の理解も進みやすくなります。

今の時代、必ずしも結婚するなら同居が前提、ではなくなりつつあるということ。結婚か仕事か? を選ぶ時代ではなく、夫婦それぞれが両方を手に入れられる時代になっていくとも言えるでしょう。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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