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加藤茶さんと妻・綾菜さん結婚10年の夫婦愛に続け!婚活現場「年の差結婚」のリアル

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:アフロ)

■結婚10年の加藤茶さんと妻・綾菜さん

コメディアンの加藤茶さん(78歳)とタレントの加藤綾菜さん(33歳)ご夫婦が今年で結婚10周年を迎えられ、綾菜さんが結婚10年を振り返り、メディアからの取材に答えていらっしゃいました。結婚当時、綾菜さんは45歳という年齢差から「遺産目当てか」と世間から揶揄されていたそうです。しかし、結婚3年で茶さんが病に倒れてから、介護や食の資格等を次々と取得して献身的な看病をしたことが報じられ、今では「加藤茶さんは良妻をもらった!」と綾菜さんを称賛する声が相次ぐようになってきました。現在ほどネットの誹謗中傷が厳罰化されていなかった当時、内心は大変なご苦労があったことでしょう。

実は、個人的には、加藤さんご夫婦に陰ながら思い入れがあります。

当時、婚活現場では加藤茶さんの結婚を受けて、「自分も若い女性と結婚したい」という高齢男性の問い合わせが増加しました。中には60代で「良妻賢母で働き者で子供を産める若い女性」を求める人もいらっしゃり、それは不相応ではないか……というお話を、高齢婚活男性の『加藤茶病』というかたちでテレビでお話しし、多くの取材を受けました。

もちろん加藤茶さんには何の非もなく、あくまで加藤茶さんだからこそ綾菜さんが惹かれたのだというにほかなりません。男女問わず40代~50代の人気芸能人が、20~30代のお相手と結婚するケースは多いですが、それは第一線で活躍している人、もしくは多くの功績を残した人は、いくつになっても活力があって若々しく年齢を感じさせない魅力があるからです。

■ピアノで結ばれた、29歳差カップルの婚活事例

婚活現場ではもともと年の差婚は少なくありませんし、結婚の価値観が多様化したことでさらに増加傾向にあります。具体的には子育て目的ではない結婚を望む人が増え、40代や50代で再婚を含めた結婚を選択する方が増加しているのです。長い人生の中で、「今の自分に何が必要か、何を求めているのか、なぜ結婚するのか」を考え、理想の合致を求めて婚活に臨まれるのです。

私の結婚相談所で最も大きな年齢差でご成婚されたのは、29歳差です。実際の婚活事例があります。男性は病院経営者の72歳バツイチ、女性は実家でピアノ講師をする43歳がご成婚されました。

女性は「できれば1日中ピアノを弾いていたい」という方で、「グランドピアノをリビングに置ける家」が結婚の第一条件でした。音楽家系の親元で暮らしてきた方で、年齢よりもグッと優雅な印象です。また、近所のお子さんがピアノレッスンに通ってくれていることから「できれば近くの嫁ぎ先で、レッスンを再開したい」とも話されていました。

一方、男性のほうは離婚した元妻が2人の娘を引き取っていますが、関係は良好。娘たちが幼いころは大きな自宅リビングでピアノのおけいこをうけていたことで、意気投合されました。新妻と同じ歳の娘がいて、親子のような歳の差だからこそ、意外にも抵抗がなく接しやすかったといいます。お二人はピアノというキーワードでつながり、すぐに交際を深めていきました。結婚して6年ほど経ちますが、今も仲良しで年齢差を感じさせません。普段はまったく意識していないので、周囲に言われて「そういえば歳の差あったね」と気づく、と笑顔でお話しされていました。

こちらの男性も、もしかしたら若い時は「後継ぎになる息子が欲しい、家事をして家庭を守ってほしい」という理想で結婚されたかもしれません。しかし、年齢を重ねて再婚する今、文化教養レベルが合う彼女の存在がぴったりとマッチングしたのです。

■対等に「介護や財産」の話をするのは健全なこと

一方で、年齢差があると気になるのが、介護問題です。しかし、晩婚化する婚活現場では対等に話し合うのが常識となっています。

大きな年齢差があればなおさらですが、40歳前後からお見合いの段階で「何年後には介護が必要になるかもしれない」「こういう状態になったら施設に入る」「老後資金はこんな風に考えている」と事前に話すのが婚活現場の常識となってきています。誰もが年を取るのですから、これはある意味で健全なことと言えるでしょう。

また、世間が考えがちな「財産目当て」についても、活力があって人間的な魅力があるからこそ年齢を重ねてもビジネスの成果や功績を挙げられますし、当人同士が納得した条件で結婚することに関して、周囲の口出しは不要なのは言わずもがなです。年上のほうが「介護をしてもらう、財産分与する」、年下のほうが「介護をする、財産を受ける」ということを話し合いのうえで決められるのは、むしろ対等だと言えます。そもそも介護も、家族がすべて行うことだけが望まれる形ではありませんし、それも話し合いの中で決めていくものという認識も広がっています。

婚活現場では、自分の望む結婚観や内面の相性が合致するお相手に出会うことを第一に、二人でどんな人生にしていきたいかを考えるようにお伝えしています。それで年の差があったら、年齢から生じる問題点には向き合い、話し合っていただいています。それによって、より元気でいられる時間を長くし、いっしょに暮らしを楽しむ生き方を作っていく意識が重要です。

年の差結婚をして「老けてしまった」という例はほとんど聞きません。年上のほうは刺激を受けて若々しくなりますし、年下のほうもいっしょに食事や体調管理に気を付けるようになって、より健康的に美しくなっていく方をお見受けしています。これは加藤さんご夫婦にも通じるところがあります。綾菜さんは結婚10年目を祝う写真を自身のインスタグラムに載せ、「愛する気持ちに年齢は関係ないなと カトちゃんに教えてもらった 結婚10年目 2人で益々元気に楽しく生きていこね」とメッセージを記されていました。結婚10年で理想的な夫婦のかたちを見つけられたお二人の幸せを引き続きお祈りしています。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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