「男性の年収の方が上」派は9割 婚活現場に残る古い価値観と男女格差の関係

(写真:アフロ)

■ジェンダー後進国の実態

連日、森喜朗元首相の女性差別発言に国民が怒り、佐々木宏氏の五輪不適切演出で女性蔑視や女性排除が問題視され、若い女性が“ジェンダー平等なんて古い”と揶揄するテレビCMが炎上するなど、「今まさに社会はジェンダーフリーに向かっている」という“ムード”が高まっていました。

しかし、こんなランキングも発表されました。「ジェンダーギャップ指数」2020です。

日本は156カ国中120位。昨年が歴代ワーストの121位でしたが、ほぼ横ばい。相変わらず世界最下位レベルです。特に経済・政治のスコアが足を引っ張っており、冒頭の政治家の差別発言に連動するように、女性の経済活動が厳しく、決定権が乏しい現実があることを示しています。

一方、健康面は健康寿命や医療アクセスなどの面で悪くないスコアであるものの、アフターピルの薬局販売が認可されないなど産婦人科医療について問題視される現状もある通り、他国と差がつくほど良い結果にはなっていません。教育水準は全体スコアよりはマシな数字ですが、昨年から大きく下落。女性の大学進学率(短大含む)は半数を超える一方で、大学入試の不平等なども問題になった記憶も新しく、体感として大きく好転したとは言いがたい状況です。

婚活現場を見ていて感じるのは、婚活現場に残る「古い結婚観」とジェンダーギャップの関連性です。

婚活世代の「母親」は専業主婦のお母さんが多かった時代。女性の大学進学率も半数を超え、女性が就職して収入を得るようになってきたのにも拘らず、家庭では「夫は仕事、妻は家庭。結婚するならこんな収入で、こんな仕事の人でなければダメよ」という古い性役割や価値観を家庭の中で刷り込まれてきたのが今の婚活世代です。

■婚活現場から見える価値観の混合

婚活現場で「男性の年収のほうが上」であることを前提に考える人は9割以上です。先日も年収2000万円をこえる38歳外資系会社員の女性に、40歳で年収700万円の男性を提案したものの「年収が低すぎる」と受け入れられず、自分に十分に収入があっても、いざ結婚となると「自分より年収が上でないと夫として認めない」というのは変わらないのです。

「バブル前の父親の稼ぎ」を望みながら、「今どき家事・育児は分担するのが当たり前」と共働き世代の望みもある。これらの条件を揃えた男性はなかなか見つかりません。例えば、このご時世で年収2000万円超えの独身男性は、多忙で家庭を顧みる時間がないことも多く、条件のいい男性ほど出産を前提に20代の若い女性を求める傾向も。こうして、男女が結婚相手に求める溝はなかなか埋まらないままなのです。

とはいえ、日本でエリート女性は一握り。男性に経済面で頼らざるを得ない方も多くいらっしゃいます。

■価値観のギャップから生み出される負のスパイラル

いまだ総合職の80%は男性というデータもあり、経済・政治の不平等で女性の自立が困難になりやすい現状も確かにあります。実際、共働き世帯は半数を超えますが、女性の年収や雇用条件は男性と比べるとまだまだ低い状況。今後、同一労働同一賃金が推進されるとは言え、すぐに世の中が変わることは望めないでしょう。

「男性の稼ぎだけで家計は賄えない時代」、かといって「女性が仕事をしても非正規雇用で不安定で低収入」、「稼ぎを男性に頼る時点で、家事・育児を担うことになり、両立がつらい」と八方塞がりに。こうして男女の価値観はすれ違い続け、婚姻率も出生率も下がり続けている現状です。

親や祖父母などの世代と現実とのギャップ――これら2つは複雑に絡み合っており、同時に打破されない限り、日本のジェンダーギャップ指数が上向いていくことは難しいのかもしれません。