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残した結果の先に定位置が見つかる!藤浪晋太郎の中継ぎ転向は明日のマウンドを勝ち取る戦い

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 アメリカ・メジャーリーグ、アスレチックスの藤浪晋太郎投手が上り調子だ。

 14日(日本時間15日)、ツインズ戦は8回のピンチを切り抜けたが、「回またぎ」の9回に一発を浴びて負けがついたものの、それまでは6試合連続無失点と、中継ぎ転向後の好投が目立っていた。

 私自身もメジャーで中継ぎに本格転向した。もともとは先発で投げるつもりだった。しかし、監督から2年目の春季キャンプで「先発では使わない」とはっきりと言われた。気持ちいいくらいの直球で明言された。だから、先発へのこだわりなどと言っている場合ではなかった。アメリカに「何しに行ったのか」を考えたら、「メジャーで投げるため」。そのためには、「中継ぎでやる」という選択肢しかなかった。

 藤浪投手の場合は、まだ先発の可能性もあるだろうが、シーズン当初の先発で結果を残せなかったが、その後の「中継ぎ」に自分の居場所が確立された。

 アスレチックスが最下位に低迷しているとはいえ、ここまで5勝(8敗)は間違いなく本人の自信にもなっているだろう。まっすぐの球速が160キロを超え、メジャーでも短いイニングなら通用することを証明している。先発か中継ぎか、抑えかー。ポジションを定めるのではなく、残した結果の先に「定位置」が見つかればいいのではないだろうか。

 報道によれば、今季は1年契約。来季もメジャーでプレーするには、ここからも成績が大事になってくる。一段飛ばしで結果を急ぐのではなく、地に足をつけて腕を振っている今の姿勢がいいと思う。

 同級生の大谷翔平選手(エンゼルス)はメジャー史に残るプレーヤーになった。周りからは比較されて、あれこれ言われることもあるかもしれない。私自身は選手同士を比べる必要はないと思っている。藤浪投手は藤浪投手。明日のマウンドを勝ち取るための戦いに集中すれば、他の誰かと比べることのない藤浪投手にとっての明るい未来はきっとある。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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