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「制球難はまずい。しかし…」メジャーで苦しむ藤浪晋太郎を上原浩治はどう見るのか?

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 開幕から約1カ月が経過した米大リーグで、アスレチックスの藤浪晋太郎投手が苦しんでいる。

 阪神から移籍1年目。キャンプ、オープン戦で結果を残し、開幕から先発ローテーションの座をつかんだが、先発4試合で結果を残せなかった。リリーフに回ってからも明るい兆しがなかなか見えてこなかったが、12日(日本時間13日)のレンジャーズ戦でメジャー初勝利を挙げた。

 私自身は、日本球界からメジャーへ環境を変えることで再起を図れるのではないかと期待している。しかし、阪神時代から課題の制球難がなかなか解消されない。特に、右打者に対する「抜け球」を恐れているようにもみえる。

 メジャーでの実戦登板を映像で見たときも、ボール自体は決して悪くはない。厳密に言えば、1球ずつのまっすぐも、スライダーも「切り取って」みたら、とてもいいという意味である。まっすぐは威力もスピードもあり、スライダーも切れる。ただ、ピッチャーは単発の投球ではなく、いいボールを続けて投げていかないと打者を抑えられない。

 先発から中継ぎへ回り、短いイニングなら光明を見いだせる可能性はあると思っている。藤浪投手は決して立ち上がりが不安定な投手ではないからだ。しかし、制球を気にしていては、仮に四死球を出さなくても、威力のないまっすぐが通用するほど甘くはない。

 自分がどういう感覚で投げているかは、本人にしかわからない。なぜ、制球が気になるのかというメンタル的な部分も周りが言ったところで簡単に修正できるわけではない。最後はどこまでシンプルに「思い切って腕を振る」という投手の原点に戻れるかだと思っている。

 細かな制球力がなくても、藤浪投手のボールはストライクゾーン付近で散ってくれれば簡単には打たれないはずだ。それだけのボールを持っている。

 プロは結果が全ての世界である。チャンスはまだ残っているはずである。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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