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学生野球資格回復!上原浩治が学生達に送りたい本音のアドバイス

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:アフロ)

 プロ野球経験者が日本国内の高校、大学で指導可能となる「学生野球資格」を回復したことが、日本学生野球協会から発表された。学生野球の指導者になるために必要な研修会はコロナ禍ということでオンラインで開催され、私も滞在中の米国から受講した。

 晴れて、日本国内での高校、大学の選手を相手にも指導ができるようになった。一方で、これまでもアメリカでは高校年代の長男や長男のチームメートを相手に、打撃投手を務めてきた。「資格回復」という制度が「プロアマ」の壁が指摘される日本球界ならではのことだということも実感させられた。

先に断っておくと、資格を回復したからといって、高校や大学の指導者になろうという考えは現段階では持っていない。

 直接的な指導の予定はないが高校、大学年代の選手たちには、ぜひとも送りたいアドバイスがある。「練習はたくさんやったほうがいい」ということである。「量より質」が良いとされ、練習の効率化が評価され、「たくさん練習をすることが悪」というイメージが先行するが、プロで実績を残してきた人たちは多かれ少なかれ、やはり練習量は多かった。

 もちろん、やり方は人それぞれであるが、量をこなさなければ身につかないことはたくさんあると思っている。投手の立場でいえば、投げ込みもその一つだ。ブルペンでの投げ込みは肩と肘のスタミナを培うためには推奨されるべきだろう。もちろん、やみくもに数を投げればいいわけではない。まずはけがをしにくい正しいフォームを身につける。投球フォームが安定し、試合に向けたスタミナ作りの段階で「量」が必要になると思っている。

 一方で打者との対戦を想定した投球練習をしようと思えば、数よりも質で、やみくもにブルペンで投げるよりも、数は少なくても打者との対戦機会を練習でも設けたほうがいい。現役時代の感覚でいえば、ブルペンでの100球より打者との対戦の中で投げる30球のほうが負荷がかかる。実戦を想定した練習で得られることは大きい。これは、打者との対戦機会の「量」を求めるという考えである。走り込みも下半身を鍛えるという目的をもってなら、気持ちを「無」にして長い距離を走ることもOKだと思っている。

 最近はSNSや動画サイトでトレーニングや技術に関する情報があふれかえっている。新たなトレーニングを取り入れやすい環境になっているが、誰が言っていることか、どのような効果があるのか、情報を取捨選択することも必要になってくる。個人的には、古田敦也さんや宮本慎也さんのYouTubeは見ていて、勉強になる。

 このコラムのタイトルの通り、「野球に正解はない」と思っているが、「トレーニングにも正解はない」と思っている。私自身も現役時代の持論に固執せず、いまの高校生たちがどんな考えで、練習をしているのか、機会があれば聞いてみたいと思っている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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