沢村拓一、レッドソックス入団 巨人3軍からメジャーへ這い上がった激動の半年と私に語ってくれた本音

YouTube「上原浩治の雑談魂」より

 待った甲斐があったということだろう。巨人時代の後輩で、ロッテから海外フリーエージェント(FA)権を行使して米大リーグ挑戦を表明していた沢村拓一投手が、ボストン・レッドソックスと契約したことが正式に発表された。新型コロナウイルス禍でメジャーのFA市場が前例がないほどに冷え込んでいたこともあり、1月下旬以降かなと思っていたが、無事にオファーが届いて何よりだ。

 米メディアの報道では2年契約で、3年目は球団、選手双方が選択権を持つという。クローザー争いに加わる可能性も言及している。球威のあるストレートとスピードと落差のあるフォーク。当然の評価だと思う。

 私も在籍したレッドソックスには現在も日本人トレーナーらスタッフが複数おり、日本人選手にはプレーしやすい環境にある。オフに会ったときの沢村は小麦色に肌を焼き、茶髪に無精ひげ。ワイルドな風貌が際立っていたが、チームカラーも合っているだろう。中継ぎが手薄でもあり、活躍のチャンスが多いにある。

 私が巨人に復帰した2018年。ほとんどが知らない後輩たちばかりの中で、積極的に声をかけてくれたのが沢村だった。YouTubeに出演してくれた際、「上原さんを一人にしてはいけないと思った。今は先輩が後輩に気を遣う時代。でも、そのことに納得していない」と〝絡んで〟きてくれた理由を明かしていた。年齢は一回り以上も違うけれど、誕生日が一緒。ふてぶてしく映る外見で損をしているかわいい後輩でもある。

 ロッテに移籍後、自分の殻を破った。ユニホームが間に合わず、スタッフから借りた背番号106での初登板で3者連続三振。ファンの心をつかんだ。繊細な心の持ち主で、「(巨人で)自分のやりやすいようにできていたのが、全く知らないところに飛び込んでいった。環境変えるのは恐く、不安だった」と打ち明けてくれた。「けど、(ロッテが)受け入れてくれた。感謝の気持ちでいっぱい」とうれしそうに話していた。実は、巨人の原辰徳監督が井口資仁監督にメールをしてくれていたそうだ。原さんの気配りにも感謝していた。

 沢村はロッテへのトレードが決まる前には、不調で3軍落ちまで経験していた。実績のある投手なのに、3軍の相手は大学や社会人など。厳しい状況に身を置く中で「『なんでこんなとこに』と思ったら終わると思っていた」と語ってくれた。

 大胆不敵という言葉に頼もしさを感じる読者も多いと思うが、一流投手ほど心は繊細なものだ。沢村の場合は繊細になり過ぎるとピッチングが窮屈になってしまう。どこかで殻を破らないといけなかった。絶好のチャンスが移籍だったのだろう。ロッテではマウンドでの表情も違って見えた。

 メジャーはまた環境がガラリと変わるため、適応力も成功に欠かせない。この点、沢村は「どの土地に放り込まれても対応できる力がある」と自信を見せていた。オフもウエートを中心にトレーニング三昧の日々だと語っていた沢村の筋トレは、持ち上げるバーベルの両端が重りで曲がるほどハードに鍛える。こうして生み出されたパワーが評価されたメジャーで、1年目から5、60試合は投げてほしい。また一つ、今季の楽しみが増えた。