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【F1】フェラーリのルクレールが24点差の圧倒的リード!地元イモラで16年ぶりの勝利を狙う。

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
先頭はフェラーリのルクレール(写真:ロイター/アフロ)

F1の2022年シーズンは開幕から3戦を終えて、今季初のヨーロッパでの開催となる。第4戦・エミリアロマーニャGPの舞台はイタリアのイモラサーキットだ。今季好調の「フェラーリ」にとって地元となるクラシックサーキットでの開催ということで、ティフォシたちに熱烈な歓迎を受けることになる。今回は第4戦・エミリアロマーニャGPをプレビューしよう。

2021年のエミリアロマーニャGP
2021年のエミリアロマーニャGP写真:ロイター/アフロ

ルクレールが24点リードの首位

ガラリと勢力図が変わった今季の「F1世界選手権」。3戦を終えて、ランキング首位はオーストラリアGPで2勝目をマークしたシャルル・ルクレール(フェラーリ)=71点。バーレーン、ジェッダ、そしてメルボルンと特性が大きく異なるコースで「フェラーリ」のニューマシン、F1-75は高いポテンシャルを示し、特にルクレールがトラブルフリーで快走を見せている。

フェラーリ
フェラーリ写真:ロイター/アフロ

今季のフェラーリの優位性は明らかだ。ルクレールは「オーストラリアは理論上では僕たちにとってタフなレースになるだろうと予測していたが、実際は違った。僕たちがここで強かった理由を分析してみる必要がある。まだ3戦が終わったばかりだという事実を肝に銘じて戦っていきたい」と今季の好調ぶりに喜びを示しつつも冷静だ。

ランキング2位は今季苦戦中の「メルセデス」に移籍したジョージ・ラッセル(メルセデス)=37点。速さでは「フェラーリ」と「レッドブル」に追いつけていないし、ライバルの自滅に助けられている部分は大いにあるが、ラッセルは3戦連続のトップ5フィニッシュを果たしている。オーストラリアGPでも走行するマシンはポーパシングに悩まされ、今後またアメリカへと飛ぶことになる(マイアミGP)ため、しばらくは抜本的なアップデートは期待できない状況。そんな中、ラッセルが着実に上位フィニッシュし、ポイントを重ねていることは今後の長いシーズンを考えればポジティブな要素だ。

メルセデスのジョージ・ラッセル
メルセデスのジョージ・ラッセル写真:ロイター/アフロ

一方、トラブルに悩まされているのは「レッドブル」。オーストラリアGPではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がオーストラリアGPでも燃料系トラブルでリタイアとなり、今季3戦中2度もノーポイントレースを作ってしまった。サウジアラビアGPでは優勝したものの、ルクレールから46点もの差をつけられてランキング6位。信頼性問題の解決が急務となる。

イモラで勝てば16年ぶりのフェラーリ

新規定への移行でライバルチームがトラブルシューティングに時間を要したり、ノーポイントレースを作っていく中、「フェラーリ」はコンストラクターズ選手権でも2位の「メルセデス」に対して39点もの差をつけることに成功した。

イモラサーキット
イモラサーキット写真:ロイター/アフロ

そんな中で、ヨーロッパを離れたフライアウェイ戦が続く序盤にポコッと1戦だけあるイタリア開催のエミリアロマーニャGP。コロナ禍の2020年からF1開催が再開したイモラサーキットでのレースになるが、ここはフェラーリの本拠地マラネロから僅か80kmほどの超地元サーキット。正式なサーキット名称も「Autodromo Enzo e Dino Ferrari(エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリサーキット)」で、フェラーリ創業者のエンツォ・フェラーリと息子のディーノの名前が冠されたお膝元のコースだ。

2006年 フェラーリのエースだったミハエル・シューマッハ
2006年 フェラーリのエースだったミハエル・シューマッハ写真:アフロ

イタリアGPのモンツァサーキットでは2019年にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が優勝しているが、2007年から19年までF1開催がなかったイモラサーキットでフェラーリが最後に優勝したのは2006年のサンマリノGPのこと。もし、フェラーリが優勝すればミハエル・シューマッハ以来16年ぶり。皇帝シューマッハを擁した2000年代には3年連続のイモラでの勝利記録があり、あの全盛期の興奮がイモラに戻ってきそうだ。

そんなフェラーリにとって特別なレースについて代表のマッティア・ビノット「我々にとって重要なレース。イモラに行くのが待ち遠しいし、サーキットが我々のファンで埋め尽くされるのを楽しみにしている」とコメント。第4戦エミリアロマーニャGPは赤一色に包まれそうだ。

オーストラリアGPで燃料系トラブルでリタイアしたフェルスタッペン
オーストラリアGPで燃料系トラブルでリタイアしたフェルスタッペン写真:ロイター/アフロ

2020年から再開したイモラのレースで優勝したのは2020年がルイス・ハミルトン(メルセデス)、そして2021年はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が勝利した。ここ2年間はメルセデスvsレッドブルの対決構図が色濃く、フェラーリは予選で2列目、3列目を獲得するのがやっとだったが、好調のフェラーリをマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が凌駕できるか注目される。また、オーストラリアGPではトラブルに見舞われたカルロス・サインツ(フェラーリ)の活躍も期待したい。

成長を示せるか、角田裕毅

ティフォシと呼ばれる熱狂的なフェラーリファンで盛り上がりそうな第4戦エミリアロマーニャGPだが、日本のファンにとっては今季が2年目のシーズンとなっている角田裕毅(アルファタウリ)の活躍にも期待したい。

角田裕毅
角田裕毅写真:ロイター/アフロ

ただ、角田にとってイモラサーキットは苦い思い出のあるコース。クラシックでタイトなコースを攻め、予選でクラッシュを喫し、そのパフォーマンスにメディアから痛烈な疑問が投げかけられる引き金となった。その後、角田は調子を崩し、4戦連続でノーポイントレースを作ってしまうことになった。

フェラーリと同じくイタリアに拠点を置く「アルファタウリ」にとってもイモラは地元コースだ。彼らのファクトリーがあるファエンツァはイモラサーキットまで車で20分ほどの至近距離にある。昨年の途中からイタリアに移住した角田にとっても、リラックスできるホームゲームとなる。多くのチームが連続するフライアウェイ戦で疲弊する中、フェラーリとアルファタウリは地元でレースができるのだ。

角田裕毅
角田裕毅写真:ロイター/アフロ

しかも、エミリアロマーニャGPは今季初となるスプリントレースが4/23(土)に開催される。事前のフリープラクティス時間が短く、波乱が起きやすいフォーマットで行われるため、問題にすぐ対応できる地元チームにとっては良い条件が揃っている。

オーストラリアGPでは決勝でのペースに苦労し、15位完走とノーポイントレースになってしまった角田。中段争いのライバルとなるチームの戦闘力が上昇傾向にある中、着実にポイントを獲得できるレースにしていきたいところだ。

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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