F1テストがバルセロナでスタート。2018年F1の注目すべきポイントは?

Haloを装着し、バルセロナを走行する「トロロッソ・ホンダ」(写真:ロイター/アフロ)

3月23日(金)からの開幕まで1ヶ月を切り、2月26日(月)からスペイン・バルセロナ近郊のカタルーニャサーキットで「F1世界選手権」の合同テストがスタートした。2月26日(月)~3月1日(木)、3月6日(火)~9日(金)の8日間の日程でテスト走行が行われ、各チームは開幕戦・オーストラリアGPに向けた準備を進めている。テスト期間中は関連するレポートや情報などが速報やニュースとして伝わってくるが、今季の注目ポイントを含めてその読み方をご紹介していこう。

トップチームは変わらずのドライバー編成

2018年の「F1世界選手権」は昨年と同様10チーム20人のドライバーたちがワールドチャンピオンの座をかけて全21戦のレースを戦う。今季はドライバーの入れ替わりが例年になく少ない。「メルセデス」「フェラーリ」「レッドブル」の3大トップチームはドライバーラインナップを変更せず、タイヤのグリップ力向上、ダウンフォースの増加を目指し大きく規定が変化した2017年からの体制を継続したチームが多い。

【2018年F1チーム&ドライバー ラインナップ】

メルセデス (PU:メルセデス)

44 ルイス・ハミルトン

77 バルテリ・ボッタス

フェラーリ  (PU:フェラーリ)

5 セバスチャン・ベッテル

7 キミ・ライコネン

レッドブル  (PU:ルノー)

3 ダニエル・リカルド

33 マックス・フェルスタッペン

フォースインディア  (PU: メルセデス)

11 セルジオ・ペレス

31 エステバン・オコン

ウィリアムズ  (PU:メルセデス)

18 ランス・ストロール

35 セルゲイ・シロトキン

ルノー  (PU:ルノー)

27 ニコ・ヒュルケンベルグ

55 カルロス・サインツ

マクラーレン (PU:ルノー)

14 フェルナンド・アロンソ

2 ストフェル・バンドーン

トロロッソ  (PU:ホンダ)

10 ピエール・ガスリー

27 ブレンドン・ハートレー

ハース  (PU:フェラーリ)

8 ロマン・グロージャン

20 ケビン・マグヌッセン

アルファロメオ・ザウバー (PU:フェラーリ)

9  マーカス・エリクソン

16 シャルル・ルクレール

PU:パワーユニットの供給メーカー

体制面で大きな変更となったのはPU(パワーユニット)を結果的にトレードする形になった「マクラーレン(ルノー)」と「トロロッソ(ホンダ)」。日本のホンダが新たにパートナーとなった「トロロッソ」は昨シーズン終盤にF1デビューしたばかりのピエール・ガスリー(フランス)とブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)のルーキー2人による編成に。一方で「マクラーレン」はPUがルノーに変更になったもののドライバーは残留している。

ドライバーで出入りがあったのは「ウィリアムズ」と「アルファロメオ・ザウバー」。2017年シーズンを最後に正式にF1 から引退したフェリペ・マッサに代わって、セルゲイ・シロトキン(ロシア)が「ウィリアムズ(メルセデス)」入り。2年連続で「フォースインディア(メルセデス)」の後塵を拝すことになった「ウィリアムズ」だが、今季は2年目のランス・ストロール(カナダ)とルーキーのシロトキンという富豪選手コンビとなる。

また、見た目上も大きく体制が変わった「ザウバー」は今季から「アルファロメオ・ザウバー(フェラーリ)」となり、アルファロメオとグループ会社でもあるフェラーリの秘蔵っ子で2017年のF2チャンピオンとなったシャルル・ルクレール(モナコ)がF1デビューを果たす。また、「ルノー」は昨シーズン途中からカルロス・サインツ(スペイン)をレンタル移籍させ、ニコ・ヒュルケンベルグ(ドイツ)との強力なコンビで4強入りを目指す。

Halo(ハロ)で見た目の印象が変化

2018年のF1はルックス面で大きな変化がある。ドライバーの頭部を車両から離脱して飛んできたタイヤ(ホイール)などから保護する装置「Halo(ハロ)」の導入だ。ハロと表記されることが多いが、ヘイローの方がネイティブの発音に近い。ドライバーのヘルメットが見えることがフォーミュラカーの大きな特徴であったが、安全性の向上を目指し今季から本格的に導入される。Haloはこれまで長年に渡ってテストされてきたため、見た目上の変化に対する批判は意外に少ない。カッコよくないことは確かだが、慣れの問題となっていくのか。

(動画:Red Bull Racing)

また、昨年流行となった「Tウイング」、そして過去にも不評だった整流板の「シャークフィン」が禁止され、マシン後部は見た目上スッキリした形に。ただノーズ後方からコクピット、サイドポッドに至るマシン中央部の空力パーツは複雑化する傾向にある。いくつかの禁止事項はあるものの、大幅な変更が行われない規定であるため、10チームのマシンは一見非常によく似たフォルムとなっている。F1チームが培ってきた空力処理のソリューションが結果的に近いものになっていくのはある意味仕方がないが、サイドポッドの空力処理にはそれぞれのチームの個性が垣間見える。

今季の変更点で大事なのは「ピレリ」が供給するスリックタイヤのバリエーションが7種類に増加すること(昨年までは5種類)。このうちの3種類が各グランプリに持ち込まれ、チームはどのコンパウンドをいくつ用意するか戦略を練る。

さらに今季はPU(パワーユニット)の使用基数が4基から3基に減少する。全21戦も開催される2018年シーズンでは計算上1基あたり7戦を走らなければならず、PU供給メーカーはより高い信頼性を求められる。信頼性とパワーの両立がさらに厳しく求められる中、今季「メルセデス」「フェラーリ」「ルノー」はそれぞれ3チームに供給。「ホンダ」だけが「トロロッソ」への独占供給となる。

フェラーリ、レッドブルの躍進はあるか?

昨年に比べれば比較的小規模な変化のシーズンオフとなった今年は王者「メルセデス」との差を「フェラーリ」「レッドブル」がこれまで以上に詰められるのかが焦点となる。ドライバー布陣も変更なく正常進化させていく戦いになるが、昨シーズンの序盤をリードした「フェラーリ」は攻めの姿勢を見せてくるはずだ。その勢いは今季のマシン「フェラーリSF71H」の攻め込んだ空力でも見て取れる。シーズン後半のミスや信頼性不足が残念すぎた昨シーズンを挽回するために取り組んできた「フェラーリ」がどのタイミングで速さを披露してくるかに注目したい。

そして、ルノーのパワーユニットユーザーの中では格段の速さを披露した「レッドブル」の躍進も期待したい。テスト初日はダニエル・リカルド(オーストラリア)が105周という最も多い周回数を走破してトップタイムをマーク。しかし、雨に見舞われる時間もあり、寒波で気温も極端に低い状況だっため、空力面含め「レッドブル」にアドバンテージがあるかどうかはまだ分からない。

そしてディフェンディングチャンピオンの「メルセデス」はルイス・ハミルトン(イギリス)とバルテリ・ボッタス(フィンランド)が午前と午後のセッションで両者ともに走行。初日はボッタスが午前中に多く周回し、2人合計で83周をクリア。順調なスタートを切っている。

トロロッソ・ホンダはまず信頼性の確保

「マクラーレン」と袂を分かち、今季から新パートナー「トロロッソ」へのPU供給となる「ホンダ」はどうか。バルセロナテスト初日はブレンドン・ハートレーが93周を走行。信頼性に悩まされたこれまでの3年間からすると信じられないほどの順調な滑り出しとなった。

昨年も信頼性不足とパワー不足から「マクラーレン」から再三に渡って批判され続けた「ホンダ」はイタリアの小規模チーム「トロロッソ」とまずはうまくマッチングしたと見て良いだろう。ただ、今季はPUの年間使用基数が3基に制限される厳しいレギュレーションになっており、パワー重視の攻めたPUというよりは信頼性を上げることから始めていかなくてはならない。将来的には「トロロッソ」の親チーム「レッドブル」への供給も視野に入っており、トップチームとのパートナーシップ形成にはトラブルフリーで8日間のテストを終えることが最初の課題となる。

一方、「ルノー」のPUに切り替えた「マクラーレン」は初日からホイールが外れるトラブルが発生し、フェルナンド・アロンソがクラッシュする受難の始まり。ただ、午後には走行を再開し、5番手のタイムを記録している。それぞれ新しい道を歩み始めた「マクラーレン」と「トロロッソ」。その決断が正しいものだったのかは8日間のテストを終えたのち、ある程度明らかになってくるだろう。

また、テストを通じてポテンシャルアップが楽しみなのはワークスの「ルノー」だ。カルロス・サインツが今季レギュラーとなり、ワークス体制復帰3シーズン目の今年は正念場。昨年のランキング6位をさらに上回るパフォーマンスを目指している。ただ、PUの基数制限によってより戦いが厳しくなる今季、パフォーマンス重視かそれとも信頼性か。供給先の「レッドブル」「マクラーレン」含めてどんな仕上がりを見せるか気になる。ルノーワークスが他のワークスたちと互角に争うのは現実的には難しいと考えられるが、仮に差を詰めることができれば2018年シーズンは混沌とし、見応えのあるレースが展開されて行くはずだ。