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57歳。営業職でもしゃべり下手。気さくに話しかけてもらえると嬉しくなります~スナック大宮問答集55~

大宮冬洋フリーライター
東京・大塚の蕎麦店にて。清潔感のある男性客と改めて語り合いました。(参加者提供)

スナック大宮」と称する読者交流宴会を東京、愛知、大阪などの各地を移動しながら毎月開催している。味わいのある飲食店を選び、毎回20人前後を迎えて和やかに飲み食いするだけの会だ。2011年の初秋から始めて開催140回を超えた。のべ2800人ほどと飲み交わしてきたことになる。

 筆者の読者というささやかな共通点がありつつ、日常生活でのしがらみがない一期一会の集まり。参加者は30代から50代の「責任世代」が多い。お互いに人見知りをしながらも美味しい料理とお酒の力を借りて少しずつ打ち解けて、しみじみと語り合えている。そこには現代の市井に生きる人の本音がにじみ出ることがある。

 その会話のすべてを再現することはできない。参加者と日を改めて対話をした内容をお届けする。一緒におしゃべりする気持ちで読んでもらえたら幸いだ。

***フミオさん(仮名。バツイチ男性、57歳)との対話***

堅苦しくなくて楽しそう。知り合いが増えて自分の世界を広げられそう

――フミオさんは同じくヤフーニュースで連載中の「お見合いおじさん活動」の受けオネット会員(記事はこちら)だったこともありますね。真剣交際のお相手と別れてしまったのは残念ですが、スマートで前向きなフミオさんなら他にもきっといい出会いがあると思います。

 ありがとうございます。スナック大宮のことは大宮さんの記事を読んで知っていて、「堅苦しくなくて楽しそうだな。知り合いが増えて自分の世界を広げられそう」と思っていました。1年前から参加したいと思っていたのですが、なかなかタイミングが合わず……。オネットでお付き合いさせていただいた方もいたので、その交際を優先させていたという理由もあります。今回初めて参加できました。

 私は営業をやっているくせに人見知りで雑談が下手なほうです。知らない人に自分から声をかけたりできません。スナック大宮では席について顔を合わせた途端に「はじめまして」と気さくに話しかけていただき、何の隔たりも感じずに食事を楽しむことができました。またぜひ参加したいです。

――テンションが高すぎてうるさい人が少ないのもスナック大宮の特徴だと感じています。他人との距離感や間合いのようなものを大事にできる人が僕は好きだからなのかもしれません。だから、人見知りはむしろ歓迎です(笑)。

 大宮さんファン歴10年以上で、来月はチーママ(スナック大宮のボランティアスタッフ)を担うという男性ともお話ししました。とても自然体で、常連ぶったりしない方で素晴らしかったです。

右奥の男性がフミオさん。コミュ力高めの男女に囲まれて、居心地良さそうに蕎麦前でお酒を飲んでいました。毎年10月(新蕎麦の季節!)にスナック大宮を開催する「小倉庵」は僕が好きな蕎麦店です。(参加者提供)
右奥の男性がフミオさん。コミュ力高めの男女に囲まれて、居心地良さそうに蕎麦前でお酒を飲んでいました。毎年10月(新蕎麦の季節!)にスナック大宮を開催する「小倉庵」は僕が好きな蕎麦店です。(参加者提供)

こういう人と一緒だったら楽しくお酒を飲める、と思える女性と会えました

――独身女性との出会いはありましたか?

 スナック大宮は婚活パーティーではないと伺っていたので、婚活は特に意識せずに参加しました。でも、ソムリエと利き酒師の資格を両方持っているという会社員の女性は物腰が柔らかくて落ち着いた雰囲気で素敵でしたね。パートナーの方がいるのかどうかは聞きませんでしたけど。お酒の知識をひけらかすことなく、だけどわかりやすく教えてくれて、「こういう人と一緒だったら楽しくお酒を飲める」と感じました。

――そんな風に感じたのに連絡先を交換しなかったそうですね。何をしているんだか……。フミオさんはその後、婚活はしているんですか?

 自治体が運営しているマッチングアプリに登録しています。同世代の女性に申し込んだりしているのですが、ほとんど会えていません。今の勤務先は零細企業で、大企業で管理職をしているような男性と比べたら給料は半分以下です。そこが女性に不安を与えてしまっているのかもしれません。

 オネットでお付き合いしていた女性からも住宅ローンが残っていることを指摘されました。5人家族で暮らしていた4LDKの戸建ては私一人には確かに広すぎる。いま、売りに出しています。無事に売却できたらローンはなくなるので、適当な大きさのマンションに住み替える予定です。

――そのときに一緒に住める女性がいたらいいですね。家が売れたタイミングで、オネットにも復帰してもらおうかな(笑)。

 はい。3年前にコロナで重症化しかかり、自宅でかなり苦しく不安な日々を送りました。離れて暮らしている娘たちに頼るわけにはいきませんし……。町内会の人たちがとても親切で玄関先に食料を置いておいてくれたりしたのですが、何かあったときに独身はやはり辛いものがあります。これからの人生を共に過ごして支え合える人がいたらいいなと思うこの頃です。

スナック大宮はみんなで飲み食いするだけの会ですが、途中で僕が自著と有料ウェブマガジンの宣伝をさせてもらっています。下手なトークですが、にこやかに優しげに聞いてくれるお客さんばかりです。(参加者提供)
スナック大宮はみんなで飲み食いするだけの会ですが、途中で僕が自著と有料ウェブマガジンの宣伝をさせてもらっています。下手なトークですが、にこやかに優しげに聞いてくれるお客さんばかりです。(参加者提供)

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会話上手である必要なし。身だしなみを整えて、今という時間を大事にするだけでいい

 以上がフミオさんとの会話だ。世の中には、初対面の人と話すのが平気な人とそうでもない人がいる。スナック大宮のお客さんもこの2種類が入り交じっていて、フミオさんのようなタイプは話しかけられて嬉しそうにしている。全員が会話上手である必要はないのだ。

 人と人、特に男女がつながることに肝心なのは「感じの良さ」に尽きる。服装や髪、爪などを清潔にして、話しかけられたら笑顔で応じること。自分の中にある卑屈さや尊大さを抑え、目の前にいる相手との時間を大事にすること。この2点を守れたら、あとは好みや相性の問題なので運を天に任せればいい。

 僕のように場をセッティングした人の責任と権限は意外と大きい。すべての参加者に個別に連絡できる立場にいるからだ。後から連絡先交換を仲介する義務はないけれど、感じのいい参加者には何かしてあげたくなる。フミオさんが気になったという女性には来年のスナック大宮でチーママをしてもらう予定だ。そのときはフミオさんにまた声をかけて参加してもらおうと思っている。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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