Yahoo!ニュース

56歳。「家にいる人が家事をやれ」な古い思考で妻と3人の娘を失いました~おみおじリポート(147)~

大宮冬洋フリーライター
一人残された埼玉県の自宅にて。考えを改め、新しい生活を始めています。(本人提供)

失敗の価値は「自分がいつも正しいわけではない」と骨身にしみて知ること

※2023年3月31日追記。仲谷さんはオネットでお見合いした女性と真剣交際に入りました。当然ながら新たなお見合い申し込みは受け付けていません。ご理解いただき、彼の幸せな退会を一緒に願っていただけると幸いです。

 こんにちは。大宮です。自分の周囲にいる独身男女の婚活を前のめりで支援する「お見合いおじさん活動(略称:おみおじ)」を婚活パーソナルトレーナーのマチコ先生と一緒に推進しています。僕の読者(この記事を読んでいるあなたも該当します)で「そろそろ結婚したい」という人をオネット(大宮ネットワーク)にお迎えし、良縁を結ぶことをお手伝い中です。本連載ではその活動の一端をレポートしています。オネット会員の種類(受けor攻め)と募集についてはこちらをご覧ください。

 失敗は成功のもと、とよく言われますが、「今回はAに失敗しても、その経験をもとに次のAには成功する」という意味ではないと僕は感じています。人生には取り返しのつかないことが多く、同じAは二度と現れないことばかりだからです。恋愛や結婚は典型例。一度愛想を尽かされた人に振り向いてもらうのは至難の業で、下手をするとストーカーになってしまいます。

 失敗の価値は別のところにあるのではないでしょうか。「自分がいつも正しいわけではない。むしろ間違っている確率のほうが高い」と骨身にしみて知っている人は味わい深い人柄になったりします。それによって思いがけない出会いに恵まれたりもするでしょう。また、そもそも失敗した物事が自分にとってはそれほど価値がなかったことに気づいたり。すると、視野が広がるきっかけになり、本当に好きなものに出会ったりします。Aの失敗をB以降に生かせばいいのです。

営業職としてのキャリアが長い男性。ジャケパンスタイルがきっちり似合いますが、女性からモテた経験はないそうです。(本人提供)
営業職としてのキャリアが長い男性。ジャケパンスタイルがきっちり似合いますが、女性からモテた経験はないそうです。(本人提供)

妻と別居することになったとき、娘たちもいなくなりました。当然だと今は思います

 埼玉県にある持ち家で一人暮らしをしている仲谷文男さん(仮名、56歳)には長い時間をかけた痛恨の失敗経験があります。大学を卒業してすぐに結婚した前妻との間に娘が3人もできたものの、8年前に自分以外の全員が家から出て行ってしまったのです。

「私は良い父親とは言えませんでした。女の子とどう接していいのかわからず、公園に連れて行っても彼女たちが遊ぶのをボンヤリ見ているだけ。一緒に遊ぶことはしませんでした。子どもが可愛いという気持ちはあったのだから遊んであげればよかったのに……。しつけにだけは厳しくて、『ああしろこうしろ』とばかり口うるさく言う父親でした。妻と別居することになったとき、娘たちもいなくなったのは当然だと思います」

 スキーと営業職で鍛えているからなのか、年齢よりも10歳ほど若く見える仲谷さん。言葉遣いも丁寧で、真面目で爽やかな印象です。しかし、本人も認めるように、「そとづら」は良いけれど家族には思いやりが足りない人物だったのでしょう。

「15年前にローンを組んで購入した自宅で前妻が夢だった自営業を始めた当初は応援していたつもりです。好きな仕事をやってお金も稼いでくれるのだったら夫として喜ぶべきでしょう。でも、事業が軌道に乗って夢中になるにつれて、家のことが疎かになっていくように感じました。私も家事の一部はしていたのですが、やはり『家にいるほうが家事をちゃんとやるべき』という昭和的な考えが抜けませんでした」

今はすっかり家事男子。「餃子は市販のを焼いただけですが、右の料理はおからにたらこフレークを混ぜてマヨネーズであえてツナ風にし、アスパラを芯にしてハムで巻きました。飲むのはもっぱら焼酎です」(本人提供)
今はすっかり家事男子。「餃子は市販のを焼いただけですが、右の料理はおからにたらこフレークを混ぜてマヨネーズであえてツナ風にし、アスパラを芯にしてハムで巻きました。飲むのはもっぱら焼酎です」(本人提供)

結婚相手にスキーの技能は求めません。散歩程度でも一緒にできれば嬉しい

 そんな仲谷さんですが救いはあります。新卒入社で20年以上勤めていた「少しブラック的なところがある」業界と会社から離れられたことです。そして、別業界の卸会社に転じて元気に働いています。

「職場の仲間はいい人ばかりですし、土日祝日はちゃんと休めます。『意欲と元気があれば70歳まで働いてほしい』と言ってもらっているので、好きなお酒は控えめにしながら健康管理に努めているところです」

家族と一緒にいた頃からご近所付き合いを楽しんでいたという仲谷さん。一人きりになった今でも町内会の役員をしているそうです。学生時代はスキーに打ち込み過ぎて2年も留年したという仲谷さん。自由な一人暮らしも満喫しているようですね。

「いえ、最近は特に週末に寂しさを感じるようになりました。再婚することができたらパートナーとたまには余暇旅行を楽しみたいと思っていますが、散歩程度でも一緒にできれば嬉しいです。もちろん、相手にスキー、スノボの技能は求めません。シーズン中に1、2回でも1人で行かせてくれれば大丈夫です」

若い頃のスキー写真。このレベルについていくのは確かに難しそうです。1人で行ってもらいましょう。(本人提供)
若い頃のスキー写真。このレベルについていくのは確かに難しそうです。1人で行ってもらいましょう。(本人提供)

お見合いしてくれる人がいたらすぐに好きになってプロポーズしてしまいそうです(笑)

 すっかり反省モードの仲谷さん。マチコ先生の目には超掘り出し物に映ったようです。未婚のまま40代50代を迎えた男性は見た目とコミュニケーション能力に問題を抱えていることが多いのですが、仲谷さんはどちらも平均を明らかに超えています。

「仲谷さんはとってもお若く見えます。内面から出てくるエネルギーも感じて、40代の女性にもオススメできます。前の結婚のことは、十分に反省されているようなのでその点も問題ありません。婚活には慣れていないと思いますので、いろいろな方とやりとりをする中で私がアドバイスしますのでご安心ください」

 仲谷さんの結婚の条件は「穏やかな方で、できれば週末は一緒に晩酌を楽しんでくれる方」です。パートナーが穏やかでいられるかどうかは仲谷さんの思いやり次第だと思いますし、現代ではお酒と食事を愛する女性は男性より多いぐらいなので問題ありません。

「前の妻が人生で2人目に付き合った女性でした。つまり、私は恋愛経験がほとんどありません。お見合いしてくれる人がいたらすぐに好きになってプロポーズしてしまいそうです(笑)」

 国際ロマンス詐欺に引っかかってしまいそうな発言ですが、オネットの場合は心配ありません。僕、お見合いセッティング係の岡部さん、そしてお世話係のマチコ先生という3人の「関所」があるからです。安心して前のめりに婚活してくださいね!

キャンプも好きな仲谷さん。仲間に触発されてランタンなどの道具集めもするようになったそうです。この趣味ならば結婚相手とも一緒に楽しめそうです。(本人提供)
キャンプも好きな仲谷さん。仲間に触発されてランタンなどの道具集めもするようになったそうです。この趣味ならば結婚相手とも一緒に楽しめそうです。(本人提供)

※文中の受けオネット会員は仮名です。仲谷さんの詳細プロフィールやマチコ先生と大宮による超実践的婚活アドバイス(ヤフーの有料記事です)を読みたい方(=攻めオネット会員になりたい方)はこちらをご覧ください。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

あなたを結婚させたい! オネット&マチコの超実践的婚活道場

税込2,970円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

大宮冬洋が自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる、お見合いおじさん活動「オネット」(大宮ネットワーク)の舞台裏をご紹介。オネット会員の匿名のプロフィールやお見合いの様子、成婚&退会者インタビューのほか、チームメンバーの婚活講師マチコ先生による婚活必勝アドバイスもお届けします。また、本連載の購読者は無料オプションとして、会員とのお見合いを希望することもできます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

大宮冬洋の最近の記事